その日の朝は不思議と空は鈍く重たく感じられた、太陽の光は細かい砂埃で遮られているかのように、鈍い光を地上に落としている。
ベットの前面の壁に掛けられている4台の壁掛けテレビの電源が同時に入り、それぞれの画面でイギリスの衛星放送、アラビア語系の衛星放送、モルタニの国営放送、そしてルジウェイ総務局が流す広報用のRJTVのニュース番組が流れ始めた。
「まだ、ねむてぇ、・・・・」
コクトは寝ぼけた頭で各局が流すニュースを眺めていた、どこのテレビ局もモルタニアの軍事演習について触れる様子はなかった。
ベットの横の机に置いてある携帯電話に手を伸ばし掴み取ると、フレアからの連絡がないか確認する。連絡は入っていなかった。
「また後で連絡するか」
コクトは冷たいシャワーを浴び、簡素な朝食を済ませ、身支度を整えると。窓を開け迎えに来ているはずのオニールの運転する黒塗りの警察車両が無いか確認する。
「ん、今日は別の車で来たのか?」
そこにあったのは同じ黒でも、明らかに車種が違っている、警察のロゴの代わりに総務局のロゴマークがドアに描かれていた。
コクトはアパートを出てその車に近づくと、車から大柄の二人の男がドアを開け出てきた。
「コクトさん、モンヘ局長がお呼びです」
「どうぞ、こちらへ」
一人の男が後部座席のドアを空け、コクトに入るように促した。
「警察の方には連絡を入れてありますので、ご心配なく」
「そ、そうですか、ご苦労様」
コクトは一応念のために周りを確認したが、オニールが迎えに来ている様子はなかった、不安には思ったが進められるままに後部座席に乗り込む。
組織上マーメイプロジェクトは総務局の直轄プロジェクトである。総務局局長のモンヘが最高責任者になるため、モンヘがコクトを呼び出すことに対しては何も問題はなかったが、コクトは気が進まなかった。
車はコクトを乗せ走らせた、大柄の二人の男は黒いスーツで身を固めており、どこから見ても総務局の職員には見えなかった。モンヘの私兵か、ボディーガードではないかとコクトは思った。
コクトは彼らとは会話を交わすことなく無言のまま、外の景色を眺めていた。モンヘが何故自分を呼び出したのか、心当たりはいくらでもあった、マーメイプロジェクトの進捗状況、モルタニア軍、告発リスト、黒い鉱石などなど。
総務局に着くと二人の男はコクトを挟むようにして歩き、局長室まで案内する。周りの職員は怪訝そうな表情でコクトらを見ていた。
二人の男達と一緒に局長室に入ると、一人の男がドアの鍵を閉めた。
コクトはいやな予感がした、くっそただでは帰れそうもなさそうだ。
モンヘは窓から差し込む太陽の鈍い光をバックにして座っている。葉巻のきつい匂いと煙が部屋中に充満していた、コクトはタバコの匂いで煙と目と鼻に違和感を覚えた。直にこの部屋から逃げ出したかった。
「告発リストとか言うものを作っているそうだな」
「私に相談もなしによくも勝手な行動ができるもんだ」
モンヘは高級な革張りの椅子にどっぷりと座り込み、葉巻をくわえていた。時々葉巻の煙をコクトの方へ吐き出す。
コクトは驚いた何でモンヘが知っているんだ?と、喉元にこびりついたタバコのヤニを切るように「んんー」と咳き込む。
「何のことです?」
モンヘはニヤリと不気味に微笑む。
「しらばっくれる気か、・・・私も軽くみられたもんだ」
モンヘがドアの近くにいる二人の男に目で合図を送った。
すると二人の男は後ろからコクトの両側に近づき立ち止まる、こいつら僕を逃がさないつもりか。
「とにかく、アミアンとか言う小娘に作らせているリストの作成はやめたまえ、それと経理関連のシステムのマーメイとの統合はしばらく延期だ、各部局から君らマーメイプロジェクトの強引なやり方に多くのクレームが私のところに来ているんでね」
コクトは一瞬頭の中が真っ白になった、モンヘは全て知っている、自分の身近にモンヘに情報を流した人物がいるなんて、信じられない、一体誰が?。しばらくすると、コクトの脳裏にルナの姿が映った。ルナか?
