店の前にバス停はあったけど、まだバスが来るまで時間があったのでお金を浮かすためにも、先のバス停まで歩いていた。
まだ、腹立だしさは残っていたが、勢いあまって、「先生」という単語を発してしまった事を後悔していた。
美樹以外のみんなは初耳のことだろうし、親友であるきょんちゃんにも、先生への淡い恋心を打ち明けていなかったから、なんとなく悪い気もした。
でも、それもこれも全部、あいつが悪いんだっ・・・。
普段滅多と話さないくせに、ペラペラと余計なことばかり・・・。 ・・・・・・なんなのよっ!!
歩くこと10分くらいで、バスターミナルに到着した。 ここまで来たら、本数も多いし、急行でも止まるからそう待たずに乗れるだろう。
あたしは炎天下の中、早足で歩いていたので、のどが渇いてしょうがなかった。 売店があったので、炭酸を買い一気に飲み干した。
はぁ〜・・・おいし・・・。
空いているベンチに腰を降ろした。 ターミナルということもあって、待ち人が多かった。 中には学生らしき姿もあった。
だんだん汗がにじみ出てきたから、ハンカチを取り出しおでこを拭いていた。
「・・・ねぇねぇ。」
気付けば目の前に、3人の男子生徒が立っていた。 恰好からして、さきほど練習試合をしていた緑ヶ丘の生徒みたいだ。 ジャージに学校名と部活名が書かれてあったのが目に入る。
「さっき、試合見に来てたよね。」 声をかけられ、顔をあげると、ニコニコしながらあたしに注目していた。
・・・・・・なに・・・・・・こいつら・・・。
あたしは声をかけられている理由がわからず、不審に思った。
「今一人?他の子は?」 そういうと、周りを見渡してみる。
「・・・・・・なにか?」 あきらかにこの3人とテンションの違うあたしは、笑顔のかけらもなく聞いた。 「もしさ〜、ヒマだったらこれから一緒に遊ばない?」
・・・・・・は?・・・・・・なに・・・これ・・・?
初めての状況にいまいち頭が働かない。
「なんだったら、友達誘ってもいいし。あっ、もし今日がだめなら別の日でもいいし。」 人の返事を待たずに、どんどん言い寄ってくる。
なんとなく、危険を感じたあたしは、ベンチから離れようとした。
「あ、ちょっと待ってよ。」 そんなあたしの態度にもひるむことなく、こいつらは後を追ってきた。
・・・・・・んもうっ・・・!!
しつこいことに苛立ちを感じ、あたしは口を開こうとした。
「・・・あのねっ・・・」「・・・こいつに何か用?」
―――っっ!!
3人の男の子の後ろから、声がした。 振り返った男の子らは、その人物と恰好を見ると、笑顔が消えた。
「・・・あ・・・いや・・・別に・・・おいっ、行こうぜ。」 あっという間に、このターミナルから姿を消してしまった。
それもそのはず。 先程対戦した相手でもあるし、鋭い視線が彼らには危険を感じたんだろう。
・・・・・・・
ホッとしつつも、あたしはその相手を松井君と確認するとすぐにその場を離れ、またさっき座っていたベンチに戻った。
「・・・・・・モテモテだね。俺止めない方が良かった?」
その言葉にあたしは、また視線をそいつに向けた。
「・・・・・・またケンカ売ってんの?」 「・・・・・・別に。」 そういうと、松井君はあたしの隣にドカッと座った。
・・・・・・普通、離れて座るでしょうがっ!!
「・・・これ、返しとく。」 そういうと、千円札を差し出した。 「・・・なにこれ?」 「・・・さっきのお好み焼き代だよ。」 「・・・なんでよ、割勘でしょ。払うよ。」 「いいよ、おまえの分は俺が払うから。」 「なんでよっ、払ってもらう義理もないしっ!」 「いいからっ・・・一応・・・わびとして・・・。」 「・・・ふ〜ん・・・わび・・ねぇ・・・お金で済む問題じゃないんだけどっ!」 差し出されたお金をパッと受け取った。 正直、金欠のあたしには助かった。 「・・・・・・おまえって・・・しつこいな。」 「はぁ〜!?・・・ほんとに悪いと思ってんの?」 「・・・・・・まぁ・・・」
なんだよ、その間のあきかた・・・。
「・・・バス来た。」 松井君は先に立ち上がった。 「え・・・」
・・・えっ・・・なに?・・・こいつも・・・乗るの!?
バスが止まって扉が開くと、先頭切って乗り込んだ。 あたしもまだ待ってるつもりはなく、あとに続いた。
松井君は一番後ろの座席に座った。 どこに座ろうかと、あたしが真ん中ら辺の座席に着こうとすると、
「おいっ!!・・・こっち。」
そう言って、隣の席を手でポンポンっと叩いていた。
・・・・・・なんなの・・・?
そう思いながらも、言われたとおりあたしは、松井君の隣に向かった。
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