「花梨のキムチ鍋って本当に美味しいね」
サユリは鍋に舌鼓を打っていた。
「サユリちゃ〜んは明日、どうするの?」
「明日は実家に行って子供と初詣でも行こうかな?って思って
るよ」
「そうだよね。一応ママだもんね」 花梨がちょっと皮肉っぽく言
った。
「なによ!一応って」サユリも少し怒った感じで返事を返した。
「冗談よ!サユリちゃ〜んが子供の事を愛しているのは、誰よ
りもアタシが知っているわ」
「私も知っているわ。花梨が毎日髭を剃っているのを」
「も〜。サユリちゃ〜んったら。その事は言わないで」
「ゴメン。ゴメン」
こんな何気ない会話のやりとりがサユリにとって心地いいので
ある。普段店で働いていると絶対に得る事のできない気持ち
だ。
「美味しかったわ。ごちそうさま。シャワー浴びるね」
そして、サユリはシャワーを浴びながらひとりでつぶやいた。
「この生活も今年限りかな?」と。
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