「なんとも わざとらしい 落ちだ」 買ってきた 焼酎と「異邦人」の文庫本を前に 帰り道の出来事を 思い出していた。 「それにしても おどろいたな わからん」
階下に 声がした。 知美が やって来たようだった。 「あなた いたのね よかった」 「まあな」 「帰るって 言ってたから 来てみたの じゃま?」 「別に 基本的には ヒマだしな」
「あら めずらしい こんなのも 読むんだ」 彼女は「異邦人」を手に取った。 「ちょっと気になってな」と ぼくは 「別冊マ−ガレット」を見せた。 「なんだ 結局 少女マンガね らしいと云えば らしいけど」 「悪いか ふ-んだ」 「悪くはないけどさ で こっちの焼酎は?」 「鍛えんとな 早くつぶれたら つまらん」 「コンパ?」 「そ うふふ」 「ろくでもないわね おきおつけあそばし」 「へえ へえ それとさ...」
そこで ぼくは 帰り道の事を話した。 すると 「ふ-ん きっと 仲間だと思われたのね」 「仲間って? かなり年、離れてる」 「これよ」と 彼女は ル−ズリ−フノ−トを指差した。 「これ?」 「キャンディ キャンディの下敷きね きっと」 確かに 「なかよし」のf録の下敷きを 外側に見えるように はさんで 喜んでるのは 珍しいかもしれないが...。 「そんなもんかい?」 「そんなもんです」 「おそろしいな」 「それくらいは 普通ね」 「...」 一瞬 僕は手で顔を覆った。 変にまぶしかったのだ。 「どうしたの?」 「いや なんでもない」 そういうとぼくは 彼女を抱きしめた。
「今日は ダメなの あれで」 「あれ?」 「そう 生理中...」 「はいはい わかりましたよ」 「おこった?」 「いいんにゃ」 「日曜日にでも きなさいな」 「ああ そうする」 結局 彼女は そこらにある マンガを読んで 「じゃ 帰るわ」と ささっと 帰っていった。
夜中になった。 ぼくは 部屋の隅に並べた 焼酎の空瓶をながめて 「すこしは アルコ−ルに慣れてきたな」と悦にひたっていた。 「これで 次のコンパは 完璧だ」 その日も コップに 2杯ほど 飲んだ 「40度はきくな やはり」 酒がスキとか 嫌いとかの問題ではない。
「そろそろ 1年か... あしたは ゼミだな...」 そんなことを 思ったところで 寝てしまった。
つづく
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