「ほんとに大丈夫?こんな暗いし、時間も時間だから送って行こうか?」
なんだかんだで長居をしてしまい、6時半を過ぎていた。
「いえいえ、ほんと大丈夫です。まだ7時になってないし・・・」 「何言ってんの!ここからおうちに着く頃は、8時前じゃない。ああ、やっぱり車で送るわ。」
そっか・・・中学生なんだから、8時ってのは遅いわけね・・・。 昨日うちの母親、どこか寄って来いみたいなこと言ってたけど、さすがにこの時代はやばいかな・・・。
「もっとおばちゃんが早く気付けばよかったのにね・・・ちょっと待ってて、車のカギ取ってくるから。」 「あのっ、ほんと大丈夫です。明日も自転車ないと学校行くの大変だし・・・」 「あ〜、そっかぁ・・・明日の事があるか・・・」 「ほんと気にしないでください。街灯けっこう付いてるし大丈夫ですよ。」 「そう?・・・じゃあ、せめておうちに連絡してもいいかしら。今ここ出たこと伝えといた方がいいだろうし、ご両親心配なさるわ・・・」 「あー、・・・じゃあ、お願いします。」 「うん、早速かけてくるわ。ほんと気をつけて帰ってね。」 「はい、こちらこそ長居してしまってすみません。」
美樹のお母さんは、渋々承諾して、急いで電話をしに行った。
「ごめんね、うちの親心配性だからさ。」
見送りをしに美樹も外に出てくれた。
「ううん、あたしも気使わせて申し訳ないわ・・・今度から時間見て行動するわ。」 「・・・なんか・・・ほんと智子変わったよね。」
今日何度か会話中に言われたセリフだ。
「へ?・・・いやぁ・・・そんなことないって。」 「ううん・・・なんか・・・しっかりしてるっていうか、大人びたっていうか・・・」 「え、そ、そうかな?・・・っていうか、じゃあ今までがどんだけダメな子だったの?って感じじゃん。」 「そんなんじゃないけど・・・でも、なんか話し方もちょいちょい変だし・・・」 やばい・・・ばれちゃダメなわけでもないんだけど、ドキドキしてしまう。 「なぁに言ってんの?もう帰るよ。寒いし美樹も家に入って。」
早くこの場を去った方がよさそう。
「・・・わかった。」 「じゃ、またね。」
自転車に乗りペダルに足を置いた。
「・・・あのさっ。」 「ん?何?」
再度美樹の方を振り返った。
「・・・すぐにってわけにはいかないかもしんないけど・・・あたし・・・学校に行くね。」 「・・・美樹・・・」 「・・・今日は、ほんと来てくれてありがと。」 お礼を言われるのは筋違いだ。逆にあたしの方が言わなきゃいけないのに・・・。散々シカトし続けたあたしに前のように話してくれるんだもん。 「・・・待ってるね。」 「・・・うん。」
あたしは自転車をこいだ。 これ以上いるとまた涙がでそうだったから・・・。
しっかりしてるのは・・・美樹の方だ。 もし、逆の立場だったらどうだろう? あたしは美樹のように、笑って話せるだろうか? たとえ謝りに来てくれたからって、その事をありがとうなんて言えるだろうか。 まず、会うことができないだろうな・・・。 正直、今日は無理かもって諦めかけていたもん。
・・・これで・・・美樹と一緒にここの中学校卒業できるんだよね。 転校しないよね。 まだまだ美樹との思い出は作れるんだ。
寒空の下、あたしは必死にペダルをこいだ。
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