第32回 第三の性器
○ 羽村堰 玉川上水に沿って展開される桜並木の桜は満開になっている。 桜の古木の枝が垂れ下がり地面すれすれでそよ風に揺れている。 ○ 花園家の門前 白光がする生地に黒砂を散りばめた花崗岩の門柱に[弁護士 花園]と金文字で 刻まれた表札が浮かびあがる。 門柱の奥には広い芝生の庭が垣間(かいま)見られる。
○ 花園家の応接室 かなり広いスペースの応接室の奥は乳白色の絹を張った衝立で仕切られ、書斎 になっている。 応接室の表ドアを開けると豪華な応接セットが配置されている。 ソフアーを背にした壁側にはスタンドピアノがおかれている。 黒いピアノの蓋が開けられ、譜面台にはソナチネの楽譜が開かれている。 佐保子がトレーニンをしたあと、ピアノの蓋を締め忘れたものだった。 奥のドアが開いて、和服姿の佐保子が入ってくる。 佐保子は絹張りの衝立の脇を抜け、でんとした花園弁護士のデスクに向かった。 デスクのうえには一冊の書籍がおかれている。 そのブルーの表紙には「性行動の科学的研究」という金文字が刻み込まれていた。
◇ 佐保子の独白 ◇ 「あたし、これまで何度も、藤原先生の著書をこっそりと読んでみたんだが、先日 は女の立場に視点をおいて[シングル型性行為]のうち[ウォーターペニスによるシン グ型性行為]まで読んで、早速、実行してみたんだわ。うちの先生の[真正ペニスに よる性行為]は数えきれないくらいの回数を経験したし、いわば[第二の性器]ともい うべき[ウォーターペニスによる性行為]は、先日、初めて実行してみたわ。そこで 今日は[第三の性器]ともいうべき[エアーペニスによる性行為]の頁を開いてみよう。 読み終わったら早速、実行してみよう」 佐保子は著書の目次をぺらぺら捲る。
# 藤原教授の著書 #
第6節 [シングル型性行為]・その2 −女性の性行為ー
(3) [エアーペニス]によるシングル型性行為
前段では[ウォーターペニスによるシングル型性行為]について詳述した。 これに次いで、本段では[エアーペニスによるシングル型性行為]について解 明してゆくことにする。 この性行為についても[A型]・[B型]・[C型]・[D型]の体位を考えること ができる。 A 前戯行為 ストリップになる前に、浴室を適温にしておく。 室温は摂氏18度程度にコントロールしたほうがよい。 こうして適温に調整された浴室にゼネラルストリップではいってゆく。 ハンドシャワーで全身を軽く洗い流してゆく。 乳房とか脇の下、脇腹、内股などにも軽く温水を浴びせてゆく。すると 仄かな快感がはしりはじめる。シャワーの温水をヴァギナにも浴びせながら 指先で軽く撫でまわしてゆく。ぴくりと物柔らかな快感が走り抜ける。 シャワーがおわったら洗い場に起ち、性行為のときにおける体位としての [立ち位]の姿勢になる。両脚を開脚し、上半身をやや前傾して腰を据える。 左右の手首を左右の下腹部の臍の両脇に宛がう。左右の[乳首の真正面]ない し[乳首の上部]を目標としてソフトに擦りあげながら、ぐいと[大気]にへば りつく。 このパターンで愛撫行為を繰り返してゆく。ソフトな愛撫行為を繰り返し てゆくうちに、愛するパートナーに抱かれて体部を密着しているときのよう な性感が湧いてくる。 このような愛撫行為を繰り返してゆけば、膣は分泌された愛液によって潤 いはじめる。しかも乳首は勃起し、大陰唇や小陰唇にも性感をおぼえはじめ、 クリトリスに緊張感がはしりはじめ、やがてクリトリスは勃起してくる。 B [エアーペニス]によるシングル型性行為の本番 洗い場に起ち、浴槽の縁とか浴室の壁にお尻を擦り付ける。 この基本姿勢で、ここをピストン運動の支点とする。 ◇ 体位A型の場合 まず両脚を開脚し、上半身をやや前傾して、性交における体位としての [立ち位]に近い姿勢になる。 この体勢がシングル型性行為の基本姿勢となる。 この基本姿勢をとり、左右の手首は左右の[乳首の斜め下]に宛がう。 この体位A型は、左右の[乳首の斜め下]の部位を中核として刺激してゆ く性行動である。これにより[乳首の斜め下]に固有の性感を活かすことが できる。 左右の手首で左右の [乳首の斜め下]から左右の[乳首の真正面]ないし 左右の[乳首の上部]に向けて擦りあげながら[大気]にぐいとへばりつき、 [エアーペニス]を自分の[真正ヴァギア]に挿入する。そのときの物理的な 行動としては[大気]にえばりつくだけでよい。ここでパートナーとしての [エアーペニス]は自分の[真正ヴァギナ]に挿入されたはずである。 すると、自分の[真正ヴァギナ]がぴくついてくるのを感じとれるように なる。 ここからはピストン運動にはいる。