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作品名:オヤジSFアドベンチャー特異点友和 山崎の合戦1 作者:千駄山ロッカ

第8回   山崎の合戦8
  特異点、友和


 牽引光線により友和と信長、それに蘭丸が、フェロモン号の艦内に引っ張り込まれた。
 信長と蘭丸は、例のぬるぬるローションの、透明カプセルに入れられた。
 メインコンピューターの(ママ)が言う。
《蘇生プログラム始動するわよ》
 フェロモン号の中は相変わらず、アメコミのバンピレラのような、超セクシーといおうか、凄くエロい衣裳の、綺麗な女達のクルーが立ち働いている。
 友和は、aタイプとの嬉しい再会であった。
 aタイプは目を丸くしながら、一気にまくし立てる。
「特異点出現にパラドックス警報でしょ? もう、こっちの方も友和さんだとわかって、ビックリしちゃった。あなた何処にでも居るのね? もちろん、こっちから見た場合だけど。……さっき、モヘン・ジョダロで、わたしのオッパイ触ったのよ。もっとも友和さん、まだ子供だったけど」
 コトミ艦長が言う。
「循環型時空閉塞『二十分間の世界』で、どうしてあなただけが循環していないのか、気になってたんだけど、要するにあなたは、特異点だった訳なのよ」
「なんだい特異点って? 得意になってもいい事なのか?」
「まあ変わりダネって事は確かね。実はよく解らないのよ。あなたみたいな特異点が、変な所に現れる度に、☆特異点出現とか、☆パラドックス警報ってメッセージが届くのよ。銀河系の連盟の知的生命体は、コスモス・メッセージって呼んでるの。──『カオス』と関係しているらしいんだけど……。──私達にも解らない事は多いのよ」





   モヘン・ジョダロ


 友和は小学校低学年の頃、田舎の町営住宅に住んでいた。
 昭和三十年代には、田舎のあちこちで造成されていた、モルタル塗りのハーモニカ長屋である。
 造成地は山を切り崩し、谷を埋めたて延びて行った。
 そこにはまず、最初に排水路が造られた。
 側溝と呼んでいた。
 友和はこの、まだ無人の、新造成地の側溝で遊ぶのが大好きだった。
 ガキ大将の取り仕切る、草野球での玉拾いなど、意に添わない友和は、いつでも蟻の巣をいじって遊んでいた。
 主に水責めにするのだが、花火の爆竹の一種である2B弾や、煙幕責めも好きだった。
 思わぬ所から煙が立ち昇り、蟻が逃げ出してくる。
 それから、トンボや青ガエルと遊んだりもした。
 トンボは羽をジェット機のようにカットして、壁に向かって投げつけるのだが、羽の長さや形態によって、回避行動にバリエーションがあって、なかなか面白いのだ。
 回避出来なかった奴はもちろん、壁に激突してお陀仏である。
 青ガエルは、空きカンの中に2B弾と一緒に入れて点火する。
 ポキュンという音と共に、カンがすっ飛び、残った青ガエルの腹には、それは見事な穴がポッカリとあいている。
 勿論お陀仏である。
 酷いガキである。
 そのうえ、トンボや青ガエルのお墓を作って、家の仏壇から持ち出した線香を立てていると、近所の大人に優しい子供だと褒められたりする。
 まったく。
 罰が当たりそうである。
 なにしろ、側溝とボソボソの白壁が大好きな友和であった。


 いつものように新造成地の側溝で、青ガエルを追いかけていて、ふと顔をあげると、モルタルの白壁であった筈の壁が、見事な石積みの壁になっているではないか。
 いつの間にか日だまりの中、広く立派な石畳の路脇の、大きな石壁沿いの側溝の中に居る友和なのであった。 
 陽気は暖かく、路行く人々は皆サンダル履きで、軒を連ねた露天では、鳥や魚や、様々な木の実や、豊富な野菜と果物が、ところ狭しと並んでいる。
 ときに牛車も通った。
 道端では老人達が、盤上で粘土や石のコマを動かすゲームに興じていて、大人や子供のギャラリーが、回りに集まり興奮している。
 皆、浅黒くて目の大きな、愛嬌のある顔立ちだ。
 生乾きの粘土盤に、ペタペタと印章を押す商人達。
 コロコロと円筒印章を転がすのは、メソポタミアから来た外国商人であろう。
 沐浴場では老若男女が祈りを捧げ、飲食店は賑わい、楽師達は見た事もない楽器で、実に不思議な音色を奏でる。
 ここ、モヘン・ジョダロは、繁栄を謳歌しているのだ。
 その時、空の一点が光った。
 続いて入道雲のように強烈な水蒸気が立ち昇り、雷鳴が轟く中、オレンジ色に光り輝く大型艦、フェロモン号が現れた。

