1 森は暗いよさびしいよ
・・・不快な森だ、昼間でも薄暗いし真っ暗な夜は不安を掻き立てる。 焚き火の向こうはすぐ暗闇で覆われ、 風で葉などがすれる音にも何か恐ろしい者が近づいてきているのではと恐怖を覚える。 案内役の二人はなぜ平然としていられるのだろうか。 ここが生まれた地だからだろうか。 それとも何が来ようとも跳ね返すだけの実力と自信を持っているのだろうか。 あんなに頼もしかったフレイグでさえここでは不安そうに見えるというのに・・・
ティーチの日記より
2 旅たて
夏が訪れ日に日に暖かくはなって来てはいるが、夜はまだまだ肌寒い 布団をたくし上げ、人々が寝静まっている中 ティーチは一人、ランプの明かりで手元を照らし必死に薬学書を読みふけっていた。
「やはり、森へとりに行く方が可能性があるか・・・」ティーチは頭を抱えながらため息をついた
時折寝室の扉の向こうから咳き込む音が聞こえる
そのたびに気持ちがはやる
ノロリ病・・・咳や発熱、風邪のようだがゆっくりと症状が重くなり 熱もたいした事無いのに、神経がおかしくなり震え、立てなくなることや、失明することもある・・・ そうして死へとゆっくりと近づいていく そのさまからノロリ病と呼ばれている
ティーチの父カイエン 彼はこのノロリ病に罹っていた 彼は薬剤師で薬の調合をして生計を立てていた 微熱が続くことに不安を感じつつもいつものように薬を作っていた 擂った薬草を 決まった分量混ぜ合わせるのだが 近頃擂った薬草を計量するさいに、よくこぼすようになっていた
彼が自分の手が震えているのに気がついたのは、 ずいぶん日が過ぎてからだった 止めようと思っても止まらない異様に震えているそのうでは 自分がノロリ病に罹ったのだと悟らせるのに十分だった
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