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作品名:あの頃へ 作者:こまち

第23回   23
「ごめんっ!!今さらだけど・・・ほんとごめんなさい!!美樹の気が済むまで、叩くなり何なりしていいから・・・」
「ちょっと・・・大袈裟だよ・・・。」

日曜日
あたしときょんちゃんは、美樹の家に来ていた。
きょんちゃんも美樹にどうしても面と向かって謝りたかったし、明日から美樹が学校へ行く予定だったから、その励ましに一緒に来た。

「駄目だよ!!ちゃんと怒んなきゃ。じゃないとあたし気が済まないっ。」
きょんちゃんは立場が逆になりつつも、美樹への謝罪の気持ちを込めているのだろう。
「・・・わかった・・・わかったから・・・じゃあ・・・明日から・・・また学校でもよろしくね。」
「・・・・・・そんなの・・・当たり前じゃん・・・。」
「・・・・・・よしっ、じゃあここまで!!さ、これ食べよ食べよ。」
あたしは、美樹のお母さんが出してくれた手作りドーナツ手をやった。
「・・・もう!!智子ってば。食いじが張ってんだから〜。・・・でも・・・あたしもいっただきま〜す!」
「――っくすくす、二人ともほんっと、似てるよね〜。」
「「へ?」」
美樹の言葉に、同時に見合わせた。
「どこが〜?ぜっんぜん似てないよ〜。あたしきょんちゃんみたいに目クリっとしてないし、髪型だって天パーじゃないし・・・。」
「ちょっと・・・人が気にしてる事を!」
すかさず突っ込んできた。
「なんで!?すっごいいい感じじゃん。自然でこんなにふわっとしてるの羨ましいよ〜。」
あたしは真剣に返す。
「うんうん、あたしもそう思う。」
美樹まで賛同してきて、きょんちゃんは益々不機嫌になった。
「っんもう!人ごとだと思って〜。雨でも降ったら最悪だよ〜。クルクルなってセットしても何してもどうにもなんないんだから〜。」
そういえば大人になったきょんちゃんはストレートパーマかけてたなぁ。
ほんとにこの天パーかわいいのに・・・。
きょんちゃんは田口君だけにかかわらず、結構モテていた。高校に入ったら比べものにならないくらいだったし・・・。
「ふわふわでも、クルクルでもどっちのきょんちゃんもかわいいよ〜。」
美樹はきょんちゃんの頭を撫でた。
「え〜!!美樹みたいなきれいなストレート羨ましい〜!」
きょんちゃんとは正反対くらいに美樹の髪の毛はまっすぐだ。
まだ前ほど艶は戻っていないけど、サラサラとなびいている。
シャンプーのCMでも浮かんできそうなくらいだ。
美樹の評判は、1年の1、2学期でしかわからないけど、同級生より上級生に人気があった気がする。同学年に比べて大人っぽいもんなぁ。
きっと、これからのここでの中学生活で、もっともっとモテるだろう。

それに引き替えあたしは・・・
「でも、ほんと智子かわったよねぇ〜。」
「うん、そうそう。なんかおしゃれに目覚めました!と言わんばかりに。」
ふたりはあたしに注目した。
「・・・いやいや・・・おしゃれというか・・・たしなみというか・・・」
あたしは手を加えてこれだし・・・
「そういう言い方がおしゃれなんだよ〜。考え方もすっかり大人びてるし、あたし見習わなくっちゃ!」
・・・一応・・・社会人経験者だし、そう思われてもいっか・・・。
「・・・んじゃあ・・・どんどんマネしてっ。何でも聞いて!」
「すぐ調子に乗るとこは相変わらずだけどね。」
「あ〜、言ったなぁ〜、きょんちゃん!!」
「きゃーっ!!助けて美樹〜!!」
「え〜、もう、二人ともやめなよ〜。」
他愛もない会話が繰り広げられた。

