・・・・・・ ・・・・・・
どのくらい経っただろう。 実際にはそんな経っていないんだろうけど・・・すごく長く感じられた。
そして・・・やっぱり、先に口を開いたのは、松井君だった。
「・・・なんで・・・ここにいんの?」
「・・・・・・先輩と・・・待ち合わせ・・・してて・・・」
「・・・ふ〜ん・・・」
「・・・・・・」
・・・・・・逃げたい。 ・・・・・・この場から・・・すぐにでも逃げたいっ! だいたいっ・・・何を話すの?
「・・・・・・なんかさ・・・」 松井君はそう言いながら、さっきまであたし達が座っていたベンチに腰をおろした。 「・・・・・・久しぶりだね・・・」 「――っ・・・・・・」 「・・・・・・座れば?」 「・・・・・・」
体が凍張っていたけど、ゆっくりと、そして松井君との距離を、人一人分空けて、ベンチに座った。
周りからは、子供たちのはしゃぎ声が聞こえてくる。 そして、それに対する親たちの笑い声と・・・ 向こうからすれば、あたしらはどう見ても中学生の、初々しいカップルに見えるだろう。 お互いに、顔を見ようとはしなかった。
・・・・・・どうしよ・・・座んない方が・・・良かったかも。 ・・・・・・帰るタイミングが・・・ない・・・
気温は寒いはずなのに、あたしは体から汗がでてきそうだった。
「・・・・・・俺らさ・・・」 ・・・また、沈黙をやぶった。
「・・・・・・つきあおっか。」
――――――っっ!!
すぐさま隣に目をやった。
「なっ――!・・・なに言ってんの!?」 「・・・なにって・・・・・・なんかそういう流れじゃん。」 「・・・・・・は?」 ・・・・・・はぁ!? ・・・・・・いやいやいや―――!! 「――違うでしょ!・・・その前にっ・・・いろいろ・・・あるでしょっ!」 「・・・・・・いろいろって?」 「えっ・・・いや・・・だからその・・・」 「・・・お互いの気持ちの確認・・・とか?」 「・・・それはっ――その、そうだけど・・・他にもっ、今までの事からいったら・・・いろいろと・・・」 「・・・あんた・・・先輩のこと好きなの?」 「えっ!?ちがっ・・うよ・・・」 「じゃあ・・・尾上のことは?」 「・・・・・・いつの話してんの・・・」 「じゃあ・・・俺のことは?」 「―――っ//・・・」 ・・・なんで・・・そんな、スルっと・・・サラっと・・・聞いてくんの? 「・・・・・・話しかけないで――ってくらい、嫌い?」 「―――あれはっ・・・・・・」 「・・・なに?」 ・・・・・・密かに・・・根に持ってるの? 「―――っ・・・あの時は・・・ごめん・・・思わず――っ」 「思わず本音が出たって?」 「――違うってば!自分の気持ちがバレそうだったから・・・――っ!!」 ――しまった――!! まさしく今・・・思わず本音がでてしまった・・・ いつの間にか前のめりになっていたのを直し、ベンチから立ち上がり少し前に出た。 少しでも、松井君との距離を取りたくて・・・ 「―――あたしのことよりっ・・・そっちの方が・・・問題だと思う・・・」 「・・・俺!?」 ・・・そんなに・・・驚くことじゃないじゃん・・・ その事が・・・一番の・・・あたしの踏みこめないこと・・・ 「・・・・・・美加のこと・・・言ってんの?」 ―――っ・・・そうやって・・・サラっと呼ぶことすら・・・あたしには・・・耐えらんないっ・・・
「・・・・・・あんた・・・ばかじゃない?」
・・・―――ば・・・か・・・?
「―――なんであたしがばっ―――!?」
――――――!!
ムキになって言い返そうと後ろを振り返ると、それと同時くらいに、自分の腕が引っ張られた。 そしてそのまま、体ごと松井君にぶつかった―――
―――いや・・・・・・抱きしめられていた―――
―――頭が真っ白になりそうにもなりつつ、今の状況に戸惑いは隠せない。 思わず、あたしは両腕を動かそうとした。
でもそれを制するかのように、さらに強い力で抱きしめられた。
「―――ちょっ・・・っ」 「・・・また・・・離すの?」 頭の上から声がする。 「・・・・・・え?」 「・・・前みたいに・・・振りほどくんだ。」 「―――っ!・・・・・・そうじゃ・・・なくて・・・」 ・・・・・・そんな言い方されると・・・逃げれないじゃん。 だんだんと・・・力が抜けていく。 あたしは、もう抵抗するのをやめた。
「・・・なんか・・・山田のこと・・・すげぇムカつく・・・」 「・・・なっ――!」 また力が入り、顔を上げた。
――っ!!
が、すぐに松井君の顔がすぐ上にあって、また胸元に顔をうずくまる。
「・・・・・・美加のこと・・・好きなはずだったのに・・・・・・なんか、あんたのことばっか気になってしかたない・・・」 「―――っ・・・・・・」 「・・・・・・尾上のことだって、先輩のことだって・・・ムカついた・・・」 「・・・・・・先生?」 「・・・・・・緑ヶ丘行った時、一緒にいたじゃん・・・」 「・・・あぁ・・・?――あれが!?」 ・・・だって・・・あの時って・・・あの日に・・・松井君の気持ち聞いた時じゃん・・・ 好きな人がいるって・・・自分も年上の人がって・・・ 「・・・おまけに、先輩から告白シーン見せつけられるわで・・・だから、店でみんなの前で言いふらしたんだと思う・・・」 「・・・・・・」 「・・・それでも、自分は美加が好きなはずだって・・・現に・・・美加が帰ってきたらその気持ちはあったし・・・」 「―――っ・・・・・・」 「・・・けど・・・あんたと話さなくなって、姿も見かけなくなった時・・・・・・無性に会いたくなった・・・」 「・・・・・・」 「・・・あんた前に言ったよな?」 「・・・・・・え?」 「・・・本当に好きで好きでたまらなかったら・・・会いたくなるって・・・」 「――――――っ・・・!!」
あたしは・・・松井君の胸の中で・・・小さく、コクンと頷いた・・・
・・・あたしもそうだ。 目の前にするのは・・・すごく怖かった。 ・・・・・・でも・・・松井君のことを・・・考えない日なんて、なかった。 話せなくてもいいから・・・・・・ちょっとでもって、松井君の姿を見つけてた。
ほんとに・・・自分でもおかしいくらい、松井君のこと―――好きだ―――
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