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作品名:果てしなき清流のように 作者:藤田

第4回    植物離婚 
  ◇ 植物離婚 ◇


野菜王国のスイカ娘と契りを結んだ
夕顔の男根は
もうけっして
芽を噴くまいと
スイカ娘に堅く誓った。

それなのに
緑のそよ風に ほだされて
夕顔の男根は
そっと
青空を覗いてみた。
「あら!いやだァ。あなた約束違うわ」
スイカ娘は
おおいに 拗ねるのだった。

途端に
スイカ娘は 
苦しみはじめた。
もがき、苦しむスイカ娘をみながら
「知っちゃいねェ。なにかまうもんか」
夕顔の男根は ひらきなおった。
ひらきなおった夕顔の男根は
したたかに
自分の蔓を延ばした。
スイカ娘は
痩せ細り
げんなりとして
しだいに
干からび
やがて
土になってしまった。
嗚呼!
なんとまあ
あさましき。

スイカ娘と夕顔の男根離婚情報は
たちまち
野菜王国の津々浦々に伝播された。

これに懲りて
もうひとりのスイカ娘は
夕顔の男根を避けて
カボチャの男根と契りを結んだ。
それというのも
ホモ族の
媒酌人の言い分を信じたからだった。
カボチャ男根なら
かならず
約束をまもるといわれたからだった。

はじめは
カボチャ男根もおとなしかった。
しかし
カボチャ男根は
日が経つにつれて
しだいに横暴となり
無口になっていった。

カボチャ男根は考えこんだ。
カボチャ族のほかの連中は
好き勝手に
のほうずに 蔓を延ばしてるんだ。
それなのに
なんでオレだけが
スイカ娘をたてなっくちゃならんのだ。

カボチャ男根は
腕を組んで 決心した。
「なに、知っちゃいねェ。かまうもんか」
カボチャ男根は叫んだ。
かっとなって
カボチャ男根はひらきなおった。
不貞腐れて
カボチャ男根は
したたかに
自分の蔓を延すばかりだった。
「あなた、約束ちがうわ」
スイカ娘は
カボチャ男根に齧りついた。
すると
カボチャ男根は
スイカ娘を蹴りつけた。
スイカ娘は
泣き叫び!
喚きたて!!
おおいに
拗ねるのだった。
だが
カボチャ男根は
それにかまわず蔓を延していった。

力尽きたスイカ娘は
痩せ細り
げんなりとして
干からび
やがて
土になってしまった。
嗚呼!
なんとまあ
あさましき。

これぞ
まさに
植物離婚法破綻主義!!

スイカ娘と離婚した夕顔の男根は
したたかに
自分の蔓を延ばし
その蔓は軒下にまで届くようになった。
やがて
雨樋にまでしがみついて
屋根の上を這いずりまわった。

しかし
夕顔の白い花は咲かず
実は
ひとつもならなかったのだ。

スイカ娘と離婚したカボチャ男根も
のほうずに自分の蔓を延した。
やがて
樅の木にまで這い上がったが
カボチャの黄色い花は
ひとつも咲かず
カボチャの実は
ひとつも
ならなかったという。

これこそ
植物離婚法勧善懲悪主義!!


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