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作品名:あの頃へ 作者:こまち

第13回   美樹の決意
「ほんとに大丈夫?こんな暗いし、時間も時間だから送って行こうか?」

なんだかんだで長居をしてしまい、6時半を過ぎていた。

「いえいえ、ほんと大丈夫です。まだ7時になってないし・・・」
「何言ってんの!ここからおうちに着く頃は、8時前じゃない。ああ、やっぱり車で送るわ。」

そっか・・・中学生なんだから、8時ってのは遅いわけね・・・。
昨日うちの母親、どこか寄って来いみたいなこと言ってたけど、さすがにこの時代はやばいかな・・・。

「もっとおばちゃんが早く気付けばよかったのにね・・・ちょっと待ってて、車のカギ取ってくるから。」
「あのっ、ほんと大丈夫です。明日も自転車ないと学校行くの大変だし・・・」
「あ〜、そっかぁ・・・明日の事があるか・・・」
「ほんと気にしないでください。街灯けっこう付いてるし大丈夫ですよ。」
「そう?・・・じゃあ、せめておうちに連絡してもいいかしら。今ここ出たこと伝えといた方がいいだろうし、ご両親心配なさるわ・・・」
「あー、・・・じゃあ、お願いします。」
「うん、早速かけてくるわ。ほんと気をつけて帰ってね。」
「はい、こちらこそ長居してしまってすみません。」

美樹のお母さんは、渋々承諾して、急いで電話をしに行った。

「ごめんね、うちの親心配性だからさ。」

見送りをしに美樹も外に出てくれた。

「ううん、あたしも気使わせて申し訳ないわ・・・今度から時間見て行動するわ。」
「・・・なんか・・・ほんと智子変わったよね。」

今日何度か会話中に言われたセリフだ。

「へ?・・・いやぁ・・・そんなことないって。」
「ううん・・・なんか・・・しっかりしてるっていうか、大人びたっていうか・・・」
「え、そ、そうかな?・・・っていうか、じゃあ今までがどんだけダメな子だったの?って感じじゃん。」
「そんなんじゃないけど・・・でも、なんか話し方もちょいちょい変だし・・・」
やばい・・・ばれちゃダメなわけでもないんだけど、ドキドキしてしまう。
「なぁに言ってんの?もう帰るよ。寒いし美樹も家に入って。」

早くこの場を去った方がよさそう。

「・・・わかった。」
「じゃ、またね。」

自転車に乗りペダルに足を置いた。

「・・・あのさっ。」
「ん?何?」

再度美樹の方を振り返った。

「・・・すぐにってわけにはいかないかもしんないけど・・・あたし・・・学校に行くね。」
「・・・美樹・・・」
「・・・今日は、ほんと来てくれてありがと。」
お礼を言われるのは筋違いだ。逆にあたしの方が言わなきゃいけないのに・・・。散々シカトし続けたあたしに前のように話してくれるんだもん。
「・・・待ってるね。」
「・・・うん。」

あたしは自転車をこいだ。
これ以上いるとまた涙がでそうだったから・・・。

しっかりしてるのは・・・美樹の方だ。
もし、逆の立場だったらどうだろう?
あたしは美樹のように、笑って話せるだろうか?
たとえ謝りに来てくれたからって、その事をありがとうなんて言えるだろうか。
まず、会うことができないだろうな・・・。
正直、今日は無理かもって諦めかけていたもん。

・・・これで・・・美樹と一緒にここの中学校卒業できるんだよね。
転校しないよね。
まだまだ美樹との思い出は作れるんだ。

寒空の下、あたしは必死にペダルをこいだ。


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