20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:あの頃へ 作者:こまち

第32回   32
3月に入り、卒業モードになってきた。
もっとも、あたし達在校生はいつもと変わらない生活を送っていたが・・・。

「ねぇねぇ、知ってる知ってる!?」
いつもの昼休み。
なっちゃんがどこからか戻ってきて、みんなが集まっているところにやってきた。
「なになに?」
平凡すぎる毎日にいいネタ話ができたと思い、みんなが食いついた。
「1組の子からさっき聞いたんだけど・・・あっ、美樹の方が知ってたかな?」
「え?何?何の事?」
自分のことを言われ、美樹は身を乗り出した。
「松井君のバレンタインデーのこと。」
・・・・・・バレンタインデー?・・・・・・今頃そんな話?
まだ1ヶ月も過ぎていないが、ずいぶん前の事に思える。
と同時にあたしは嫌な事まで思い返した。
「え〜、なになに?」
自分の幼馴染の事とわかり、余計に気になる様子だ。
「あのね、松井君、どうも一人だけからチョコ受け取ったらしいよ。」
「「え〜っ!!」」
「ちょっと、シーッ!!田口君に聞かれたらやばいよ。本人の耳にまでいっちゃうから。」
興奮気味のみんなを静める。
確かに田口君に聞かれたら当然ばれるな、噂話してたこと・・・
「でもさー、ことごとくチョコの受け取り拒否してたって聞いたよ。あたしと智子そのひとつの現場立ち会ったもんね〜。」
きょんちゃんはあの告白シーンのことを言った。
「「そうなの!?」」
美樹となっちゃんとまどかは一斉にあたしら二人を見た。
「あ・・・うん・・・言っちゃまずかったかな・・・」
ついつい口走ったきょんちゃんは気まずそう。
「・・・まぁ、相手の名前言わなきゃ大丈夫じゃない?それより、ほんとなの?その話。」
あたしはフォローし、問題を元に戻した。
「あぁ、うん、そうそう。なんかね、放課後に貰ったらしいよ。」
「え〜!!マジで〜!!相手は?だれだれ?」
「それが相手は不明なんだって。」
「なにそれ?がせネタ?」
少しあきれて、まどか。
「ううん、部活の後、駐輪場で女子と一緒にいるとこ見た人はいるみたいよ。でも暗くてわかんなかったみたい。」
・・・・・・ん?
「暗くてって・・・それじゃあ、リョーマくんだって違うかもじゃん。」
美樹も冷静に返した。
「それは確かに松井君なんだって。なんかその日、自転車パンクしたみたいで、尾上先生に修理してもらってたみたいだよ。次の日にそれ話してたらしいし。」
・・・・・・ちょっと、それって・・・
「へぇ〜・・・でも、チョコ渡してるのわかったの?顔すら見えてないのに。」
またしても、まどかは疑い深く問いただした。
「うん、その時はわかんなくって、このあとがまた驚きなんだけど、この間、松井君に告白して振られた子が、好きな子いないかしつこく問いただしたらしく、その時に誰かにチョコを貰ったことがわかったらしいよ。松井君本人が言ったらしいし。それで放課後一緒にいた子じゃないかって話が出てきてんのよ。」
・・・・・・なんか変なことになってない?・・・・・・一緒にいたのは・・・あたし・・・のことか?
「そうなの!?え〜、もし本当ならすごくな〜い!?あの松井君を射止めたのだれ〜?」
一気にまた興奮状態になっている、まどか。
「・・・リョーマくんがそう言ったってことは・・・そうなのかなぁ・・・でも誰からとは言わなかったのかな?」
美樹は、何かが腑に落ちない感じで聞いてきた。
「あたしも聞いた話だからよくはわかんないけど、誰とかは言ってないみたいだよ。」
「そっかぁ・・・学校で貰ったのかなぁ・・・」
美樹はボソボソと呟きながら考えていた。
「ねぇねぇ、それって、何年生かもわかんないの?」
まどかは、美樹が言ってることは気にせずに次々と聞いた。
「え〜・・・わかんない。今犯人探ししてる最中ってことだけで。」
・・・・・・犯人・・・って・・・
「え〜っ、気になる〜っ!!でもさ、部活の後ってことは、1、2年でしょ?それで・・・あっ、智子っ!」
―――ドキッ!!
突然あたしに話を振ってきた。
「なっ、・・・なに?」
「智子って自転車通学じゃん。駐輪場で見かけなかった?」
その質問にみんなの視線が集中した。
「え・・・いや・・・見て・・・ないなぁ・・・」
・・・・・・そこで一緒にいたのは、あたしです・・・なんて今は言えない。絶対誤解されるし・・・。
「そっかぁ・・・そうそう見てる人いないのかなぁ・・・でも部活帰りで自転車の人って結構いるから、絶対見てる人いるよ。」
「だよね〜、なんか聞き込みしてるらしよ。また情報入ったら教えてって言っといたけど。」
「あたしも知りた〜い。ねぇねぇ、この話どこまで広がってんの?」
「とりあえず1組だけじゃない?でも時間の問題かもね。・・・あたし、もう一回聞いてこようかな?聞き逃してることあるかもだし・・・。」
「あたしもあたしもっ、聞きに行く〜!!」
そう言ったが早く、まどかとなっちゃんは、走って1組の教室へと向かった。