「た、確かにシステム上矛盾がある経理処理に関してのリストは作らせました」
「しかし、クレームの方は自分のところには来ていません、具体的にどのようなクレームでしょうか?」
コクトはモンヘに威圧され動揺して、つい、つじつまを合わせるような言い訳じみた発言をする自分が惨めに思えた。
「まったく、頭の悪いやつはどうしようもないな」
「お前たちが作った初期の経理システムはあまりにも使いにくく、現場の人間は苦労し、どうにか知恵を絞って、今まで使いこなしてきたんだ。工夫して使っていた連中に対して、おまえらマーメイプロジェクトは、犯罪者扱いしようとしているのが分からないのか!!」
モンヘは大きな声でコクトを怒鳴りつけた。
「うっ、・・・・」
コクトの頭の中は混乱し反論の言葉が思いつかない、自分の実力はこんなもんかと、情けなく涙が出そうになった。
混乱しているコクトの頭の片隅で、一瞬だが、ライエン大佐の顔が浮かんだ。
何でこんな時にライエン大佐の顔が?
考えてみればライエン大佐率いる武装集団相手にオニールと二人でやりあった時に比べれば、今の状況はそう大したことではいと思い始めた。
くっ、まったく小心者め、と、コクトは自分を戒める。
コクトは、ゆっくりと空気を深く吸い込み、そしてゆっくりと吐き出す。そしてモンヘを睨みつけた。
「不正に目をつぶれと、言うことですか?」
このような事態に備えて論理武装はしているつもりだった。そしてライエン大佐のお陰で完全に冷静さを取り戻したような気がした。
モンヘは直にコクトの変化を察すると、表情を曇らせた。
「ほう、私にはむかう気か?」
「自分の立場が分かっていない様だな、君をマーメイプロジェクトの責任者に推薦したのは私だ、場合によってはマーメイプロジェクトから外してもいいんだぞ」
モンヘは目でコクトの後ろにいるボディガードの一人に合図を送った。するとそののボディガードがコクトに近寄り、みぞおちを無言のまま殴る。
「ドスッ!」
鈍い音がした、コクトは腹を両手で守るようにして少し屈んだ。
「うっ」
まさか暴力で来るとは、
「っ、何でもありかよ、・・・」
小声でつぶやくのが精一杯だった。
「手荒なまねはしたくなかったが、君のために、少し教育してやる」
コクトは色んなプロジェクトでうんざりするほど経験していた、モンヘのような連中は具体的にこうしろとは言わない、あくまでもニアンスを匂わせるだけだ。空気を読んで、自分から進んで協力しろっと言っているようにである。
しかしコクトもそれを知っていながらわざと知らない振りをしてしまう、なぜならそう言う連中に限って、トラブルが発生した場合に、現場の人間に責任を押し付けて、自分らは知らぬ存ぜぬを決め込むからだ。
もちろん成功した場合は、自分の指示で行わせたことになり、自分の手柄にする。
「顔は殴るなよ」
「すまんな、こいつらは私と違って少し乱暴者なんでね」
モンヘのボディガードは無言のままコクトコクトの腹や背中、太もも、目立たないところを執拗に殴る。
殴られるたびにコクトは苦痛を堪えた声を出した。
「ルナは頭はいいがやさしすぎる、まぁ女だから仕方ないか」
「言っておくがルナは俺のコレだ、お前の行動は逐一俺に報告してくれたよ」
モンヘはコクトに見せ付ける様に小指を立て、ニヤニヤとしていた。少しコクトに嫉妬していたかもしれない。間違ってもルナに変な感情をもつなよ、と言いたかったのだろう。
コクトはお腹を両手でかばうようにし、ひざまずいていたが、その目はモンヘを睨みつけていた。
