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作品名:あの頃へ 作者:こまち

第44回   44
その日の夜、美樹ときょんちゃんからそれぞれ電話があった。
美樹には、先生のこと知らないと言ってくれたことと、松井君と仲直りしたかということ。
きょんちゃんには、とても電話で済みそうじゃなかったから、明日学校ですべて話すと約束をして電話を切った。

そしてお風呂に入りながら、今日の事を振り返っていた。

先生との再会。
突然の先輩からの告白。
松井君とのバトル、そして彼の気持ち。

一番心に残っていたのは・・・不思議と松井君の美加さんに対する気持ちだった。

なぜだろう・・・
あたし自身も先生への気持ちとか、美樹やきょんちゃん以上に話してしまっているし・・・
以前とはまるで違う関係になって、彼への印象が今まで抱いていたものとは違うのは確実だ。なんとなく、もっと松井君の事を知りたくなっていた。


次の日。
約束通り、きょんちゃんに先生への恋心を白状した。
そして、今はそれがないという事も。
木村先輩からの告白も、美樹にも話した。

「え〜っ!?断るの?なんで?」
「友達からとしてつきあってみれば?」
美樹ときょんちゃんは、あたしの答えに猛反対のようだ。
「え・・・でも・・・やっぱり、最初から気がないのに思わせぶりのこともできないし・・・。」
「・・・リョーマ君に言われたから?」
美樹の言葉に少しドキッとした。
「・・・まぁ、それもあるけど・・・でも、ほんとあたしその気ないし。」
・・・だいたいが、つきあえる訳がない。
・・・だって、あたしはこの時代とちがうあたしだし・・・
はっきりいって、犯罪になっちゃうでしょ。
15歳と30歳が交際なんて・・・。

「そっかぁ・・・まぁ、智子がそう言うんなら、しょうがないか。」
「なんだぁ、智子に彼氏できるかなって、ちょっと期待しちゃった。」
「・・・なによそれ?きょんちゃん人のことより自分は?たかちゃんのこと最近話にもでてきてないんだけど。」
「えっ・・・いやぁ、まぁ、たかちゃんのことはもういいかなって思えてきて・・・。」
「そうなの!?」

・・・変だな・・・中学3年間は、確かたかちゃんのことずっと好きだったよな・・・?

あたしが思い返していると、美樹が隣でニヤニヤしながら言ってきた。
「そうか〜、加藤君のこと好きじゃないってことは・・・他にいい人いるんだ?」
「なっ・・・そんなこと・・・ないよ・・・」
 否定しながらも少し顔が赤くなっていった。

・・・え・・・えっ・・・なに、この反応・・・

「またまた〜、昨日、いい感じだったじゃん。」

えっ!?・・・昨日!?

「ちょっと、美樹何言い出すの!?」
ますますきょんちゃんの顔は赤くなっていった。

「・・・どう・・いうこと?」
恐る恐る聞いてみた。
「うふふふふ・・・智子は途中で帰ったからわかんないだろうけど、きょんちゃんと田口君、いい感じだったんだよ〜。」

・・・・・・うっそ・・・

「なに言ってんのよ〜、違うってば〜。」
「照れない照れない、あたしとケンちゃんがどんだけ気使ってたと思うの?なるべく二人の世界に入らないようにってしてたんだから〜。」
「え〜っ、なんでそんなこと・・・」
「まぁまぁ、いいじゃん。楽しかったんでしょ?」

二人のやり取りは続いている。
固まったあたしをおいて・・・。

うそだ・・・うそだっ!・・・だって、田口君の片想いだったはずだよ!?
きょんちゃんはたかちゃん一筋で・・・
あのっ、田口君と!?
うそでしょ〜!!

