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作品名:あの頃へ 作者:こまち

第102回   102
タクシーに乗り合わせて、2次会会場となる居酒屋に到着する。

結局、ケンちゃんの強引な誘いに流されてしまった。
あたしとしては・・・あまり話すのを避けたかった。
思わず、夢のようにケンちゃんと接してしまいそうで・・・実際にはそんな関わりなかったのに、それは馴れ馴れし過ぎるだろう。
それに・・・「ケンちゃん」・・・そう呼んでしまいそうで怖かった。


2次会に出席したのは、3分の1くらいか。
小さな子供がいる人とか、次の日の仕事の関係とか、大人としての事情に逆らえない理由だった。
会場で一緒の席だった友人たちは、ほとんど欠席していた。
それだけ、家庭がある子が多いということを意味している。
だからここに残っているのは、少なくとも今日、明日の早朝はヒマな人の集まりとなっている。


「じゃあ・・・再び、カンパ〜イ!!」
ここからは、ほとんどケンちゃんの仕切りとなっていた。
「「カンパ〜イ!!」」
そのことをみんなが止めるわけでもなく・・・

またさらにみんなの酒のペースが速くなっていく。
そして、ついに同窓会ではありがちな話題へと突入した。

「え〜っ!?そうなの!?知らなかった〜!!」
「この際、今告白したら〜?」
「ぶはははは〜」

そう・・・実はあの時あの人のこと好きでした、というぶっちゃけトークだ。

あたしは、なるべく会話に触れず入らずと、隅っこの方でチビチビと飲んでいた。
・・・が、それはこの男によって、邪魔された。

「あとはそうだな〜・・・あっ、そうだ、山田って1年の時、近藤のこと好きだったよな?」

――ぶっ!!
飲んでいたビールが吹きこぼれる。
慌てておしぼりで口元を押さえ、今その事をバラした田口君へと目をやった。

―――こい・・つっ・・・ほんっと、変わってないんだから〜・・・

「・・・そうだ・・・そうだったね!智子、近藤君のこと好きだったね〜。」
弘子が思い出したかのように入ってきた。
「おいっ、近藤!」
近藤君も2次会に来ており、話をふられる。
「おまえ、実のところどう思ってたわけ!?」
調子に乗った、田口君がはやし立てる。
「えっ・・・どうって・・・あの時はさ、おまえを始め、みんなで冷やかしてただろう?ガキだったから俺はそれを言われるのが嫌で、いっつも逃げてたけど・・・」
近藤君は、当然だけどあの頃とは違う、対応をしてくれた。
「じゃあ・・・俺らがなんも言わなかったら〜・・・ってことか〜!?」
「あはははは〜、ほんっと、田口君って人のことばっか冷やかしてたよね〜。」
「違うよ!俺は、みんなのキューピットになってあげようと・・・」
「はいはい。」

軽くあしらわれるのも変わってない。

「でも、近藤んとこ、今嫁さん妊娠中だろ?」
田口君が、話をずらした。
「うん、まぁな・・・」
近藤君は照れくさそうに答える。

そっかぁ・・・近藤君も結婚してたんだ・・・もうすぐパパ・・・か。

「・・・ってことは・・・おまえ今日は浮気するつもりで来たな〜!」
「ばっ――なに言ってんだよ!」
「照れんな照れんな!わかるぞ〜、お前最近、我慢してんだろ〜!?」

・・・下ネタかよ・・・ほんっとにこいつはっ・・・!

「おいっ、山田!おまえまだ独身だろ?どうよ、今夜こいつと。」

―――っ!!

田口君はそう言いながら、近藤君の肩に手を回した。
「おいっ、田口、冗談もほどほどにしろよ・・・ごめんね、こいつかなり酔ってるわ・・・」
初めてとも言えるんじゃないだろうか?
近藤君が、あたしに話しかけてきた。

――っ・・・・!

