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作品名:道化 作者:ugly

最終回   1
小さな小さな村に 一人の道化が居た。
青の法衣に身を纏い エメラルドグリーンの長い髪を揺らし
顔にはファントムマスクを付け
喜劇を語り 踊る道化が。
道化の話と踊りは村の人に笑顔を与え
万人を笑わせる。

だが ただ一人。
笑ってくれない少女が居た。

道化は何とかして少女を笑わせようと
様々な仮面をつけ 様々な踊りを踊った。

何日か少女の為に踊り続けたある日
少女が笑った、手を叩いて 本当に可笑しそうに

醜悪な仮面と踊りに。


それからも道化は少女の為に
悲劇を語り 死の淵に立った様な踊りを
踊り続けた。

だがその踊りと悲劇は 村人に忌み嫌われ
罵声をかけられ
レンガを投げつけられ
それでも道化は踊った
法衣が赤に染まり 伝った血が地面に落ち
血溜りを作り。

少女は法衣が赤く染まる度に
血が地面に滴る度に
手を叩きあどけない笑顔で笑う

終演の幕は 小さな小さな子供が投げつけた石に閉じられた。

道化はその場で崩れ落ち 息絶えた。


少女は道化の仮面を外し 仮面の下の醜い道化を見て
また笑った。


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