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作品名:自分が男でなくなる瞬間 作者:藤田

第31回   第31回  佐保子のシングル型
第31回  佐保子のシングル型


○ 羽村堰
  玉川上水に沿って展開される桜並木の桜は満開になっている。
  桜の古木の枝が垂れ下がり地面すれすれでそよ風に揺れている。
○ 花園家の門前
  白光がする生地に黒砂を散りばめた花崗岩の門柱に[弁護士 花園]と金文字で
 刻まれた表札が浮かびあがる。
  門柱の奥には広い芝生の庭が垣間(かいま)見られる。
○ 花園家の庭
  庭の芝生の南側では柘榴(ザクロ)の枝には真紅の花が咲き乱れている。
  柘榴の木からかなり離れた庭の片隅にはおおきな蜜柑の木が無数に白い花をつ
 けている。
○ 花園家の応接室
  かなり広いスペースの応接室の奥は乳白色の絹を張った衝立で仕切られ、書斎
 になっている。
  応接室の表ドアを開けると豪華な応接セットが配置されている。
  ソフアーを背にした壁側にはスタンドピアノがおかれている。
  黒いピアノの蓋が開けられ、譜面台にはソナチネの楽譜が開かれている。
佐保子がトレーニンをしたあと、ピアノの蓋を締め忘れたものだった。

  奥のドアが開いて、和服姿の佐保子が入ってくる。
  佐保子は絹張りの衝立の脇を抜け、でんとした花園弁護士のデスクに向かった。
  デスクのうえには一冊の書籍がおかれている。
  そのブルーの表紙には「性行動の科学的研究」という金文字が刻み込まれていた。

〇 佐保子の独白 
 「あたし、これまで何度も、藤原先生の著書をこっそりと読んでみたんだが、今日
 は女の立場に視点をおいて読んでみようかしら」
  佐保子は著書の目次をぺらぺら捲る。
「あ!! [シングル型性行為]は、まだ読んでいなかったみたい。今日はその第6節
を読んでみよう」
 佐保子は栞(しおり)を抜いて女性の性行為のページを開いた。


