「ママ、ありがとう!楽しかったよ。またね」
美由紀と実家の前で別れる時に、こんな事を言われた。
せめて正月くらい一緒にいてやりたいのだが、サユリの仕事
は年中無休の仕事だ。
サユリはマンションに戻った。花梨とももがテレビを観ていた。
サユリはこのマンションに戻って花梨やももと会うと、不思議
と元気になるのだ。
「おかえり、サユリさん。楽しかった?」とももが笑顔で言った。
「うん。楽しかったよ。ありがとね!ももちゃん」
「何?何?この雰囲気?」 花梨が口を挟む。
「なんでもないよ!ももちゃんにお年玉もらったの」
「え〜〜〜〜!私にもちょうだいよ〜〜」とオカマバーで働い
ている時と同じテンションで花梨がももにねだった。
「あははは。なんかこの感じ久しぶりだね」とももが言った。
「最近、花梨のお店にも行ってないしな。ね!麗ママは元気
なの?」とサユリが花梨に聞いてみた。
「元気よ。ママも会いたがっていたから今度お店にいらっしゃ
いよ」
「じゃあさ、正月明けて落ち着いたら花梨の店で新年会やらない?」
そんな話から新年会をする事が決まる。
サユリとももと花梨の会話はいつでもこんな感じだ。
これといった話題がなくても、なんとなく完結してしまう。そして
尽きることもないのだ。
この3人は花梨が働いているオカマバーで知り合って今に
至っている。
「本当に昨日の事のように思い出すね。あの日の事」
サユリも懐かしんでいた。
「そうよね・・・。あんた達は、男運ないからね」と花梨が皮肉
った。
その言葉を聞いた2人が声をそろえて言った。
「うるさ〜い!」
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