予鈴のチャイムが鳴り終わり、あと5分もすればホームルームが始まってしまう。 なのにあたしは、げた箱の周辺をウロウロさまよっていた。
・・・どこよ〜、あたしのげた箱〜・・・
1年の頃何組だったか覚えてないのだ。 4クラスしかないからもう見つかってもよさそうなのに・・・
えっと〜、2組でもないか・・・次は3組・・・と 「・・・山田?」 −−ビクッ!!
悪いことをしてる訳でもないのに、とっさに体に緊張が走った。
「何してんだ?早く教室行けよ。もうチャイム鳴るぞー。」 振り返ると先生らしき人が通りすがりに注意してきた。
・・・あー、確か・・・えっと〜・・・ ・・・名前出てこないけど・・・1年の時の担任だ。 うわ〜、そういえばこんな先生いたな・・・なんだったっけ〜・・・
「・・・おいっ、聞いてるのか?」 反応のないあたしに、先へ行きかけていたが再び声をかけてきた。
「あっ、はい・・・すみません。」 とっさに出た言葉だ。
「急げよ〜。」 返答が聞けたら先生は先へ進んだ。
・・・なんかほんとに生徒みたい・・・
と、その時‘山田 智子‘のネームプレート発見。 あった〜、良かった〜。 ・・・3組か・・・そういえばそんな気が・・・ 先生の名前も思い出せないし、組も覚えてないし・・・ こんなことなら、卒業アルバムでも見ておくんだったなぁ・・・ って、こんな目に会うなんて思ってなかったよ・・・
キーンコーンカーン・・・ やばっ、本鈴なってしまった。 急いでシューズに履き替え、教室へ走った。
当然その場所さえ探しながら・・・
本鈴が鳴って数分後無事教室に辿り着いた。 ドアのぶに手をやり、躊躇しながらゆっくりと扉を開けた。
ガラ・・・
瞬間に教室の騒ぎ声が、一気に外に飛び出した。 まだ担任は来ていない様子で、みんなおしゃべりをしたり、走り回ったりしている男子生徒もいた。
・・・う、うわ・・・今更だけど・・・ほんとに昔にいるんだ。
忘れていたはずのクラスメートの顔が一気に頭にインプットされる感じだ。 中には、誰だっけ?って子もいるけど、たいていの子の名前が蘇ってくる。
「智子、おっはよ。」 入口に突っ立ったままのあたしの肩をポンっとたたかれた。
・・・え?・・・まさか・・・
「・・・きょん・・・ちゃん・・・?」
そうだ・・・きょんちゃん・・・今でもたまに連絡取り合っている中田 京子。 保育園からの幼馴染で、高校まで一緒だった親友だ。 大人のきょんちゃんを知っているから、なおさら目の前にいるきょんちゃんが懐かしい。 不安続きの出来事に親友の登場で少しホッとしてしまう。
「・・・?どうしたの?何かあった?」 少し泣きそうな顔をしてしまったからか、きょんちゃんは心配そうに聞いてきた。
・・・あったよ〜・・・ありすぎだよ〜・・・
いっそこの状況を親友に聞いてもらいたい気分だ。
ガラッ!!
「こらーっ、席に着かんかー!!」 人が浸っているときに、先ほどの担任が入ってきた。 一斉にみんな自分の席に着く。
「あとでね。」 きょんちゃんはボソッと言うと席に戻った。 次々に生徒が席に着く中、またしてもあたしは遅れをとる。
・・・席・・・どこ?
キョロキョロしていると担任がすかさず注意した。 「山田!!早く席に着け!!」 そう言って首で真ん中辺りの空いている席を指し示した。
・・・あそこか・・・
席に向かう最中、みんなの視線が痛いくらいに刺さる。
・・・なんかほんと生徒に戻ってく感じなんだけど・・・ 30歳の大人が30歳くらいの男に注意され、13歳の子供らに注目され・・・
・・・もう夢じゃなさそう・・・
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