「・・・美樹・・・」 「・・・・・・」
久しぶりに見た美樹は、中学の時に会っていた美樹とは違っていた。
痩せていた。 目の下には隈ができて、長くてサラサラだった髪は艶を失くしていた。
「・・・なんか・・・智子だけど智子じゃないみたい・・・」
そう言って少し笑ってくれた。
「・・・え、・・・そう?どこからどう見てもあたしじゃん!」 「・・・そうだね・・・」 「・・・ありがと・・・開けてくれて・・・」 「・・・・・・」
無言で美樹は部屋に入れてくれた。
日が暮れるのが早いのもあるが、部屋はカーテンが閉め切っていて暗かった。 美樹はベットに腰をおろした。
と同時に、あたしはまずやるべきことをやった。
「ごめん!!」
頭を深く下げ、あの時言えなかった言葉を言った。
「ほんとに・・・ほんっとにごめんっ!!こんな事じゃすまないけど、でも・・・ごめん!!」 「・・・・・・」 「・・・許してくれなくてもいいから。っていうか、許されることじゃないし・・・。でもどうしても謝りたくて・・・今さらだけど、謝りたくて・・・」
17年分の思いが一気に込み上げた。 と言っても、ここ10年くらいは、はっきり言って忘れていた。 後悔していたことなのに、ほんと自分はなんて薄情な人間なんだと思い知らされた。
「・・・あたし・・・何が悪かったのかな・・・」
美樹は、ポツリと言った。
「・・・考えたけど・・・わかんな・・くて・・・。でも・・・理由・・がある・・・からだって・・・っひっく」
これが初めてではないだろう。 この部屋で何度も何度も美樹は涙を流していたはずだ。 いまだに自分の悪いところを探そうとしている。 自分を責めている。
・・・−−−っ!!
あたしは美樹の側にしゃがんだ。
目を見て話そうって決めたのに・・・それができなかった。 俯いてるせいで、余計に制服のスカートが涙で濡れていった。
「・・・っごめ・・ん・・・ひっく・・・っ美樹・・・ごめんっ!!・・・ひっく・・・悪く・・・ないからっ・・・美樹はっ・・・っく・・・なんにもっ・・・」 「・・・うぅっ・・・ひっく・・・」
お互い、泣くのを止めようとすればするほど、涙はこぼれた。 ドラマをみて感動するとか、映画を観て泣けるとか、そんな以外で泣いたのは何年振りだろう・・・。 まるで幼い子供のようにあたし達は泣きまくった。
「・・・・・・ズルっ・・・」 「・・・・・・ズルズルっ・・・」 「・・・はい、これ。」 「ズルっ・・・ありがと・・・」
お互い見るのも見苦しいくらいの顔になってた。 鼻水も吸っても治まらなく、美樹は自分の分も取って、あたしにティッシュを差し出した。 思いっきり鼻水を拭いて少しスッキリした。
「・・・智子・・・ひどい顔・・・」 「・・・人の事言えないよ・・・」 「・・・っぷ・・・」 「・・・くすくす・・・」 「「・・・っぷははははは!!」」
二人とも腫れた目で今度は大笑い。 あたしは今日一日の中で、この事態になって、初めて笑った。 こんなに笑ったのも久しぶりだ。
「あはははははは、あ〜あ、こんな顔近藤君に見られたら絶対幻滅されるよ〜。」 「え〜?あぁ、そっかぁ・・・あたし近藤君の事好きだったんだよね〜?」 「・・・何?あきらめたの?」 「え?いや・・・あきらめたとかじゃなくて・・・う〜ん・・・なんかどうでもいいって感じかな?」 「え〜!!なにそれ〜?」 「う〜ん・・・まぁ、いいじゃん。よくよく考えたらタイプじゃないってやつ?」 「え〜!!どうすんの?近藤君絶対その気になってるよ〜。」 「え〜!?それはないでしょ?避けられまくってたし・・・」 「それは、ほら〜、田口君とかが冷やかすからでしょ?」 「う〜ん・・・でも、まぁ、どっちみちうまくいきっこないよ。」 「え〜!?そうかな〜・・・」
いつの間にか、昔のように普通の会話になっていた。 強制されてするトークではなく、これが本当のガールズトークなんだろうね。
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