 #  藤原教授の著書  # 



             第6節 [シングル型性行為]・その2
                        −女性の性行為ー

1 基本概念
 ここまでは[シングル型性行為]として、男性の場合について考察してきた。
  ここからは、人間の[シングル型性行為]につき女性の場合について考察してゆ
 きたい。
  まずこのタイトルにかかわる基本概念を確認しておこう。            
 (1) ペニスの概念
   本著においては、男性の性器としての[ペニス]の概念について新たな分析を
  することになった。
   そもそも[ペニス]の概念は、[真正ペニス]と[疑似ペニス]に分析することが
  できる。
  A 真正ペニス
    ここに[真正ペニス]とは、生来的に身体の一部として保有する男性の[性器]
   としての筋肉質の[陰茎]を意味する。
    この意味におけるペニスは、人間として生まれながらにして保有する性的器
   官であるから、これを本来的な器官として[真正ペニス]と呼称する。
    この「真正ペニス」に対置されるものは、女性が生来的に保有する筋肉質の
   「真正ヴァギナ」である。この意味における[真正ヴァギア]については、すで
   に考察したので再述しない。 
  B 疑似ペニス
    このように人間として生来的に保有する[真正ペニス]に対して[疑似ペニス]
   という概念を対概念として設定することにした。
    この発想が本著の立場である。
    尤も、この点についての通説の立場からすれば、所詮、ペニスはペニスにす
   ぎないもので、これを分析できる筋合いのものではなく、[疑似ペニス]などと
   いう概念を設定することは、あまりにも観念的な発想であって賛同することは
   できない、という批判が想定される。
    たしかに[疑似ペニス]の概念は、観念的に考えだされたカテゴリーである。
    しかしこれは形式的な観念から導きだされたものではなく、生きている人間
   の生々しい[性行動]の領域において作出された新たな[情況的な概念」である。
    人間としての女性は浴槽の中で[液体としてのお湯]にへばりつき湯船のの縁
   に手を掛け、おもわずピストン運動をしてしまうことも想定される。それに
   風呂上りの女性は洗い場で身悶えして乳房に触りながら[気体としてのエアー]
   に、へばりつくことも想定される。
    そうだとすれば、このような[性的シチュエーション]のもとでは、その女性
   にとって浴槽の中の[液体としてのお湯]とか、洗い場に漂う[気体としての
   エアー]も[一種のペニス的機能]を担うことにもなる。
    このような[性的シチュエーション]を全体として価値的に把握した結果とし
   て、このような性的状況を[真正ペニス]に対する対概念として[疑似ペニス]と
   呼称することにした。
    このような[疑似ペニス]は、[疑似ウォーターペニス]と[疑似エアーペニス]
   に分類される。
  ◇ 疑似ウォーターペニス
     浴室にゼネラルストリップではいってきた女性は、現前に[真正ペニス]
    が存在しないことから、これに代わるものとして現前に存在するパートナー
    を模索する。
     浴槽に身を鎮めると[液体としてのお湯]がその水圧でソフトに肌を愛撫し
    てくれる。その感触で興奮してきた女性は、浴槽の縁に左右の手を掛け膨な
    肉体を前傾させ、[液体としてのお湯]にへばりつく。女性がパートナーに選
    んだ[液体としてのお湯]の中に膨張した[真正ペニス]を想定し、パートナー
    に馬乗りになり、その[液体としてのお湯]をペニスとして、自分の[真正ヴァ
    ギナ]に挿入する。その場合女性に現存する物理的なアクションとしては、
    単に[お湯にへばりつく]だけで足りる。
     浴槽の縁に手を掛け自分の[真正ヴァギナ]に[液体としてのお湯]のペニス
    を挿入した女性は、そのままピストン運動にはいる。ピストン運動が繰り返
    されるにつれ[真正ヴァギナ]は水圧により刺激されて乳首は膨らみ、大陰唇
    や小陰唇も刺激され、クリトリスも膨張してきて性感はしだいに昂進してゆ
    くはずである。
     このような[性的シチュエーション]を全体として価値的に評価し、これを
    [疑似ペニス]としての[ウォーターペニス]と呼称することにした。
  ◇ 疑似エアーペニス
性的にかなり興奮してきた女性は、浴槽から洗い場にあがる。
     左右の手首を湯船の縁に掛けて膨な肉体を前傾させ[気体としてのエアー]
    をパートナーに選び、現前のエアーの中にパートナーの膨張した[真正ペニ
    ス]を想定し、[疑似ペニス]としての[気体としてのエアー]を自分の手で[真
    正ヴァギナ]に挿入する。その場合における女性の現実の物理的なアクション
    としては[気体としてのエアー]に腰を使ってへばりつくだけでよい。
     この姿勢で女性はピストン運動にはいる。ピストン運動がスピードあげて
    ゆくにつれ、空圧により[真正ヴァギナ]は刺激され、乳首が膨らむだけでな
    く、大陰唇とか小陰唇も刺激されクリトリスも膨張してきて性感はしだいに
    昂進してゆく筈である。
     このような[性的シチュエーション]を全体として価値的に評価し、これを
    「疑似ペニス」としての「エアーペニス」と呼称することにした。
 (2)  [ウォーターペニス]によるシングル型性行為
   A 前戯行為
    あらかじめ浴室は摂氏18度以上の適温に温めておく。
    風呂の準備をする段階で、浴槽の蓋をしないで熱湯を浴槽に流出させてゆけ
   ば、浴室には湯気だ立ち込め浴室の温度は適温になるだろう。
    これだけの準備を整えてから全裸になって乳房を揺さぶりながら浴室に入っ
   てゆき、まずハンドルシャワーで全身を軽く洗い流してゆく。ただ下半身は念
   を入れて洗っておいたほうがよい。
    このレベルでも、シャワーの水圧により乳房、脇の下、脇腹、 肛門、ヴァギ
   ナなどに刺激を受けたり、それらの部位に手を触れたりすることから軽い性感
   を感じはじめる筈である。
    シャワーを終えたら洗い場に起ちあがる。
    両脚を開脚して性交時における[騎乗位]の体位のときのような基本姿勢をと
   る。左右の手首を臍の両脇にあて、左右の乳首の [真正面]ないし[上部]を目
   指し、そこまでソフトに擦りあげながら、ぐいと[大気]にへばりつく。
    このパターンで愛撫行為を繰り返してゆく。
    ソフトな愛撫行為を繰り返しているうちに、愛するパートナーに抱かれて体
   部を密着しているときのような性感が湧いてくる筈である。
    このような愛撫行為を繰り返してゆけば[真正ヴァギナ]たる膣は分泌された
   愛液によって潤いはじめる。しかも乳首は勃起し、大陰唇とか小陰唇にも性感
   が湧いてくるしクリトリスにも緊張感がはしり、やがてクリトリスは勃起して
   くることが、モニターによる実験例によって実証されている。
  B [シングル型性行為]の本番
    女性は浴槽にはいり、浴槽の壁に お尻を擦りつける。ここをピストン運動の
   支点とすることになる。

