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作品名:星のお姫さま 作者:綾瀬 樹

第1回   正月の夜
「あけましておめでとうございます」

午前0時を過ぎた途端に、テレビが一斉にこの言葉を言い出した。

「あけおめ!ことよろ!」マキが言った。

「おめでとう。今年もよろしくね」サユリが返事をする。

もう何度の年越しをここで過ごしたのだろう。サユリはフーッと

ため息をついた。しばらくすると店長が部屋に訪れて「おめでと

う。お疲れ。あがっていいぞ」とサユリとマキに声をかけた。

サユリは着替えを始めて、帰り支度をした。

「サユリさん。今日フリーいた?」

「今日は指名ばっかだね。年末だったし、知らない人はあんま

り来ないでしょ」

「だよね〜。マキも常連ばっか。いつものお爺ちゃんも来たし」

「あの人マキちゃんの事大好きだね」

「こういうトコじゃないと相手してもらえないんでしょ。まぁい

い人だしマキも助かるけどね。そうだ!サユリさん」

「何?」

「まっすぐ帰る?」

「今日は帰ろうかな。明日実家行かないと」

「子供いるんだもんね・・・。わかった!今度時間ある時に二人

で新年会やろうよ!」

「二人で?いいよ!」

「じゃキマリね!」

二人は着替えを終えて、店を後にした。

雪は降っていないが寒さが肌に突き刺さるような寒い夜だった

。店のネオンも消えている。

“ソープランド 星のお姫さま” ここが二人が働いている場所

である。


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