 ──ドンドロドンドロドンドロドンドロ

「アパマンチョビレラ、カーワカーワ!」
「カーワ! ツネクリ、ポポヤンピー」
 驚愕の人々は、空を見上げて、口々に叫んだ。
 権力者である神官も叫ぶ。
「タッマシテイカ、ヲトコ、ナレタホア」
 友和少年にとってドラヴィダ語は、ただ可笑しいだけだ。
 従って、けらけら笑っていると、さっそく牽引光線にひっつかまって、ぐいぐいと引っ張り上げられた。


 艦内には独裁官ミナコがいた。
 ダルマローター2重星系での宇宙戦闘で、キョコーンのユータロ提督の艦を、完膚無きまでに叩きのめした帰路であった。
『パラドックス警報』が鳴ったのだ。
 つまりコスモス・メッセージを受信したのだ。
 これはミナコ達のみならず、銀河系を航行する時空艦は、皆、追跡調査の義務を負っていた。
 バンピレラも逃げ出しそうな、銀河系最新モードである、キワドイ衣装を身につけた、スタイル抜群の独裁官ミナコが言った。
「あら、可愛い坊やなの。なあに? この坊や、あの江守友和なの?……そう。 特異点だったのね。びっくりなの! ……ふーん。ママのおっぱい、もっと飲みたかったのね。aタイプ、面倒見てあげるの」
 素っ裸の友和少年は、心象風景を映し出す、例のぬるぬる透明カプセルの中で、おちんちんの皮なんぞを無心に引っ張って遊んでいる。
 aタイプが入ってくる。
「まあ可愛いわね。友和クン、お姉ちゃんが、お家、おくったげるね」
「きれいなおねいちゃん。たっちもみもみしていい?」
「さすがは江守友和! エッチねえ。ちょっとだけね、あとは大人になってから。……ね」
 艦内に、またもやコスモス・メッセージが鳴り響いた。

 ──☆特異点出現! ☆特異点出現! ☆パラドックス警報! ☆パラドックス警報!

 コトミ艦長がコスモス・メッセージの受信確認ボタン『コスメボタン』を押しながら言った。
「最近『コスメ』多いわね。ところでミナコちゃん、そろそろ行った方がいいわね。高速艇の準備OKよ」
 独裁官ミナコが言う。
「今、入った『コスメ』も、友和クンを送ったら、すぐ頼むわね。それから、時空閉塞『二十分間の世界』の友和オジサンの様子も、なるべく早く見に行ってね。待ち切れないかしら?」
 aタイプが言う。
「大丈夫です。341年後に助けに来るって、言ってあります」
 コトミ艦長が笑い出す。
「あははは、二十分間の循環世界の中で、341年なんて、いくらなんでも長過ぎるわよ。可哀相に」
 aタイプが言う。
「だってキョコーンとの戦闘、もっともっと、ずっと長びくと思ったんだもん」
 パイロットに促され、独裁官ミナコは高速艇に乗り込む。
「じゃ、先に帰るの。みんなも収穫祭までには帰ってきてね。コトミ艦長、あとはよろしくなの」
 高速艇は一路、245ヶ星系の首都のある375星に向かって、音もなく飛び出していった。
 メインコンピューターの(ママ)が言う。
《コトミ艦長、今度の『コスメ』も江守友和よ。日本の戦国時代に居るわ。ずいぶん活発な特異点だわね》
 コトミ艦長が言った。
「うろちょろと忙しいチンコロンだわ」

 注、245ヶ星系の世界では、男性種はチンコロンと呼ばれる隷属愛玩種となっている。


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