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作品名:あの頃へ 作者:こまち

第42回   42
店の前にバス停はあったけど、まだバスが来るまで時間があったのでお金を浮かすためにも、先のバス停まで歩いていた。

まだ、腹立だしさは残っていたが、勢いあまって、「先生」という単語を発してしまった事を後悔していた。

美樹以外のみんなは初耳のことだろうし、親友であるきょんちゃんにも、先生への淡い恋心を打ち明けていなかったから、なんとなく悪い気もした。

でも、それもこれも全部、あいつが悪いんだっ・・・。

普段滅多と話さないくせに、ペラペラと余計なことばかり・・・。
・・・・・・なんなのよっ!!

歩くこと10分くらいで、バスターミナルに到着した。
ここまで来たら、本数も多いし、急行でも止まるからそう待たずに乗れるだろう。

あたしは炎天下の中、早足で歩いていたので、のどが渇いてしょうがなかった。
売店があったので、炭酸を買い一気に飲み干した。

はぁ〜・・・おいし・・・。

空いているベンチに腰を降ろした。
ターミナルということもあって、待ち人が多かった。
中には学生らしき姿もあった。

だんだん汗がにじみ出てきたから、ハンカチを取り出しおでこを拭いていた。

「・・・ねぇねぇ。」

気付けば目の前に、3人の男子生徒が立っていた。
恰好からして、さきほど練習試合をしていた緑ヶ丘の生徒みたいだ。
ジャージに学校名と部活名が書かれてあったのが目に入る。

「さっき、試合見に来てたよね。」
声をかけられ、顔をあげると、ニコニコしながらあたしに注目していた。

・・・・・・なに・・・・・・こいつら・・・。

あたしは声をかけられている理由がわからず、不審に思った。

「今一人?他の子は?」
そういうと、周りを見渡してみる。

「・・・・・・なにか?」
あきらかにこの3人とテンションの違うあたしは、笑顔のかけらもなく聞いた。
「もしさ〜、ヒマだったらこれから一緒に遊ばない?」

・・・・・・は?・・・・・・なに・・・これ・・・?

初めての状況にいまいち頭が働かない。

「なんだったら、友達誘ってもいいし。あっ、もし今日がだめなら別の日でもいいし。」
人の返事を待たずに、どんどん言い寄ってくる。

なんとなく、危険を感じたあたしは、ベンチから離れようとした。

「あ、ちょっと待ってよ。」
そんなあたしの態度にもひるむことなく、こいつらは後を追ってきた。

・・・・・・んもうっ・・・!!

しつこいことに苛立ちを感じ、あたしは口を開こうとした。

「・・・あのねっ・・・」「・・・こいつに何か用?」

―――っっ!!

3人の男の子の後ろから、声がした。
振り返った男の子らは、その人物と恰好を見ると、笑顔が消えた。

「・・・あ・・・いや・・・別に・・・おいっ、行こうぜ。」
あっという間に、このターミナルから姿を消してしまった。

それもそのはず。
先程対戦した相手でもあるし、鋭い視線が彼らには危険を感じたんだろう。

・・・・・・・

ホッとしつつも、あたしはその相手を松井君と確認するとすぐにその場を離れ、またさっき座っていたベンチに戻った。

「・・・・・・モテモテだね。俺止めない方が良かった?」

その言葉にあたしは、また視線をそいつに向けた。

「・・・・・・またケンカ売ってんの?」
「・・・・・・別に。」
そういうと、松井君はあたしの隣にドカッと座った。

・・・・・・普通、離れて座るでしょうがっ!!

「・・・これ、返しとく。」
そういうと、千円札を差し出した。
「・・・なにこれ?」
「・・・さっきのお好み焼き代だよ。」
「・・・なんでよ、割勘でしょ。払うよ。」
「いいよ、おまえの分は俺が払うから。」
「なんでよっ、払ってもらう義理もないしっ!」
「いいからっ・・・一応・・・わびとして・・・。」
「・・・ふ〜ん・・・わび・・ねぇ・・・お金で済む問題じゃないんだけどっ!」
差し出されたお金をパッと受け取った。
正直、金欠のあたしには助かった。
「・・・・・・おまえって・・・しつこいな。」
「はぁ〜!?・・・ほんとに悪いと思ってんの?」
「・・・・・・まぁ・・・」

なんだよ、その間のあきかた・・・。

「・・・バス来た。」
松井君は先に立ち上がった。
「え・・・」

・・・えっ・・・なに?・・・こいつも・・・乗るの!?

バスが止まって扉が開くと、先頭切って乗り込んだ。
あたしもまだ待ってるつもりはなく、あとに続いた。

松井君は一番後ろの座席に座った。
どこに座ろうかと、あたしが真ん中ら辺の座席に着こうとすると、

「おいっ!!・・・こっち。」

そう言って、隣の席を手でポンポンっと叩いていた。

・・・・・・なんなの・・・?

そう思いながらも、言われたとおりあたしは、松井君の隣に向かった。


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