左右の手首で左右の[乳首の斜め下] から左右の[乳首の真正面]ないし左右の[乳首の上部]に向けてソフトに擦 りあげながら、腰を使ってぐいと[エアーペニス]にへばりつく。 すると反射的に自分の[真正ヴァギナ]に快感がはしる。 これがピストン運動のパターンとなる。 当初はあまり感じなかった[真正ヴァギナ]の性感も、ピストン運動を繰 り返してゆくうちに性感を感じるようになってくることがモニターによる 実験例で実証されている。ただこの点については、個人差があるので容易 には性感を感じない人がいるかもしれない。 しかし通常、このパターンでピストン運動を繰り返してゆくうちに性感 は昂進されてゆく。かなり性感が昂進してきた段階になったら、人差し指 と親指に潤滑剤を塗し、そのまま人差し指はソフトに膣に挿入し、親指は クリトリスに宛がう。このような指の配置でピストン運動に対応させなが ら膣、とりわけクリトリスを刺激してゆく。この態勢で焦らずピストン運 動をつづけてゆく。こうしてピストン運動のテンポに対応させて人差し指 と親指で膣を刺激してゆくと急速に性感は昂進してゆきオーガズムに到達 することができる。こうしてオーガズムに到達したときにも、すぐには人 差し指を膣から抜かずに、そのまま膣内に留めておいたほうがオーガズム の快感が長続きすることが実験例により実証されている。膣内に留めた指 を動かすと快感が強く反復されることも実験例によって実証されている。 ◇ 体位B型の場合 まず前述のような基本姿勢をとる。 この基本姿勢で左右の手首を左右の乳首の[両脇]に宛がう。 この体位[B型]は左右の乳首の[両脇]に固有の性感を活用したものであ るから、左右の乳首の[両脇]の刺激が性行動の中核となる。 そこで左右の手首で左右の乳首の[両脇]から左右の乳首の[真正面]ない し乳首の[上部]に向けてソフトに擦りあげながら[エアーペニス]にぐいと へばりつく。するとその瞬間、左右の乳首の[真正面]や[上部]に快感がは しる。その快感を感じたところで左右の手首は、左右の乳首の[両脇]の元 の位置にもどしておく。 ここからはピストン運動にはいる。左右の手首で左右の乳首の[両脇]か ら左右の乳首の[真正面]ないし[上部]に向けてソフトに擦りあげながら、 腰を使ってぐいと[エアーペニス]にへばりつく。 すると反射的に自分の[真正ヴァギナ]に快感がはしる。これがピストン 運動のパターンとなる。 この快感を感じたところで腰をひき、左右の手首は左右の乳首の[両脇] の元の位置にもどしておく。 ここまでのプロセスをパターンとしてピストン運動を繰り返してゆく。 このパターンの性行動を始めた当初は、あまり感じなかった[真正ヴァ ギナ]の性感もピストン運動を繰り返してゆくうちに性感を感じるように なってくることがモニターの実験例によって実証されている。 ただ個人差があるので、ピストンを繰り返して容易には性感を感じない 人がいるかもしれない。しかし通常、このパターンでピストン運動を繰り 返してゆくうちに性感は昂進されてゆく。 かなり性感が昂進してきた段階になったときには、人差し指と親指に潤 滑剤を塗し、そのまま人差し指はソフトに膣に浅く挿入し、親指はクリト リスに宛がう。このような指の配置でピストン運動に対応させながら膣、 とりわけクリトリスを刺激してゆく。この態勢で焦らずピストン運動を つづけてゆく。 こうしてピストン運動に対応させて人差し指と親指で膣を刺激してゆく と、自分の[真正ヴァギナ]にパートナーの[真正ペニス]を挿入されてピス トン運動をするときに酷似した性感が急速に昂進してゆきオーガズムに到 達することができる。こうしてオーガズムに達したときにも、すぐには人 差し指を膣から抜かずに、そのまま膣内に留めておいたほうがオーガズム の快感が長続きすることも実験例によって実証されている。 ◇ 体位[C型]の場合 まず前述のような基本姿勢をとる。 この基本姿勢で左右の手首を左右の[乳首の上部]に宛がう。 この体位[C型]は左右の[乳首の上部]に固有の性感を活用したものである から、左右の [乳首の上部]の刺激が性行動の中核となる。 左右の手首で、左右の[乳首の上部]から左右の[乳首の真正面]ないし[乳首 の斜め下]に向けてソフトに擦りあげながら[エアーペニス]にぐいとへばりつ く。するとその瞬間、左右の乳首の[真正面]ないし[斜め下]に快感がはしる。 その快感を感じたら、左右の手首は左右の[上部]の元の位置にもどしておく。 ここからはピストン運動にはいる。左右の手首で左右の[乳首の上部]から [乳首の真正面]ないし左右の[乳首の斜め下]に向けてソフトに擦りあげながら 腰を使ってぐいと[エアーペニス]にへばりつく。すると、反射的に[真正ヴァ ギナ]に快感がはしる。