モンヘは革張りの椅子から立ち上がり、ゆっくりとコクトの前に歩いて立ち止まった。二人のボディガードはコクトの両手を掴み、顔をカーペットに押し付けて、コクトが抵抗できないようにする。
「で、もう一つ君には協力してもらわなけれえばならない」
「ブラック・ダイヤはどこにある?」
モンヘはコクトの目線の位置に合わせるようにしゃがみ込んだ。
コクトは思った、本音がやっと出たか、と。むろん素直に答えるつもりはコクトには無かった。
「そんなの知るわけないだろ」
モンヘの顔が赤く膨れ上がった、たががエンジニアのクセに自分にこれほど逆らうとは、モンヘは自分のプライドが酷く傷つけられたような気がしていた。
「ッチ、もう少し自分の立場を分からせてあげろ」
ボディガードの一人がニヤニヤしながら、内ポケットから電気ショック銃を取り出した。
「局長、こいつを使ってみて良いですか、けっこう効くみたいでえっせ」
モンヘはコクトから離れ、自分の机に腰を乗せると。
「好きにしろ」
ぼそっとつぶやいて、興味深そうにコクトの方を眺める。
電気ショック銃がコクトの背中にあてられた。
「これは人に最高の痛みを与えるために作られた銃だ、死にはしないが死ぬよりもつらいかもしれないぞ」
ボディガードがトリガーを引いた。
「ギャーーーーーーーーー」
コクトは痛みのあまり、大声を出して気絶してしまった。
「チッ、一発で気絶かよ、おもしろくないやつだ」
もう一人のボディガードが花瓶の水をコクトの頭にゆっくりとかけると、コクトは意識を取り戻すが、朦朧としていた。
「どうだ、痛いか?」
「どんな訓練を受けた兵士でもこれに耐え切れるやつはいない、もう一発くらうがいい」
電気ショック銃を押し付けられようとすると。
「ヒィ!」
コクトは思いっきり叫んだ、この苦痛は二度と味わいたくないと思った。
「ふふふ、怖いか」
ボディガードが電気ショック銃をコクトの目の前にかざすと、コクトは悲鳴をあげて逃げた。
「やめてくれ」
モンヘはボディガードの手を掴み、もうこのぐらいでいいだろうと、目で合図を送った。
「コクト、私はやさしい男だ、お前に考える時間を与えよう、君が納得した上で私に協力するのを待ってるぞ」
「誰に付いた方が得か良く考えるんだな、そろそろ大人になれ」
「それと、この告発リストに関してはいいか、よけいなことはするな」
いつの間にかモンヘの手には、昨日アミアン達が作成したリストが握られていた。
「帰してやれ」
「このまま帰していいんですか?」
二人のボディガードは不服そうだった。
「心配すな、どうせ一人では何もできない」
「それに警察の方は既に手を打ってある、まったく身の程知らずめ」
「世の中がどうやって動いているか知る、いい機会になっただろう」
コクトは二人のボディガードに両腕を掴まれ引きずられ、局長室の外に放り投げられた。
「これ以上、局長に恥をかかせるなよ」
ボディガードの一人が捨て台詞を吐くと「バタン」と局長室のドアが閉められた。
局長室のドアの横には秘書官用のスペースがある。そこには机とパソコンそして電話機が備え付けられていた。
ルナの代わりと思われる女性の秘書官が驚いて、うつ伏せに倒れているコクトに近づいてきた。
「大丈夫ですか?」
コクトは女性秘書官の手を借り、ゆっくりと立ち上がった。
「ありがとう、大丈夫だ」
コクトは無理やり作った笑顔で答えた。
「局長にだいぶしごかれたよ」
そう、言うと、コクトは自分を支えている秘書官の手を外し、とぼとぼと歩き出した。
コクトは総務局を出たがそこにはコクトの為に手配された車もなく、コクトを出迎えてくれる人はいなかった。
コクトは一人さびしく総務局を後にする。
「冗談だろ、ここから歩いて帰るのか?」