思わずその事にドキッとしてしまったが・・・それは田口君の一言で一気に冷めた。

「・・・おっ、近藤いけるぞ・・・山田一瞬その気になったわ。」

―――っ!!・・・こっの〜〜〜・・・



「――ガキっ!!・・・あんたって、ほんといつまでたっても低レベルなことばっか言って・・・もう一回中学生戻ったら?・・・いや、あんたの場合、何度やり直しても同じだわ。」



「「・・・・・・」」

一瞬辺りが静かになった。
そして、似たような事を言ったことある気がした。

「・・・智子?・・・酔ってる?」
きょんちゃんが声を掛けてきた。
「・・・・・・少し。」
そう言った方が誤魔化せるかもと思い、そう答えた。

「・・・っ・・・ぶはははは〜っ!ほんと山田言うとおりっ!この馬鹿は何回やり直しても一緒だよ!」
その静けさを打ち消すかのように、大爆笑したのはケンちゃん・・・いや、野村君だった。

「あんだよ〜、そこはフォローしろよ、ケン・・・」
田口君が気弱に言い返す。
「ば〜か、俺がいつでも助けると思うなよ!だいたい、お前近藤のこと言えんの?実は自分が浮気目的でやってきたんじゃね?・・・目当ての人もいることだし・・・」
野村君はそう言って、不敵な笑みを浮かべた。
「――//ばっ!!ケンっ、なに言いだすんだよっ!!」
「早く話し掛けろよ〜、何のため俺が連れてきたわけ!?」

他のみんなにも、だんだんと言っている意味がわかってきた。
田口君も話によると、新婚さんで奥さんが妊娠中みたい。

問題は、その相手が誰かだ?ということ。

ざわつき始め、相手探しが始まった。
「おいっ!やめろって〜・・・ケンのデタラメに決まってるだろう!」
田口君は、みんなが誰かと誰かと問い詰めているのを、必死に止めていた。

・・・田口君・・・今でもきょんちゃんに気があるの!?ってなくらい、顔が真っ赤だ。
いや・・・かつて好きだった人だもん、こういう風になってしまうもんか・・・。

なんとなく、慌てふためく田口君を見ていると、さっきのお返しがしたくなった。
ふと、隣にいるきょんちゃんに目をやる。
きょんちゃん自身も、まさか自分の事とは思ってもおらず、誰だろうと話に加わっていた。
そんな親友に、心の中でごめん・・・と謝っといた。



「ほんっと・・・今も昔もやり方が同じでわかりやすいのよっ!」



あたしは飲み直していたお酒をテーブルにトンっと置いて、言い放った。

「・・・は?・・・何・・言ってんだよ?」

田口君始め、みんながあたしに注目する。

「中学ん時も、あたしをダシにして近づいてたじゃん。」
「―――っ//」
「・・・いっつもあたしが、きょんちゃんと一緒にいたからって。」

「「――え〜〜〜っ!?」」

相手がわかり、一斉にきょんちゃんへと視線が移る。
「・・・――//」
そのきょんちゃんは予想通りの真っ赤っか。
そして、まだ騒ぎが大きくなった。

「マジで〜っ!?・・・っていうか・・・そうだ・・・思い出した!そんな話聞いたことあるわ〜。田口君がきょんちゃんに想い寄せてるって・・・うわ〜・・・あったあった〜!」
何人かが口々に言う。

そして、野村君が指揮をとった。
「さぁ〜っ!!今から15年の歳月を経て・・・田口 武の告白タ〜イムっ!!」
「「ヒューヒューッ!!」」
あまりの盛り上がりに、きょんちゃんに悪い事をしてしまったと感じた。
だが、この流れは止まらなさそう・・・

「「こっくはく♪こっくはく♪」」
みんなが手拍子を始めた。

「〜〜〜〜〜〜〜っ//」
酒のせいか、はたまたこの状況のせいか、田口君の顔も真っ赤だ。
このまま黙ってると思いきや、置いてあったビールジョッキを一気飲みした。

「「お〜〜〜っ!!」」
田口君の飲みっぷりにみんなが歓声を上げる。

そしてドンっと、ジョッキをテーブルに置くと、開き直ったかのように叫びだした。

「・・・――俺は〜〜っ!・・・――中田がずっと、好きだった〜〜〜っっ!!」

・・・ほんとに・・・言ったよ・・・

「「・・・・・・ぅお〜〜〜っ!!!」」

田口君の告白にみんなも最高潮だ。
この流れで、きょんちゃんは田口君の隣に座らされた。
30になる大人同士だが、見た感じが完全に中学生になってしまってる。

まぁ・・・こうして話せるのも今夜だけだろうし・・・明日からは現実が待ってるもんね。
きょんちゃんにとっても、田口君にとっても、幸せな現実が・・・。


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