   ◇ 体位[A型]の性行為
     両脚を開脚し上半身をやや前傾して、性交における体位としての[立ち居]
    に近いポーズになる。この体勢が[シングル型性行為]の基本姿勢となる。
この基本姿勢をとり、左右の手首は左右の乳首の[斜め下]に宛がう。
     この体位[A型]は左右の乳首の「斜め下」の部位を中核として刺激してゆく
    性行動である。これにより、[乳首の斜め下]に固有の性感をエンジョイする
    ことができる。
     左右の手首で左右の乳首の[斜め下]から左右の乳首の[真正面]ないし[上部]
    に向けて擦りあげながら[大気]にぐいとへばりつき、[疑似ウォータペニス]を
    自分の[真正ヴァギナ]に挿入する。そのときの女性の物理的な行動としては、
    [大気]にへばりつくだけでよい。ここでパートナーとしての[疑似エアーペニ
    ス]は自分の[真正ヴァギナ]に挿入されたことになる。そうなれば自分の[真正
    ヴァギナ]がぴくついてくるのを感じとれるようになる。
     ここでピストン運動にはいる。左右の手首で左右の乳首の「斜め下」から
    左右の乳首の[真正面」ないし左右の乳首の[上部]に向けてソフトに擦りあげ
    ながら、腰を使ってぐいと[疑似ウォーターペニス]にへばいつく。
     すると反射的に自分の[真正ヴァギナ]に快感がはしる。
     これがピストン運動のパターンとなる。この快感を感じたところで腰をひき、
    左右の手首は左右の乳首の[斜め下]の元の位置にもどしておく。
     ここまでのプロセスをパターンとしてピストン運動を繰り返してゆく。
     このパターンの性行動を始めた当初は、あまり感じなかった[真正ヴァギナ]
    の性感も、ピストン運動を繰り返してゆくうちに性感を感じるようになってく
    ることが、モニターによる実験例によって実証されている。ただこの点につい
    ては個人差があるので、ピストン運動を繰り返しても、容易には性感を感じ
    ない人がいるかもしれない。
     しかし通常、このパターンでピストン運動を繰り返してゆくうちに、性感
    は昂進してゆく。こうして性感がかなり昂進してきた段階になったときには、
    人差し指と親指に潤滑剤を塗し、そのまま人差し指はソフトに膣に浅く挿入
    し、親指はクリトリスに宛がう。このような指の配置でピストン運動に対応
    させながら膣、とりわけクリトリスを刺激してゆく。この態勢で焦らずピス
    トン運動をつづけてゆく。こうしてピストン運動運動のテンポに対応させて
    人差し指と親指で膣を刺激してゆくと自分の[真正ヴァギナ]にパートナーの
    [真正ペニス]を挿入されてピストン運動をするときに類似した性感が急速に
    昂進してゆき、オーガズムに達することができる。
     こうしてオーガズムに達したときにも、すぐには人差し指を膣から抜かず
    に、そのまま膣内に留めておいたほうがオーガズムの快感が長続きすること
    がモニターによる実験例によって実証されている。
     しかも膣内に留めおいた指を動かすと快感が強く反復されることも実験例
    によって実証されている。