・・・・・・なんか・・・やばくない?
・・・・・・バレるの、時間の問題?
・・・・・・でも、待てよ・・・一緒にいたからって、それが問題の相手ってわけじゃないし・・・。
・・・・・・っていうか、なんでそういう流れになってんの?ほんとに松井君がチョコ貰ったって言ったの?
だとしたら、あたしのこと言ったの?・・・いやっ、それは絶対ないな・・・それは100%違う。断言できる。
「・・・すご・・・二人とも野次馬だね〜。」
嵐が去った後のように、静かにきょんちゃんは言った。
「・・・そうだよね・・・別に誰だっていいじゃんねっ。」
あたしはせめてここだけでもその話題から離れたかった。
「・・・どうした?美樹。さっきからなんか考え事?」
ずっと黙っている美樹にきょんちゃんが顔を覗き込んだ。
「あぁ・・・うん・・・もし、リョーマ君がほんとに貰った相手がいるって言ったんだったら・・・。」
あたしも美樹の続きの言葉が気になり目を向けた。
「・・・・・・あのさ・・・この話・・・二人だけに止めといてね。絶対、他の人に言わないでね。まどかとなっちゃんにももちろん・・・」
美樹は小声で話し出した。そして深刻に。
「・・・え?・・・なに?」
状況が変わって、戸惑うきょんちゃん。
「・・・・・・言うなって言うんだったら、言わないよ。」
そしてあたしの言葉にきょんちゃんも頷いた。
「・・・・・・その相手って・・・もしかしたら・・・おねーちゃんかも・・・。」
・・・・・・へ?・・・・・・おねーちゃんって・・・
「・・・・・・美加さん・・・ってこと?」
あたしはゆっくり聞いた。
コクン、と美樹は頷いた。
「うっそ・・・!!」
きょんちゃんは大声になりそうなのを手で口を押さえた。
「・・・・・・毎年、おねーちゃんと一緒にチョコ渡してたんだ。でも今年はおねーちゃん寮にいるからあげないのかなぁって思ってたけど、わざわざ送ってあげたみたい。・・・・・・前々から、なんとなく思ってたんだよね・・・ほら、うちら小さい頃からよく一緒にいたじゃん。あたしとリョーマ君ははっきりいって、おねーちゃんの言いなりに近かったんだよね。何をするにもリョーマ君、おねーちゃんにこき使われてて。でも、大きくなるにつれて、他の周りの女の子に対しての態度と、おねーちゃんに対しての態度があからさまに違っててさ。当然おねーちゃんの方が嫌なはずなのに、なんでも言うこと聞いててさ・・・まぁ、言われ慣れてそうなのかなぁって思う事もあるけど、でも、やっぱり近くで見てると、なんていうか、違う感情あるのかなって・・・。おねーちゃんの気持ちはよくわかんないけど、リョーマ君の方はって・・・あくまであたしの推測だよ。」
「・・・そう・・・なんだ・・・でも、ほんとだったら・・・すごいね。だって美加さんって確かあたしらより6つ?・・・上だよね。」
きょんちゃんは確認しながら聞いてきた。
「うん・・・でも、あたしもだけど、6つだからとかあんまり関係ないよ。一緒にいたらそんな年上に感じないし。それはそれでおねーちゃんが精神年齢がどうかと思うけどね。あはは。」
「・・・そっかぁ・・・でも、この学校では一番よく松井君の事知ってるの美樹だから、そう思うってことは・・・そうかも・・・ね。」
そういうと、きょんちゃんはあたしの方を見てきた。
「・・・・・・そうだね。」
あたしも、納得した。
そして、今の美樹の話を聞きながら、ある噂を思い出した。

それは高校になってからの事。
みんながそれぞれ高校正になって、何かしら大人びてきた頃、今まで彼氏彼女がいなかっった人たちでも、チラホラと交際というものが始まっていた。
だから、離れ離れになった同級生の情報がよく飛び交っていた。
その中でも、結構驚いたのが、松井君の交際の話だった。
付き合うこと事態驚きだったけど、その相手が大学生と聞いたことだ。
その時は、さすが元々大人びていた彼だったから、驚きながらでも納得していた気がする。

そして、今・・・この話と結びついた。
美樹の言ってることが、本当ならあの時聞いた相手は、美加さんだったかもしれない。
今、松井君が想いを寄せている美加さんと、何年か後には、つきあってるかもしれないんだ。
・・・・・・なんか・・・すご・・・。
ある一組のカップルの過程を見たって感じ・・・かな。
まぁ、あんな美人のおねーさんがいたら、同じくらいの女子なんて、相手になんないか・・・。
しかも、思春期の男の子って、年上に憧れるらしいしなぁ・・・どっかの雑誌でみたことあるぞ。
「ほんとに言わないでね!!リョーマ君にも聞いたことないしっ。」
「・・・わかった。絶対言わないよ、ね、きょんちゃん。」
「うんっ、もちろんっ。」
こうして三人だけの秘密ができた。


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 19737