忍法援交の術
夕刻近くであった。 小石がパラパラと舟小屋に当たった。 「友和様、手の者が参りました。姿を見せるのじゃ」 瞬時にして、くノ一が二人現れた。 沙織(さおり)と、小鹿(こじか)という伊賀百池(いがももち)の下忍であった。 桔梗が着ているピンクのフリフリブラウスに驚いた様子である。 一方友和は、時代劇の撮影所を見学に来た気分だ。 ともあれ、桔梗(ききょう)の傷を案じて大事をとり、もう一晩舟小屋で過ごし、明朝出発する事となった。 「姫様、敵の姿はありませぬ。千草と楓の亡きがらを葬って参りまする」 言うと同時に小鹿が消えた。 流石は忍者である。 動作が抜群に素早い。 沙織は桔梗の言い付けでかまどに火を入れ、鍋でお湯を沸かしていた。 なんと沙織は鍋を携えてきたのだ。 鉄びんや鍋釜は、この時代においては貴重品なのだ。 「せめてもの恩返しです。友和様、今宵は、我が下忍の沙織か小鹿にお情けをかけて下さいませ。どうぞ存分に、くノ一の秘技をお楽しみ下さいませ」 一瞬、友和の鼻の下がべろりんと伸びたような気がするのだが、戦後民主主義教育で育った友和は、桔梗の封建的な物言いが気に入らない事もまた確かであった。 「桔梗さん、その、くノ一の秘技っての、あなたに味あわせて欲しいな。俺が助けたのは沙織でも小鹿でもなくて、桔梗さん、あなたなのだから」 桔梗は真っ赤になった。 「友和様には命を助けられたばかりでなく、女の秘密まで見られてしまいました。何でわらわが否を申せましょう。しかれども、わらわは上忍の家の者、くノ一の秘技なぞ習うた事も無く、知らぬ事ゆえ殿御が満足なさる程の密儀はできませぬのじゃ」 かまどの火をかきまぜながら沙織が笑って言った。 「里も滅んだ今なればこそ申せますが、姫様、元々、くノ一の秘技などというものは、ありませぬのじゃ。方便と申してな、それ上忍や中忍の大頭小頭殿が、下忍の娘を手込めにする口実なのじゃ。娘も娘で小頭殿から貰う小粒(金)がほしゅうてな、秘技を習うたと申しまする。その小粒で綺麗なべべなぞ買いますのじゃ」 笑い顔の友和が言う。 「今も昔も変わらないな。忍法援交の術。なんちゃって」 困った顔の桔梗が言う。 「年々伊賀の秘密が増えてゆきまする」 いつのまにか小鹿が現れて言った。 「おなごは好いて下さる殿御に抱かれるのがなにより嬉しき事。姫様なさりませ」 沙織が言う。 「里も無うなった今、いかに上忍百池の姫様でも、滅多に良縁はありませぬ。友和様は男前じゃ、姫様が否ならわたしがそれ、それこそ伊賀の秘技の、とろける密儀で奪ってしんぜようか?」 「あ、沙織……待って」 と、桔梗はうろたえる。 「ささ姫様、なさりませ、なさりませ」 沙織と小鹿が囃し立てる。 「友和様、今宵……。桔梗を抱いて下さいませ」 顔を赤らめながら小声で耳打ちする桔梗であった。 何故だか昔の方が断然モテる友和である。 カップ麺二個と白桃の特大缶詰、ポテトチップスにクッキー数種類と、ビーフジャーキーにアイソトニック飲料が夕餉であった。 くノ一と言えども年頃のおねえちゃん達である、初めて味わう現代食の旨さに喜び、はしゃぎながら食べる様子は、まるで遠足にでも来たような雰囲気なのだ。
楽しい夕餉が済み、沙織が携えてきた鍋に、オレンジ・ペコーのティーパックを入れて煮出し、お椀で回し飲みのティータイムを楽しむ友和と、くノ一達である。 「ほんに友和様は有徳人(うとくじん)じゃな。珍しき品物ばかりじゃ。しかも何でも旨い」 「わらわは朝頂戴した、ちょこれい糖が一番じゃな」 「チョコレートならまだたくさんあるよ。そうだボストンバッグにもハーシーのチョコがあったな」 「箸とな?」 オカマのナミちゃんはハーシーのチョコが大好きで、ボストンバッグにはハーシーの大袋が数袋入っていた。 「ところでその真っ赤な布はなんであろう」 ブラジャーであった。 友和が自分の胸に当てて見せてやると皆、小娘らしくキャーキャー騒ぐのだ。 「乳に当てるのか?」 「被せるのじゃな」 「綺麗な色じゃ」 「何やら助平なように思う」 真っ赤なパンティも見せてやる。 「これで一組とな? 対となっておるのか?」 「頭巾にしか見えぬな」 「いくら聞いても解らぬ」 「小鹿、付けてみよ。友和様よろしいか?」 小鹿が真っ赤なパンティとブラジャーを付ける。 「成る程」 「可愛いのう小鹿」 「何とのう脱がしてみとうなるのう」 「拙者の国ではおなごの衣裳は、全てこれ、脱がす為にあるのでござる」 「きゃははは助平じゃな」 「さよう、拙者、江守助平友和と申す。今後ともよしなに」 「きゃははははは」 すっかりキャバクラのノリになってきた友和なのだ。 その後、行水に行くのだが、皆恥じらう様子もなく、素っ裸になった。 持って行ったボディーソープとシャンプーで、また盛り上がるのだった。
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