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作品名:あの頃へ 作者:こまち

第12回   謝罪
「・・・美樹・・・」
「・・・・・・」

久しぶりに見た美樹は、中学の時に会っていた美樹とは違っていた。

痩せていた。
目の下には隈ができて、長くてサラサラだった髪は艶を失くしていた。

「・・・なんか・・・智子だけど智子じゃないみたい・・・」

そう言って少し笑ってくれた。

「・・・え、・・・そう?どこからどう見てもあたしじゃん!」
「・・・そうだね・・・」
「・・・ありがと・・・開けてくれて・・・」
「・・・・・・」

無言で美樹は部屋に入れてくれた。

日が暮れるのが早いのもあるが、部屋はカーテンが閉め切っていて暗かった。
美樹はベットに腰をおろした。

と同時に、あたしはまずやるべきことをやった。

「ごめん!!」

頭を深く下げ、あの時言えなかった言葉を言った。

「ほんとに・・・ほんっとにごめんっ!!こんな事じゃすまないけど、でも・・・ごめん!!」
「・・・・・・」
「・・・許してくれなくてもいいから。っていうか、許されることじゃないし・・・。でもどうしても謝りたくて・・・今さらだけど、謝りたくて・・・」

17年分の思いが一気に込み上げた。
と言っても、ここ10年くらいは、はっきり言って忘れていた。
後悔していたことなのに、ほんと自分はなんて薄情な人間なんだと思い知らされた。

「・・・あたし・・・何が悪かったのかな・・・」

美樹は、ポツリと言った。

「・・・考えたけど・・・わかんな・・くて・・・。でも・・・理由・・がある・・・からだって・・・っひっく」

これが初めてではないだろう。
この部屋で何度も何度も美樹は涙を流していたはずだ。
いまだに自分の悪いところを探そうとしている。
自分を責めている。

・・・−−−っ!!

あたしは美樹の側にしゃがんだ。

目を見て話そうって決めたのに・・・それができなかった。
俯いてるせいで、余計に制服のスカートが涙で濡れていった。

「・・・っごめ・・ん・・・ひっく・・・っ美樹・・・ごめんっ!!・・・ひっく・・・悪く・・・ないからっ・・・美樹はっ・・・っく・・・なんにもっ・・・」
「・・・うぅっ・・・ひっく・・・」

お互い、泣くのを止めようとすればするほど、涙はこぼれた。
ドラマをみて感動するとか、映画を観て泣けるとか、そんな以外で泣いたのは何年振りだろう・・・。
まるで幼い子供のようにあたし達は泣きまくった。

「・・・・・・ズルっ・・・」
「・・・・・・ズルズルっ・・・」
「・・・はい、これ。」
「ズルっ・・・ありがと・・・」

お互い見るのも見苦しいくらいの顔になってた。
鼻水も吸っても治まらなく、美樹は自分の分も取って、あたしにティッシュを差し出した。
思いっきり鼻水を拭いて少しスッキリした。

「・・・智子・・・ひどい顔・・・」
「・・・人の事言えないよ・・・」
「・・・っぷ・・・」
「・・・くすくす・・・」
「「・・・っぷははははは!!」」

二人とも腫れた目で今度は大笑い。
あたしは今日一日の中で、この事態になって、初めて笑った。
こんなに笑ったのも久しぶりだ。

「あはははははは、あ〜あ、こんな顔近藤君に見られたら絶対幻滅されるよ〜。」
「え〜?あぁ、そっかぁ・・・あたし近藤君の事好きだったんだよね〜?」
「・・・何?あきらめたの?」
「え?いや・・・あきらめたとかじゃなくて・・・う〜ん・・・なんかどうでもいいって感じかな?」
「え〜!!なにそれ〜?」
「う〜ん・・・まぁ、いいじゃん。よくよく考えたらタイプじゃないってやつ?」
「え〜!!どうすんの?近藤君絶対その気になってるよ〜。」
「え〜!?それはないでしょ?避けられまくってたし・・・」
「それは、ほら〜、田口君とかが冷やかすからでしょ?」
「う〜ん・・・でも、まぁ、どっちみちうまくいきっこないよ。」
「え〜!?そうかな〜・・・」

いつの間にか、昔のように普通の会話になっていた。
強制されてするトークではなく、これが本当のガールズトークなんだろうね。


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