◇ 体位[B型]の性行為
      まず基本姿勢(前述)をとる。
      この基本姿勢で左右の手首を左右の[乳首の両脇]に宛がう。
      この体位[B型]は左右の[乳首の両脇]に固有の性感を活用したアクション
     であるから左右の[乳首の両脇]が性行動の中核となる。
      そこで左右の手首で左右の[乳首の両脇]から左右の乳首の[真正面]ないし
     [上部]に向けてソフトに擦りあげながら[ウォーターペニス]にぐいとへばり
     つく。するとその瞬間、左右の乳首の[真正面]や[上部]に快感がはしる。
     その快感を感じたら、左右の手首は左右の[乳首の両脇]の元の位置もどし
     ておく。
      ここからはピストン運動にはいる。左右の手首で左右の[乳首の両脇]か
     ら左右の乳首の[真正面]ないし[上部]に向けてソフトに擦りあげながら、
     腰を使ってぐいと[ウォーターペニス]にへばりつく。すると反射的に自分
     の[真正ヴァギナ]に快感がはしる。これがピストン運動のパターンとなる。
     この快感を感じたところで腰をひき、左右の手首は左右の[乳首の両脇]の
    元の位置にもどしておく。
     ここまでのプロセスをパターンとしてピストン運動を繰り返してゆく。
     このパターンの性行為をはじめた当初は、あまり感じなかった[真正ヴァギ
    ナ]の性感もピストン運動を繰り返してゆくうちに性感を感じるようになって
    くることがモニターのよる実験例により実証されている。
    ただ、この点については個人差があるので、ピストン運動を繰り返しても、
    容易には性感を感じない人がいるかもしれない。
     しかし通常、このパターンでピストン運動を繰り返してゆくちに性感は昂進
    されてゆく。かなり性感が昂進してきた段階になったときには、人差し指と親
    指に潤滑剤を塗し、そのまま人差し指はソフトに膣に浅く挿入し、親指はクリ
    トリスに宛がう。このような指の配置でピストン運動に対応させながら膣、
    とりわけクリトリスを刺激してゆく。この態勢で焦らずピストンをつづけてゆ
    く。こうしてピストン運動に対応させて人差し指と親指で膣を刺激してゆくと、
    自分の[真正ヴァギナ]にパートナーの[真正ペニス]を挿入されてピストン運動
    をするときに類似した性感が急速に昂進してゆきオーガズムに達することがで
    きる。こうしてオーガズムに達したときにも、すぐには人差し指を膣から抜か
    ずに、そのまま膣内に留めておいたほうがオーガズムの快感が長続きすること
    がモニターによる実験例によって実証されている。

   ◇ 体位[C型]の性行為
     まず前述の基本姿勢をとる。
     この基本姿勢で左右の[手首]を左右の[乳首の上部]に宛がう。
     この[体位C型]は左右の[乳首の上部]に固有の性感を活用した性技術である
    から左右の[乳首の上部]の刺激が性行動の中核となる。
     左右の[手首]で左右の「乳首の上部」から左右の乳首の真正面]ないし[乳首
    の斜め下]に向けソフトに擦りあげながら[ウォーターペニス]にぐいとへばり
つ く。するとその瞬間、左右の乳首の[乳首の真正面]や[乳首の斜め下]に性感
がはしる。
    その快感を感じたところで左右の[手首]は左右の[乳首の上部]の元の位置にもど
    しておく。
     ここからはピストン運動にはいる。左右の[手首]で左右の[乳首の上部]から
    左右の[乳首の真正面]ないし左右の[乳首の斜め下]に向けてソフトに擦りあげ
    ながら腰を使ってぐいと[ウォーターペニス]にへばりつく。すると反射的に
    [真正ヴァギナ]に快感がはしる。これがピストン運動のパターンとなる。
     この快感を感じたところで腰をひき、左右の手首は左右の[乳首の上部]の元の
    位置にもどしておく。
     ここまでのプロセスをパターンとしてピストン運動を繰り返してゆく。
     このパターンの性行動をはじめた当初は、あまり感じなかった[真正ヴァギナ]
    の性感も、ピストン運動を繰り返してゆくうちに性感を感じるようになってくる
    ことがモニターによる実験例で実証されている。ただ、この点については個人差
    があるので、ピストン運動を繰り返しても容易には性感を感じない人がいるかも
    しれない。しかし通常、このパターンでピストン運動を繰り返してゆくうちに性
    感は昂進されてゆく。こうして、かなり性感が昂進してきた段階になったときに
    は、人差し指と親指に潤滑剤を塗し、そのまま人差し指はソフトに膣に浅く挿入
    し、親指はクリトリスに宛がう。このような指の配置でピストン運動に対応させ
    ながら膣、とりわけクリトリスを刺激してゆく。
     この態勢で焦らずピストン運動をつづけてゆく。
     こうしてピストン運動のテンポに対応させて人差し指と親指で膣を刺激してゆ
くと、自分の[真正ヴァギナ]にパートナーの[真正ペニス]を挿入してピストン運
動をする場合に酷似した性感が湧いてくることが、モニターによる実験例で実証
されている。さらにピストン運動を繰り返してゆけばオーガズムの絶頂に達する
ことができる。人差し指はそのまま膣内に留めておくことを推奨する。

