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作品名:ルジウェイ 作者:ナルキ辰夫

第10回   ★☆高エネルギー研究所☆★
 高エネルギー研究所のゲートには10人の武装した兵士が警戒に当たっていた。ゲートを抜けると広場がありそして正面玄関がある。広場にはルジウェイ警察の文字が貼られたバスが2台駐車しているが人は乗っていない、また正面玄関には二人の武装した兵士が両端に立って玄関を守っている。よく見ると研究所の周りを二人一組で巡回している兵士の姿も確認できた。

 玄関を入ると中央のフロアに3機のエレベータあるそのエレベータで地下100メートル降りたところに、ルジウェイの誇る巨大加速器の監視室とその下に、加速器を制御する加速器コントロールルームがある、そこには電子機器群が整然と配置されていた。

 フレアは脳波読取装置用のシートに座らされていた、両手両足は動けないように固定され、頭には数十本の電線が束ねて接続されたヘルメットが被されている。

 その横ではレイモンがモニタを見ながらキーボードを忙しく叩いている、そして10人前後の軍服を着ている兵士と数人の研究所スタッフが周りの機器の操作に追われていた。

 「所長、もう一名連れてきました」

 兵士二人に両脇をつかまれ、マイケルがレイモンの前につれてこられた。

 「よし、やっときたか、これで全てが整った」

 「女と同じようにそこのシートに固定しろ」

 レイモンはフレアの隣の空いている脳波読取装置用のシートを指差す。

 「おい、ここに座れ」

 兵士二人が強引にマイケルを座らせようとするがマイケルは足を踏ん張り抵抗した。

 「ま、まてよ」

 「俺は何も知らない、本当だ信じてくれ」

 「あんた、ルジウェイ評議委員会のレイモンだろ、いったい俺がなにをしたって言うんだ?」

 「わかった、わかった、心配するなすぐに終わるから」

 レイモンはめんどくさそうに兵士二人に早くしろと掌を上下に振った。

 マイケルは抵抗むなしく兵士二人にフレアと同じようにシートに固定された、口には白い布らしきものが押し込められ、完全に沈黙させられた。

 その様子を上の監視室から見ている人物がいた、ライエンである。

 監視室にはルジウェイを取り巻く加速器のトンネル内に設置された監視カメラが映し出す映像が複数のモニタに映し出されていた。そして数台のモニタには玄関とゲートの様子も映されている。

 ここにいれば研究所内外の状況が把握できるようになっていた。

 「大佐、ルジウェイ警察に配置している部隊から緊急の連絡が入っています」

 背中に通信装置を背負った兵士がライエンに受話器を手渡した。

 「ライエンだ」

 『大佐、こちらルジウェイ警察からです』

 「何があった?」

 『はい、今現在ルジウェイ警察の格納庫から無人ヘリが次々と飛び立ち、そちらの方へ向かっています、警察の連中に確認しても誰が命令を出しているか分からないようです、命令は大佐の方から出されたのでしょうか?』

 「いや、そんな命令は出していない」

 『あっ、・・大佐しばらくそのままで』

 ライエンが持っている受話器の向こう側で大騒ぎがしているのが分かる、複数の人の怒鳴り声と悲鳴が車の轟音と一緒に聞こえてくるからだ。

 「おい、どうした!」

 『はい大佐、今度は無人の装甲車も格納庫から飛び出し始めました、今自分の目の前を1台、2台、3台、・・』

 「分かった、もういい」

 「いいか良く聞け、警察にはそいつらをコントロールする部屋と、動かしている人間がいるはずだ、はやく探し出し直にヘリも装甲車も止めるんだ」

 『はい、分かりました大佐』

 ライエンは受話器を通信兵に返した、ライエンの周りには事の重大さを察した兵士数人が集まってきていた。

 「大佐、いかがなされました?」

 「うむ、意外に早く妨害が入ったようだ」

 「こんなに派手に動いているんだ、気付かない方がおかしいが、意外に早いな、それも無人兵器で来るとは想定外だ、いったいどこのどいつだ?」

 ライエンはルジウェイに来る前に数時間ではあったが、都市ルジウェイに関してレクチャー受けていた、まだ本稼動レベルには達していないが無人兵器が複数配置されていることも聞いている。

 完成すればマーメイを介して各戦闘用のシステムが連携することができ、無人兵器だけの戦闘も可能らしいと。

 「大尉、詳細はまだ分からないが複数のヘリと装甲車がこちらに向かっている、我々の部隊ではないことはたしかだ、警備に当たっている連中に連絡し迎え撃つ体制を整えさせろ、そして各拠点に展開している部隊には命令があるまで持ち場を離れるなと伝えろ」

 「イエッサ!」

 と敬礼すると大尉は通信兵を呼び寄せ各部隊と連絡をとり始めた。

 ライエンはレイモンのいる下の加速器コントロールルームと監視室の連絡用マイクを口元に近づける。

 「レイモン、周りが騒がしくなってきた。早くしてくれ」

 レイモンは監視室のライエンを見上げ「わかった、わかった、そうせかすな、大佐」と答えると再びモニタに向きしきりにキーボードを叩いている。

 「通信兵、警察からの連絡はまだないか?」

 「まだありません」

 「そうか」

 いよいよこれから時間との戦いが始まるな、ライエンは顎鬚をいじりながらレイモンが作業している姿を見ていた。

 「やつが早く終わるのを祈るしかないか」


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