この快感を感じたところで腰をひき左右の手首は左右 の[乳首の上部]の元の位置にもどしておく。 これがピストン運動のパターンとなる。 ここまでのプロセスをパターンとしてピストン運動を繰り返してゆく。この パターンンの性行動をはじめた当初は、あまり感じなかった[真正ヴァギナ]の 性感も、ピストン運動を繰り返してゆくうちに性感を感じるようになってくる ことがモニターの実験例によって実証されている。ただ、この点については、 個人差があるので、ピストン運動を繰り返しても容易には性感を感じない人が いるかもしれない。 しかし通常、このパターンでピストン運動を繰り返してゆくうちに性感 は昂進されてゆく。かなり性感が昂進してきた段階になったときには、人 差し指と親指に潤滑剤を塗し、そのまま人差し指はソフトに膣に浅く挿入 し、親指は、クリトリスに宛がう。このような指の配置でピストン運動に 対応させながら膣、とりわけクリトリスを刺激してゆく。この態勢で焦ら ずピストン運動をつづけてゆく。 こうしてピストン運動に対応させて人差し指と親指で膣を刺激してゆく と、自分の[真正ヴァギナ]にパートナーの[真正ペニス]を挿入されてピス トン運動をするときに酷似した性感が急速に昂進してゆきオーガズムに到 達することができる。こうしてオーガズムに達したときにも、すぐには人 差し指を膣から抜かずに、そのまま膣内に留めておいたほうがオーガズム の快感が長続きすることも実験例によって実証されている ◇ 体位[D型]の場合 まず前述の基本姿勢をとる。 この基本姿勢で左右の手首を左右の[乳首の真正面]に宛がう。 この体位[D型]は左右の[乳首の真正面]に固有の性感を活用したも のであるから、左右の [乳首の真正面]の刺激が性行動の中核となる。 左右の手首で、左右の[乳首の真正面]から左右の[乳首の上部]ない し[乳首の両脇]に向けてソフトに擦りあげながら[エアーペニス]に ぐいとへばりつく。 するとその瞬間、左右の乳首の[上部]ないし[両脇]に快感がはしる。 その快感を感じたところで、左右の手首は左右の[乳首の真正面]の元の 位置にもどしておく。 ここからはピストン運動にはいる。左右の手首で左右の[乳首の真正面] から[乳首の上部]ないし左右の[乳首の両脇]に向けてソフトに擦りあげな がら腰を使ってぐいと[エアーペニス]にへばりつく。 すると反射的に[真正ヴァギナ]に快感がはしる。 この快感を感じたところで腰をひき左右の手首は左右の[乳首の真正面] の元の位置にもどしておく。 これがピストン運動のパターンとなる。 ここまでのプロセスをパターンとしてピストン運動を繰り返してゆく。 このパターンの性行動をはじめた当初は、あまり感じなかった[真正ヴァ ギナ]の性感も、ピストン運動を繰り返してゆくうちに性感を感じるように なってくることがモニターの実験例によって実証されている。 ただ、この点については、個人差があるので、ピストン運動を繰り返し ても容易には性感を感じない人がいるかもしれない。 しかし通常、このパターンでピストン運動を繰り返してゆくうちに性感 は昂進されてゆく。かなり性感が昂進してきた段階になったときには人差 し指と親指に潤滑剤を塗し、そのまま人差し指はソフトに膣に浅く挿入し、 親指は、クリトリスに宛がう。このような指の配置でピストン運動に対応 させながら膣、とりわけクリトリスを刺激してゆく。この態勢で焦らずピ ストン運動をつづけてゆく。 こうしてピストン運動に対応させて人差し指と親指で膣を刺激してゆく と、自分の[真正ヴァギナ]にパートナーの[真正ペニス]を挿入されてピス トン運動をするときに酷似した性感が急速に昂進してゆきオーガズムに到 達することができる。こうしてオーガズムに達したときにも、すぐには人 差し指を膣から抜かずに、そのまま膣内に留めておいたほうがオーガズム の快感が長続きすることも実験例によって実証されている。膣内に留めた 指を適宜に動かせば、オーガズムの快感が強く反復されることも実験例に より明らかにされている。
○ 花園家の応接室 かなり広いスペースの応接室の奥は乳白色の絹を張った衝立で仕切られ、書斎 になっている。 デスクに向かって佐保子が藤原教授の著書に読みふけっている。 佐保子は著書を閉じる。 「ああ!!」 佐保子は両腕を突き上げ伸びをする。 「きょうも随分、参考になったわ。うちの先生は留守だから、浴室に入って実行して みることにしよう」 佐保子は起ちあがり、奥のドアから消えてゆく。
○ 羽村堰 玉川上水に沿って展開される桜並木の桜は満開になっている。 桜の古木の枝が垂れ下がり地面すれすれでそよ風に揺れている。
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