   ◇ 体位[D型]の性行為
     まず基本姿勢をとる。
     この基本姿勢で左右の手首を左右の[乳首の真正面]に宛がう。
     この体位[D型]は左右の[乳首の真正面]に固有の性感を活用したものであるか
ら左右の[乳首の真正面]の刺激が性行動の中核となる。
     左右の手首で左右の[乳首の真正面]から左右の[乳首の上部]ないし[乳首の両
脇]に向けてソフトに擦りあげながら[ウォーターペニス]にぐいとへばりつく。
     するとその瞬間、左右の[乳首の上部]や[乳首の両脇]に快感が快感がはしる。
    その快感を感じたら、左右の手首は左右の手首の元の位置にもどしておく。
     ここからはピストン運動にはいる。
 左右の手首で左右の乳首の[真正面]から左右の乳首の[上部]ないし[両脇]に
向 けてソフトに擦りあげながら腰を使ってぐいと[ウォーターペニス]にへばり
つく。すると反射的に[真正ヴァギナ]に快感がはしる。
     これがピストン運動のパターンとなる。
     この快感を感じたところで腰をひき、左右の手首は左右の乳首の[真正面]の
元 の位置にもどしておく。
     ここまでのプロセスをパターンとしてピストン運動を繰り返してゆく。
     このパターンの性行動をはじめた当初は、あまり感じなかった[真正ヴァギ
ナ] の性感も、ピストン運動を繰り返してゆくうちに性感を感じるようになって
くることがモニターによる実験例で実証されている。ただこの点については個人
差があるので、ピストン運動を繰り返しても、容易には性感を感じない人がいる
かもしれない。
     しかし通常、このパターンでピストン運動を繰り返してゆくうちに性感は昂
進されてゆく。こうしてかなり性感が昂進してきた段階になったときには、人差
し指と親指に潤滑剤を塗し、そのまま人差し指はソフトに膣に浅く挿入し、親指
はクリトリスに宛がう。このような指の配置でピストン運動に対応させながら
膣、とりわけクリトリスを刺激してゆく。この態勢で焦らずピストン運動をつづ
けてゆく。こうしてピストン運動のテンポに対応させて人差し指と親指で膣を刺
激してゆくと、自分の[真正ヴァギナ]にパートナーの[真正ペニス]を挿入されて
ピストン運動をするときに酷似した性感が急速に昂進してゆきオーガズムに達す
ることができる。
     こうしてオーガズムに達したときにも、すぐには人差し指を抜かず膣内に留
めておくとオーガズムの快感が長続きすることが実験例により実証されている。
     膣内に留めた指を動かすだけで快感が強く反復されることも実験例により明
らかにされている。

