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作品名:あの頃へ 作者:こまち

第106回   106

・・・・・・ん・・・・・・のど・・・カラ・・カラ・・・
・・・う〜ん・・・水・・・ほしい・・・

あまりののどの渇きに、意識がはっきりしてくる。

寝返りをし、布団を足と足の間に挟み、抱き枕状態にする。

・・・下に行くの・・・めんどくさ・・・
・・・・・・

眠いのと格闘していたが・・・のどの渇きには勝てなかった。
そして、時間を知りたくて、いつもベット横の台に置いてあるはずの携帯電話を手探りで探す。
・・・が、ガタンッ。
・・・何か違う物を落としてしまったみたいだ。

目をゆっくり開け・・・手でこすった―――
・・・・・・
・・・・・・



・・・・・・――ガバッ!!
・・・っつ〜・・・いたたっ〜〜〜

勢いよく起き上がったものの、頭が割れるように痛み、手で押さえる。
が、すぐに辺りを見回す。



ここ・・・どこ・・・?
というか・・・なんか、見覚えがあるような・・・?
あれ?・・・あたしまだ夢の中か・・・?

えっと・・・とりあえず落ち着け・・・
・・・同窓会・・・だったよね?
2次会で飲んでて・・・田口君やケンちゃんと話もできて・・・
そうだっ!・・・松井君とも再会して・・・隣にいて・・・
・・・・・・
・・・・・・
あたし・・・・・・途中から・・・記憶がなくなってる。

確かに、普段のあたしにしては急ピッチだったけど・・・
ここまで飲んだのは、初めてに近いんじゃ・・・

記憶なくしてベットに横なってるって・・・・・・はっ!!
思わず、服装に目をやる―――

ホッ・・・酔った勢いで、なにかをやらかしてしまったと思ったが、30にしてそんな失態は許されないでしょ・・・。
多少、スカートがしわくしゃとなっていたが、それはきっと自分の寝相のせいだろう。
とりあえず大丈夫みたい。

いや・・・大丈夫ではないぞ・・・
ほんと・・・ここはどこだ?

ふと、ベットのすぐ下に目をやる。
先ほど落としたものだろう、目覚まし時計が転がってる。
そして、あたしの荷物とニットのロングカーディガンが置いてあった。

誰かの家っぽいな?
間違ってもホテルじゃないのは確か。

そして見覚えのある・・・・・・っ―――!!




・・・そうだっ・・・
・・・ここで・・・
・・・この部屋で・・・
・・・このベットで・・・っ!!




見回した先にある、写真が目についた。
そこには、ユニフォーム姿の学生らしき集団と、サッカーボールを持った人が並んでいる、集合写真だった。

ゆっくりと、ベットからその写真に近づく―――

そして、はっきりと顔立ちが見える距離まできて・・・・・・確信した―――



コンコン・・・



―――っ・・・

ノックの聞こえる扉へと目をやる。



「・・・開けるぞ。」



・・・この低い声にも、聞き慣れていた。

ガチャ・・・
ゆっくりとドアが開く。



「・・・やっぱり起きてた?・・・なんか音したから・・・」



そこに立っていたのは、居酒屋で隣に座っていた、松井君だった。

この部屋は・・・この家は・・・松井くんちだった。


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