「でも、田口君1年の時よりは大人になったと思うよ?人の悪口とか、冷やかしとか全然ないじゃん。智子だって、1年の時散々と冷やかされてたじゃん。」
「え・・・あぁ・・・うん・・・」

そうだ。
美樹の言うとおり、ここ最近の田口君は前ほど嫌に思えてない。
というか、ケンちゃんや松井君に比べたら、一番まともでは・・・とも思える。
明るくておもしろいのは変わりないし、テニス部の1年の子でも、田口君のことかっこいいって言ってる子いたっけ・・・

いやいや・・・それでも、ありえない話でしょ?
きょんちゃんと田口君なんて・・・
ありえないよ・・・

「〜〜〜っ確かに・・・たの・・しい・・けど・・・。」
「でしょ〜!それに、田口君、きょんちゃんのこと好きだよ。なんか違うもん。あたしや智子に対しての態度と。ねっ、そう思わない?」
美樹があたしの方を見てきた。
「えっ・・・う・・・ん・・・よく・・・わかんない。」
うそをついてしまった。
・・・ほんとのこと言えなし。
「そうだよ、そんなの美樹の思い過ごしだよ・・・他の子とだって仲良く話してるの見るし・・・。」
「え〜、でもでもっ、それでも二人絶対両想いだと思うよ〜。ケンちゃんだって、なんとな〜くそんな感じで言ってたもん。二人ってお似合いだよなって。」

ケンちゃんのやつ・・・一気に事を進めようとしてるな・・・

「そんなこと言ったって・・・あたし・・・ほんとまだよくわかんなくて・・・」
「・・・一緒にいて楽しんでしょ?」
きょんちゃんの様子に対し、美樹は真剣に聞いてきた。
「・・・うん。」
「もっと話したいって思う?」
「・・・うん。」
「じゃあ・・・もし誰かに田口君が告白されたらどう?」
「えっ・・・」
「なんとも思わない?それとも嫌?」
「・・・・・・いや・・かも・・・」
「・・・それが好きってことなんじゃない?」
「・・・・・・」

・・・信じられないけど・・・美樹の言う通りだ。
あきらかに、きょんちゃんは田口君のこと意識してる。
それに最近の二人の様子を思い返してみると、いつの間にか一緒にいることが多い。
きょんちゃんは・・・・・・好きなんだ、田口君のこと。

「・・・まぁさ、今まで友達の様に接してきたから、すぐに、なんてのは難しいかもだけど・・・ああ見えても、田口君って結構モテるからさ、グズグズしてると誰かに取られちゃうかもだよ。」
「・・・でも・・・変なこと言って、気まずくなるよりは・・・」
「んもう!!きょんちゃんってば、加藤君の時もそんな事言ってなかった?そうやって何にもしないで過ごしてたら、あっという間に中学生活終わっちゃうよ。」
「・・・そんなオーバーな・・・まだ1年と半年あるじゃん・・・」
「何言ってんの!!1年と半年しかないんだよ?」
「・・・う・・ん・・・」

今すぐに、きょんちゃんが何か行動できるわけがない。
消極的だもんな・・・

「・・・じゃあさ・・・あたしも美樹に聞きたい事あるんだけど・・・」
「なに?」
「・・・ほんとに、松井君のこと・・・幼馴染ってだけの感情なの?」

――!!
・・・密かにあたしも思ってたことだ。
昨日のとっさの手助けが思い浮かんだ。

「はぁ!?何を言い出すかと思ったら・・・そんなの当たり前じゃん。」
あっけらかんと答えた。
その様子は決してうそをついている感じでもないし。
「・・・ほんとに?」
「もうっ、ほんとだよ。そりゃあ、かっこいいし、サッカーうまいし、優しいけど・・・」

・・・優しい?
そこは同感できないな・・・

「・・・なんていうか、小さい時から一緒にいたから・・・兄妹って感じかな?それに・・・リョーマ君が好きなのは・・・」
「あ、そっかぁ。美加さんって言ってたっけ?」
きょんちゃんが思い出したかのように言ってきた。
「えっ・・・あぁ・・・うん。」
「・・・・・・聞いたことは・・ないの?」
あたしは、聞いてみた。
「う〜ん・・・なんか聞けないや・・・聞いちゃいけないような気がして・・・。」
「・・・そっか・・・」

昨日の事も、言わない方がいいな。
口止めはされてないけど。

「じゃあさ、好きな人とか、気になる人はいないの?」
またもやきょんちゃんは質問してきた。
「え〜・・・そうだな・・・特に、いないなぁ・・・」
「な〜んだ、つまんない。」
「まぁ、もし好きな人できたらちゃんと報告するよ。きょんちゃんや智子みたいに心の中に秘めてないから。」
「「なっ!!」」
あたしときょんちゃんは同時に発して、そして笑った。


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