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作品名:あの頃へ 作者:こまち

第11回   無駄話
「ごめんなさいね、せっかく来てくれたのに・・・」
「あ・・・いえ・・・」

美樹のお母さんが紅茶とお菓子を出してくれた。

「あの、おかまいなく・・・」
一応大人としての言葉を交わす。

リビングに通されて待っていたが、当然のように美樹は部屋から出てきてはくれなかった。

「・・・こんな事初めてでね・・・おばちゃんもどうしていいか。」

親として何もしてやれない情けなさからか、少しまぎらわすように笑っていた。
その表情はあたしの胸にズキンときた。
美樹だけじゃなく、ここの家族みんなをも苦しめてたんだ。

なんてことをっ・・・。

改めて自分のしてきたことを悔やんでしまう。

「・・・あのっ、迷惑かもしれませんが・・・美樹が会ってくれるまで、待たせてもらっても構いませんか?」
「え・・・?でも、部屋から出てくるかどうか・・・」
「お願いします!!」

必死に頭を下げた。
ここであきらめてはだめだ。
ちゃんと美樹に謝らなきゃ。
許してくれないかもしれないけど、でも謝らなくちゃ。

「・・・ありがとう・・・遅くならない時間には帰ってね。おうちの人心配するから。」

にっこり笑って言ってくれた。とても優しい笑顔だった。

「・・・はい、ありがとうございます。」

美樹の部屋の前まで案内してくれた。

「美樹・・・山田さん会ってくれるまで待ってくれるって。少しでもいいから顔だしたら?」
「・・・・・・」
「・・・はぁ、こんな調子だけどいいかな?」

美樹のお母さんは、再度念を押した。

「あぁ、はい。構いません。好きで来たので・・・話したいこといっぱいあるし・・・」
「・・・そう。」
そういうと、台所の方へ戻った。

あえてあたしに何も聞いてこない。
なぜ来たのか、いったい学校で何があったのか、あたしはどういう関係なのか。
いろいろ聞きたいだろうし、知りたいだろう。
それが今のあたしにとっては助かった。
いじめてた子が直々家に訪れるなんて、親としては嫌だろうし・・・。
でも後から考えたら、わかってた上で何も聞いてこなかったのかもしれない。
美樹のお母さんは・・・。

「・・・美樹?・・・聞こえてる?」
「・・・・・・」
「・・・いきなり来てごめんね。」
「・・・・・・」
「・・・でも・・・どうしても美樹に会いたくて・・・」
「・・・・・・」
「・・・勝手なのは充分わかってんだけど・・・でも、美樹が部屋開けてくれるまで・・・本題には入らないから・・・」
「・・・・・・」
「ちゃんと、顔見て話したいし・・・」
「・・・・・・」

一向に返事が返ってこない。
覚悟してたけど、長期戦になるかな・・・?

「・・・それよりさ、美樹のお母さんって美人だね。会ってびっくりした。あまりにもうちの親と違いすぎるし・・・歳も若そうだもんね。」
「・・・・・・」
「それにやっぱり、東地区ってうちらの南地区より進んでるから、おしゃれだよね。なんかこの辺住宅街って感じだし、家いっぱいありすぎて迷っちゃった。あたしの隣近所、徒歩数分歩かないとないもん。回覧板回すの面倒なんだよね。お母さんよくあたしに頼むしさぁ。裏は山だしぃ。」
「・・・・・・」

あたしはかまわず、どんどん話し続けた。

「あぁ、そうそう。帰りにさぁ、えっとなんだったっけ・・・?生活指導の・・・あ、黒田だ。そう黒田!!あいつに自転車の止め方の事でこっぴどく怒られてさぁ・・・まぁ、あたしが悪いっちゃ悪いんだけど、でも元はと言えば松井君のせいでさー。朝ギリギリで学校着いて止めるとこ1台分見つけて、さぁ、止めようと思ったら、横取りされてさー。文句言ったら、オバタリアンか?って言われて!ムカつくと思わない?あのすかした感じほんっと生意気だわ。あれでよくモテるよな〜、不思議・・・そういえば、松井君て東小だっけ?昔っからあんな感じなの?・・・まぁ、どうでもいっか。・・・あとさぁ・・・」

あたしは、適当な会話をいくつもした。
朝テレビつけた時に流れてた、この時代のワイドショーのこととか、新聞のテレビ欄に載ってた、この時代のドラマの話とか・・・。
でも、だんだん話のネタもつきてきた。

・・・えっと〜・・・他になんかないかなぁ・・・

「・・・あ、そうだ。面白いこと教えよっか。ほら、ノストラダムスの大予言?ってのあるじゃん。世紀末に人類が滅亡するってやつ。あれね〜・・・まったくの嘘なんだよー。なぁんてことなく、平和に過ごせるんだよ。でも・・・環境問題とかのこと考えると、いずれは滅亡するだろうね・・・形ある物壊れるってね・・・・・・っ!!」

しまった!!あたしまた変なこと言っちゃった。
こんなこと言う中学生いないでしょ!?
う〜ん・・・ま、いっか・・・

「あとね〜・・・そうだなぁ・・・あぁ、そうそう!キムタクっ!!実はね・・・工藤静香と結婚するんだよ。あ、だいぶ先の話だけどね。これは超驚いたよ〜。あ〜、あと中山美穂も結婚して子供できたんだよね〜。」

この頃、あたしは中山美穂の大ファンだった。
今もだけど・・・憧れる芸能人だ。

「・・・キムタクって・・・SMAPの木村拓哉・・・?」

「うん、そうだよ。あぁ、まだキムタクって略してなかったっけ?・・・・っ!!」

・・・え・・・?今・・・しゃべった?・・・よね?

とっさに、座り込んでいた態勢が立ち上がった。
当たり前のように会話が繋がったけど、数分間あたし一人でしゃべり続けてたのに・・・

ガチャ・・・

ドアのぶが回った。

一瞬にして緊張が走る。

17年ぶりに美樹との再会だ・・・


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