「くっそ、ルジウェイの地下鉄はまだ運用していないか、まったく、物は出来ているんだから早く走らせればいいものを、何やってるんだ、・・・・」
「ぷっ!」
コクトは思い出したように吹き出した。前も同じ事をぼやいたことがあった気がする、それは俺らのせいだった。
「早めに運用するようにするか」
つい先日までは自分はプロジェクトの中心にいて、責任のあるポストにいて大勢の仲間と伴にいた。まるで夢のようだった。
マーメイプロジェクトを外された自分にいったい何が残っているのかと、自問自答をするが、頭がぼーっとして何も考えつかない。
孤独感がコクトを襲う。
「モンヘに協力すれば、自分の地位も保証される、もしかしたらもっとルジウェイで出世できるかもしれない」
「長いものには巻かれろか、・・・・」
コクトは自分の頭を過ぎった姑息な考えに思わず笑い出してしまった。
「それができれば、苦労しないよ、まったく」
「俺には昔から、自分のひねくれた正義感には、呆れるほど苦労させられてきたからな、いまさら性格を変えられる訳が無いか!、まったく」
「しかしモンヘににらまれているんだ、ルジウェイで俺をやとってくれる部署なんてあるのかな?」
「失業か」
「国へ帰るか?」
コクトは急に開放された気分になった。
「そうだ、フレアは大丈夫か?」
コクトは直に携帯を取り出しフレアに電話を掛けるが、相変わらず呼び出し音は聞こえるが、フレアは電話にでることは無かった。
「モンヘが強引に出てきたってことは、かなり焦っている証拠だ、フレアにも何らかの手を打ってるに違いない、くそー、マーメイを使うしかないか、・・・・・」
総務局の場所からマーメイプロジェクトのあるビルまでは、軽く10キロ以上はある。
コクトは、周りの景色を楽しみながらのんびり歩いていると。見るからに高級そうなスポーツタイプの赤いオープンカーが前方に止まっているのに気がつく。
スポーツカーの隣には、ピシッと紺の女性用ビジネススーツを着こなし、サングラスを掛けているルナが立っていた。
ルナはサングラスを外すと。
「コクトさん、みんなが待っています」
ルナには裏切られているはずなのに、不思議に憎悪の感情が湧かなかった。
「あ、ありがとう」
コクトが助手席に座り、シートベルトを閉めると、ルナの運転するオープンカーが音も無くゆっくりと走り出した。
コクトは運転しているルナの横顔に視線を向けた。
ルジウェイの上空は朝方の天気とは違って晴く澄み切っていた、顔に当たる風が妙に心地いい。
「ルナ、僕がモンヘにどういう仕打ちをされたか分かっているのだろ?」
「ええ、おおよその見当はついてます」
ルナの顔にはまったくと言って良いほど動揺が無い、いつもの調子であった。
「僕はマーメイプロジェクトから外されるかもしれない」
「はい、しかしまだ正式に辞令は降りていません」
ルナと会話していると、さっきまで惨めにボコボコにされた自分が嘘のようである、あれは気のせいかと、コクトは思った。
しかし腹や背中、そして太ももには明らかに痛みがある。気のせいであるはずが無かった。
「あなたはまだ、マーメイプロジェクトのリーダです」
「んー、・・・・」
「なぜリストをモンヘに渡した?」
コクトは正直ルナが自分を裏切っているのが、もうどうでもいいと思った。しかしルナの真意は確かめたかった。
「知りたいですか?」
「僕をばかにしてる?」
「いいえ、そんなつもりはありません」
「あれは宣戦布告です」
ルナはまるで恋人同士が楽しくドライブでの会話を楽しんでいるような雰囲気である。コクトとの会話を楽しんでいるようにさえ見える。
