「おいっ、ケン・・・寝るなよ?」 松井君は、静かになったケンちゃんを揺さぶった。 「・・・だい・・じょうぶ・・だよ・・・このやろ・・・むにゃむにゃ・・・」 半分夢の中みたい・・・
周りのみんなも、ほどよく酔って、会話がまばらだ。
あたしときたら・・・隣に座って1時間は経つだろうに・・・ 松井君とは、一言も話していない・・・その前に、まともに顔も見れてない。
あまりにも、意識し過ぎてしまっている自分が嫌だった。 これって・・・変態もいいとこだ。
そのことを紛らわすため、酒のペースはさらに速くなる。
ふと・・・隣から話し声が聞こえた。
「・・・・・・こいつの言ったこと・・・気にすんなよ。」
はっきりと聞こえたが・・・誰に対して言ってるのか、全くわからなかった。 ・・・が、ピリピリと意識している隣から・・・視線を感じる・・・
・・・・・・−――っ!!
もしやと思い、隣に目を向けると、もろに松井君と目が合ってしまった―――
「こいつ・・・酒癖悪いから・・・」
黙ったままのあたしに、再度付け足して話し掛けてきた。
「・・・・・・っ・・・あ・・・うん・・・」
やっとのことで、返事ができた。 いや、できてたのかどうか、わからない。
松井君の・・・あの目に・・・吸い込まれるかと思ってしまった。
またしても、口にお酒を運ぶ。 こうなったら、飲んでないといられないでしょ!
ケンちゃんは完全にダウンしており、田口君と松井君が話しているのが耳に入る。
「マジ会社キツイかも・・・」 「・・・今はどこも一緒だろ?」
内容は男ならではの、この100年に一度の大不況と言われていることだった。
「俺んとこ、車関係だから、もろだわ・・・リョーマんとこは?あんま関係ねーんじゃね?」 「そうでもねーよ・・・どっかが狂えばみんな共倒れなんじゃね?」 「そっか〜・・・そうだよな・・・サポーターする会社がヤバくなれば、それを頼りに試合するとこもヤバくなって、それに出場する選手が試合も出れずヤバくなる・・・そうなると、おまえんとこも打撃だな・・・まぁ・・・連鎖してるもんか。」
なんとなく・・・この会話が気になった。 もちろん、松井君のことが気になるのがあってのことだけど・・・仕事・・・何してるんだろ? 選手って・・・それに影響するって・・・
「でも、世界のミズ〇だろ!?ちょっとやそっとじゃつぶれねーよっ!」 田口君がそう言って、松井君の肩を叩く。
・・・ミズ〇・・・って・・・あのスポーツメーカーの・・・?
・・・・・・―――っ!!・・・まさ・・・か? ・・・サッカーだって、会社でやってるって・・・ いや・・・偶然だよ・・・ でもっ・・・やっぱり・・・っ!!
何度打ち消そうとしたあの夢の記憶・・・
松井君は言ってた・・・あの夢の中で・・・将来の夢を語ってた・・・
チームを作って、大会に出たいって――― サッカーに関することだったら・・・なんでもいいって―――
それが、制作する側でも・・・ボールとか・・道具とか・・・なんでもいいって―――
ただの偶然と思えるほど・・・あたしは、冷静になってなかった。 考えれば考えるほど・・・熱い・・・体も・・・頭も・・・っ
・・・・・・ ・・・・・・ ―――――― ―――――― ――――――
その後の・・・あたしの意識はなくなっていた―――
なんかの、夢を見た気がした・・・
内容なんて、わかんなかったけど・・・ でも・・・すごく、ふわふわして・・・ 気持ちよくて・・・
あまりの気持ちよさに、また深い眠りに入ってしまったんだ―――
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