ゆっくりと、お互いの唇が離れる。 そしてゆっくりと、いつの間にか瞑っていた目を開ける。 視線は相変わらず、まともに向けられずにいた。 これ以上にないくらい、胸のドキドキはおさまらず、この後の行動をどうとっていいか全くわからなかった。
「――――――っ・・・・・・」 そのままギュッと抱きしめられ、再び松井君の胸の中へと顔がうずくまる。 そして、ボソボソっと呟いたのが・・・確かにこう聞こえた。
「・・・・・・重症かも・・・」
・・・・・・うん・・・あたし重症だ。 ・・・このフレーズ・・・前も思ったことある。
――!?――ってか、ちがうちがうちがうっ!! 今のっ、松井君が言ったの!?
一人で乗り突っ込みを頭の中で繰り広げていたが、思わず顔を見上げた。 と、その拍子に体が後ろに倒れていく・・・ バサッ――! ・・・ううん・・・――倒されてる!! 「――えっ・・ちょっ――っ!!」 それしか発することができなかった。 あたしの唇は、またもや塞がれてしまっていた。 さっきのよりも、少し荒さが感じられる。 「――んっ―――・・・」 ―――っ・・・ちょっと・・・これって・・・やばくない!? あたしは、すでに押さえつけられている両手を動かそうとしたが、ピクリとも動かない。 「――ちょっ・・・ん――っ・・・」
時折、唇が離される隙に、抵抗しようとするものの、すぐに塞がれ遮られる。
――っ・・・このままだと・・・――っ・・・嘘でしょ――!? ――――――やばいってば―――・・・
「・・・ん・・・?」
息苦しさから解放された。 目を開けると、・・・あたしを上から見下ろしている。 でも、両手はそのままで、身動きができない。
「〜〜〜――っ・・・//」 「・・・・・・やっぱ・・・ここじゃあ、まずいよな・・・」 「―――//!!」 まずいって・・・なに!? ここじゃなきゃ・・・って、続きがあったってこと!?
押さえつけられている力が緩くなって、そのまま腕を引っ張られ体が起き上がる。 「・・・砂・・・ついた?」 松井君は、なおも冷静に気遣う。 「・・・大丈夫・・・//」 あたしは解放された手で、髪の毛をはらった。 「・・・やっぱ、寒いな・・・自販機探してくるわ。」 松井君は、上着のポケットに手を突っ込んで歩いて行った。 「えっ・・・あぁ・・・うん・・・」 ほんとは一緒に行こうかと思ったけど・・・・・・止めといた。
・・・・・・ ・・・と・・・とりあえず・・・もう・・・しないよね? この先なんて・・・今のあたしには、ハードすぎる! っていうか、あたしら中学生・・・だよね? つきあいましょ、ってなってから、1時間経つか経たないうちに、もうキスしてしまうことすら早すぎるでしょ!? 大人になってからのつきあいでも、こんな早い展開になったことないよ? それはそれで、おかしいのかどうかわかんないけど・・・ まるで動じない松井君と、テンパってるこのあたしとの差はなに!? 松井君って・・・ものすごい、手が早いとか・・・? 歳の割に、大人びてるもんなぁ・・・ ・・・・・・もしかして・・・既に・・・経験済み・・・とか!? 初めてにしては・・・うますぎ・・というか・・・// ・・・・・・だとしたら、いつ?誰?――――――って・・・美加さんしか出てこない・・・ ・・・――っなに考えてんの、あたし・・・ ・・・はぁ〜・・・ そんなこと聞けるわけないし、聞いたところで・・・ショックうけそう・・・
ふと目の前の海を眺める。 そして、体育座りのまま両膝を腕で抱え込んで、顎を膝につけた。 ・・・ザザァ・・・ザザザァ・・・ 幾つになっても、波の音って癒されるな・・・ ・・・ザザァ・・・ザザザァ・・・ ・・・・・・ さっきまでのモヤモヤがスーッと、消えていく。 あたしは松井君が来るまで、この癒しに浸っていた。
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