「意地でも僕にモンヘと戦え、そしてルジウェイを手に入れろ、と言うのか?」
ルナは少し微笑む。
「残念ながら戦う相手はモンヘだけではありません、外ではモルタニアも虎視眈々とルジウェイを狙っていますから、戦う相手はいくらでもいます、どうです、これ以上の舞台はそうそうあるものではありませんよ、普通の役者さんならうらやましがるでしょうね」
俺は俳優か?、今の自分はルナの引いたレールの上をただ走らされているのかと、コクトは思った。ルナならやりかねない、この通称完璧な女め。
「もしかして、僕をいいように利用している?」
「はい」
即答だった、少しぐらいは罪悪感を持てよ、とコクトはそう思いながら頭を抱えた。
「いったい君の目的はなんだ?」
ルナは黙り込んだ、無言のままハンドルに備え付けられているオートボタンを押すと、ハンドルから手を離し上半身全体でコクトの方に向き直った。
そしてサングラス外すと黒く透明感のある瞳でコクトを見つめる。
「あなたと同じです、マーメイプロジェクトの完全なる完成、そのために私はここに来たのです」
「まだ、言葉が足りません?」
帰す言葉が無かった。
コクトはルナから目をそらすと、顔を赤らめて一指し指で鼻を少し擦る。
「少し話がずれるけど、・・・」
コクトは小指を立ててルナに見せた。
「モ、モンヘが君は俺のコレだ、と言ってたけれど、ほんとか?」
「・・・・」
ルナの顔が唖然としている気がした、コクトは自分の質問に対して自分の顔が真っ赤になるのを感じ始めた、しまったこんな質問しなければよかった、何やってんだ俺は。
「うれしい、嫉妬してくれてるのですか?」
ルナはいままで見せたことの無いうれしそうな表情をコクトに見せる。
「い、いや、そんな、聞いてみただけだ」
コクトは必死でこの場を取り繕うとオロオロしはじめた。
「少しからかっただけです」
ルナはそう言うと、ハンドルを握り直し、自動走行モードを解除すると、何事も無かったように車の運転に戻る。
コクトはふてくされた子供の様にブスっとし、助手席のシートに深々と身を沈めた。
ルナはサングラスを掛け直すと、前を見ながらコクトに話しかけた。
「モンヘ局長は、この体が好きみたいですね、もっといい体はどこにでもありそうなものですけど」
ルナは横目でぶすっとしているコクトを確認すると、
「ご心配なく、モンヘ局長とは仕事以外で何の関係も持ったことはありません」
と、コクトを安心させるような言葉を掛けた。
コクトは大きく溜息を漏らす。
「まったく、君が分からなくなった」
「あらコクトさん、あなたは私の全てが分かっていらしゃったのですか?」
「いや、全然」
コクトは自分で言った言葉に対しておかしく思った。
「そうだよな、神様じゃなんだから分かる訳けないか」
「そういうことです」
「それで、私をどうします、私の人事権はまだあなたにありますけど?」
「さぁー、後で考えるよ、とりあえず迎えにきてくれてありがとう、さすがに歩いて帰るには距離がありすぎる」
「それと、今後僕の許可なく、モンヘに情報は漏らさないこと、逆は大いに歓迎する」
ルナは片手で口元を押さえ「クスッ」と、吹き出すように笑った。
「分かりました、仰せの通りにいたします」
「マーメイがあなたを選んだ理由が分かってきました」
「ん、なんか言った?」
「いえ、みんなが待っていますからスピードを上げます」
「うおっ!」
ルナの運転する赤いオープンカーは思いっきりスピードを上げ、飛ぶようにハイウェイを走り抜けていった。
コクトはこの時より、自分のやるべきことがはっきりと決まったような気がした。
|
|