コンコンッ
ガチャッ
ノックと同時くらいに部屋の扉が開いた。
一斉に静まり返った。
「楽しんでるとこお邪魔しま〜す!」
・・・誰?
・・・めっちゃキレイ・・・
そこに現れた人にあたしもきょんちゃんも釘付けになった。
ファッションこそ、あたしにしたらダサい気がしたけど、きっとこの時代にした最先端な方だろう。
スラっとしたスタイルに、パーマ・・・ソバージュと言った方がいいか。
でも顔が整っているので、そんな身の回りの飾りなんて気にならないほどだ。
雑誌モデルとかやれそうなくらい、すごい美人・・・そう美人という言葉がピッタリだ。
「おねーちゃん!!いつ帰ってきたの?」
・・・おねー・・・さん?
えっ!?・・・美樹にお姉さんいたの!?
こんな美人の!?
あまりの突然の登場に、二人のやり取りに必死についていくことが精一杯だった。
「今よ今。いなかったでしょ?さっきまで。な〜に当たり前のこと聞いてんの?」
「だって〜、お母さん何も言ってなかったんだもん。」
「うん、言ってないもん。」
「え〜、そうなの?いきなり帰ってきて大丈夫?」
「平気よ〜、それより、紹介してよ。美樹の友達。」
そういって、あたしときょんちゃんに目をやった。
ドキッ――!!
同じ異性に見られて恥ずかしくなった。
「あ〜、ごめんね〜。6つ上のお姉ちゃんなんだ。大学行ってんだけど、寮生活だから普段家にいなくて。」
「「・・・・・・」」
言葉は出ずに、相槌だけはうてた。
「えっと、同じクラスの山田智子と中田京子。京子はきょんちゃんって呼んでるんだ。」
あたしときょうんちゃんは紹介され、会釈をした。
「へ〜、二人ともかわいいね〜。」
・・・いえいえ・・・あなたに比べたら天と地の差が・・・
心の中で突っ込む余裕が出てきた。
「ねぇ、美樹。あたしの飲み物取ってきてよ。」
「え〜っ!!なんであたしが?っていうか、長居する気?」
「いいからいいから。あいさつするだけよ。」
「・・・じゃあ、いらないじゃん。」
「走ってきたから、喉渇いたの!ほらっ、早く!」
「んもうっ!!人使い荒いんだから〜。わかったよ。」
そう言って美樹は台所の方へ向かった。

「えっと・・・智子ちゃん?」
視線があたしに集中した。
「え・・・あ・・・はい・・・。」
また緊張してしまう。
今や年上のはずが、気持ちが年下になってしまっている。
「・・・ありがとうね。この間来てくれたんでしょ?」
「・・・・・・あ・・・いや・・・」
「ほんと、ありがとう。」
さっきまでの態度とは打って変わって、頭を深々と下げてきた。
――っ!!
「あのっ・・・そんな・・・あたし、お礼言われるような事してないし・・・」
途端に、罪悪感に陥った。
「・・・事細かいことはどうでもいいの。」
美樹のお姉さんは、あたしの言葉を遮った。
「・・・・・・」
「・・・・・・そりゃあ、中学なんていろいろあるよ。あたしだって、経験者だし・・・。でもそういう中で、美樹の事気に止めてくれたことが、ほんとに嬉しかったの。・・・それがなかったら・・・あの子、転校させようと考えてたし・・・」
「えっ!!」
思わずきょんちゃんが叫んだ。
「・・・あたしの大学の近くの私立の中学にしようって、母親と話してたの。もちろん美樹には内緒でね・・・。ほら、あたし寮生活してんだけど、そこ出て、二人でアパートでも借りて住もっかなぁって。」
・・・そういうことだったんだ。美樹の家自体は引っ越してないって聞いたことあったもんな・・・。
「でも・・・この間、美樹に変化があったって聞いて・・・智子ちゃんが来てくれたからよ。それに今日は、きょんちゃん?だったね。あなたもこうして美樹の事心配して来てくれたから、どうしてもそのお礼が言いたくてね。実は母親に聞いてたのよ。今日あなたたちが来ること。だから、朝一で飛ばしてきたってわけ。」
にっこり笑ったかと思うと、次は、真剣な眼差しになった。
「このこと、美樹には内緒ね。怒られるから。」
そう言ってまたにっこり笑った。
笑顔はやっぱり美樹に似てる。
「・・・美樹の事・・・すごい心配なんですね。」
あたしは自然と言葉が出てきた。
「うんっ。まぁ、歳が離れてるせいもあるしね。美樹にしてみたらすごいうっとしいみたいだけどね。」
・・・本来、出会う人ではなかった美樹のお姉さんとこうして出会えた。なんか不思議・・・。知らない人だったはずなんだよね。
出会いって・・・すごいな・・・

「おまたせ〜、はい。」
美樹がコーヒーを持って戻ってきた。
「サンキュー。あ、そうだ。もうすぐ春休みだから、またその時も帰ってくるね。」
「じゃあ、なおさらなんで今日帰ってきたの?」
「え〜・・・それはほら〜、かわいい妹に会いに決まってんじゃん。」
そう言って、美樹を抱きしめた。
「ちょっ、おねーちゃん!!やめてよっ、みんな見てるでしょ!」
照れながら、美樹はあたしたちに目をやった。
「あ〜・・・お気遣いなく・・・」
あたしはわざとそう言い、またドーナツに手をやった。
「もうっ・・・智子まで〜。」
「ナイスッ!智子ちゃんっ!」
「いえいえ、美樹のお姉さんの気持ちすご〜くわかりますから。」
「ほんとに!?さすがだわ〜。あ、あたしの事、美加でいいから。」
ほんとに気さくで楽しい人だ。そして何より、美樹の事大事に思っている。
姉妹ってこんなもんなんだ。
ちょっぴり羨ましくなった。


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