さっきの盛り上がりで、みんなだんだんと何組かのグループ別れ出して、飲み始めた。 あたしは始めの席から動くことなく、飲み続ける。
「ナイスアシストっ!!」 そう言いながら、半分空いたコップにビールを注いで来た。
―――っ!!・・・野村君だ。
「これで、田口も未練なくなったんじゃない?」 黙ってるあたしに、続けて話してくる。 「まぁ・・・どっちみちフラれてる運命だったろうけど・・・はははっ。」
あたしもなんとなく笑みがこぼれた。
「ところで山田って、まだ独身なわけ?」 「えっ・・・まぁ・・・売れ残ってます・・・」 「へ〜・・・じゃあ、俺で手打たない!?」
―――っ・・・なっ・・・なっ・・・!!
あまりにもあっさり言われて、聞き間違えたかと思った。
「あ〜っ、ケンちゃんまたそうやって口説いてる〜っ!!」 弘子が聞いていたらしく、間に入ってきた。
「何がだよ〜、変な言い方すんなよ!俺は山田とこうして再会して、運命を感じて言ってるんだよっ!」 「またまた〜、あたし知ってんだから〜。ケンちゃん10も年下の彼女いるんでしょ!?」
―――!!・・・10・・も年下!? マジで・・・?
弘子の言葉に思わず野村君を見てしまった。
「ばかやろっ!なんで年まで言うんだよ!俺がロリコンみたいじゃん!!」 「近いもんがあるでしょうが!!ほんっとに・・・田口君のこと言えないじゃん!自分だって隙あらば浮気しようとしてっ。」 「ったく・・・冗談に決まってんだろ!?山田だって、俺なんか相手にしてくれないわ、なぁ?」 そう言って、あたしに目をやった。
不覚にも、少し本気にとらえた事を恥ずかしく思う・・・ そのことを紛らわすためにも、強気で言い返してしまった。
「・・・当然っ!あたしにだって、好みがあるわ・・・ケンちゃんは、例外だね。」
「「・・・・・・」」
一瞬、間が空いた。 ・・・―――!! その事で、思わず「ケンちゃん」と呼んでしまった事に気付いた。
「・・・このやろ〜、言いやがったな〜っ!後で後悔しても知らねーぞ〜っ!」 野村君はそう言いながら、あたしの頭を腕で回し、ヘッドロックしてきた。 あえて、あだ名で呼んだことを気にせずに・・・接してきてくれた。
「――っちょっ・・・痛いってば〜!!・・・――ケンちゃんっ!!」
そのことをあたしも気にしないように、また「ケンちゃん」と呼んだ。
やっとケンちゃんのヘッドロックから解放され、髪型を整える。 ケンちゃんは笑いながら、お酒を手に取った。 そして口に進めながら、視線の先に誰かを捕らえたんだろう。 コップをテーブルにドンっと置くと、その相手を呼んだ。
「・・・――おいっ!!こっちこっち!!」
店の入口の方に向かって、手招きをしている。
誰か遅れて来たんだろうか? そんなことを思いながら、入口から背を向けていたあたしは目をやった。
・・・・・・――――――っ!!
その相手は、こちらのメンバーに気付き近づいてきた。
「やっと来たか〜っ、もう来ないかと思ったよ。」 ケンちゃんは立ち上がり、その人の腕を引っ張ってきた。
「・・・え・・・もしかして・・・」 弘子を始め、他のみんなも遅れてきた人物に目をやる。
「・・・俺も来んのやめとこうかと思ったけど・・・おやじが行けってうるさいし・・・」
あの頃と・・・夢の中と、多少違う声だ・・・少し低く感じる。 背は立っているせいか、さらに高くなってるような・・・顔は面影を残しつつも、年相応の顔立ちで、ちょっと渋めが入ったというか・・・。
一言でいえば・・・やっぱり、かっこよかった。
「・・・松井君・・・だよね?」 弘子が話しかける。 「え・・・あぁ・・・はい・・」 余所余所しく答えた。
「いや〜〜〜っ、久しぶり〜〜〜っ!!」 弘子は今まで以上にハイテンションになる。
「なにが、・・・はい。だよ!ほらっ、突っ立ってないで飲もうぜ!」 ケンちゃんに導かれるまま、こっちの席に近づいてきた。
―――っ・・・・・・ なんとなく、俯いてしまう。
もう来ない・・・会えないと思っていた彼が・・・・・・突然現れ、あたしの頭はパニクっていた。
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