     以上で、女性による[シングル型性行為]における体位について[A型]・[B型]
および[C型]・[D型]という4類型のあることが解明された。
     それぞれの体位による性感の特質を理解し、自分で好みの体位を選択すれば
自分にとって最高の性的快感をエンジョイすることができる。
     このテクニカルな手法を体得すれば、ビギナーによる拙劣な[ダブル型性行
為] よりも遙かにレベルの高い性行動によるオーガズムを悦しむことがでる。
C 後戯行為
   ここで本番は終えたので[後戯行為]にはいる。
   ハンドルシャワーで首筋から下半身にいたるまで洗浄する。
   乳房にはソフトにシャワーを浴びせる。とりわけ下半身は丁寧に洗い流してゆく。
   そしてヴァギナ微温湯をソフトにあててゆく。
   すると軽い快感がはしりはじめるはずである。

○ 花園家の応接室
  かなり広いスペースの応接室の奥は乳白色の絹を張った衝立で仕切られ、書斎
 になっている。
  応接室の表ドアを開けると豪華な応接セットが配置されている。
  ソフアーを背にした壁側にはスタンドピアノがおかれている。
  黒いピアノの蓋が開けられ、譜面台にはソナチネの楽譜が開かれている。
佐保子がトレーニンをしたあと、ピアノの蓋を締め忘れたものだった。
  
  絹張りの衝立の奥に、でんとした花園弁護士のデスクが配置されている。
  デスクに向かって佐保子が藤原教授の著書に読み耽っている。
「ああ!」
  佐保子は両腕を突きあげて背伸びをする。
  佐保子は開いた藤原教授の著書に栞を挟みページを閉じる。
  佐保子は起ちあがり、奥のドアから消えてゆく。
〇 花園家の浴室・脱衣場
  佐保子がはいってくる。ワンピースを脱いで脱衣籠に入れ、ブラジャーも脱ぎ、
 パンテーも脱ぎ捨てゼネラルストリップになった。
〇 花園家の浴室・洗い場
  全裸の佐保子がはいってくる。
  浴室用の椅子に掛けた佐保子はハンドルシャワーで首筋から流しはじめ脇の下、
 背筋、乳房、両脚を流してゆく。
  佐保子は湯気の立ちこめる湯船に身を沈める。
〇 佐保子の独白
  うちの先生は沖縄に出張していて、あたし束の間の独身生活にもどったんだわ。
 あたし藤原教授の著書を読んでみて独身女性の性生活を見直したわ。きょうはあの
 娘時代にもどり、[シングル型]を試してみようかしら。旨くゆくかしら。ともかく
 実行してみよう。
〇 花園家の浴室
  佐保子は浴槽からあがり 洗い場に起ちあがる。
  佐保子は目を瞑り、両脚を開脚して性交時における[騎乗位]の体位のときのよう
 な基本姿勢になった。左右の手首を臍の両脇にあて、左右の乳首の [真正面]ない
 し[上部]を目指し、そこまでソフトに擦りあげながら、ぐいと[お湯]にへばりつい
 た。するとヴァギナに軽い快感がはしった。
「なるほど。これなんだわ。藤原教授のおっしゃるように」
  佐保子は、このパターンで愛撫行為を繰り返してゆく。
  ソフトな愛撫行為を繰り返してゆくうちに、愛する夫の花園に抱かれて体部を密着
 しているときのような性感が湧いてきた。
「こうなんだわ。ああ、いい気持ち」
  佐保子は愛撫行為に熱中してゆく。
  あっという間に数分が経った。
  佐保子は右の人差し指のハラを[真正ヴァギナ]たる膣に触れてみた。たしかに愛液が
 分泌されぬるぬるしていた。
「もう、愛液によって潤いはじめたんだわ」
  佐保子は両方の手首を左右の乳首にあててみる。
「ああ。もう、乳首も勃起してきた」
「あそこはどうかしら」
  佐保子は大陰唇と小陰唇に触れてみる。
「ああ、濡れている。あそこにも性感が湧いてきたし、クリトリスにも緊張感がはしり、
 クリトリスは勃起してきた。教授のおっしゃることは真実なんだわ」
  やがて佐保子は浴槽にはいり、浴槽の壁に お尻を擦りつける。ここをピストン運動の
 支点とすることに決めた。
「まず体位[A型]の性行為から始めてみよう」
  佐保子は両脚を開脚し上半身をやや前傾して、性交における体位としての[立ち居]
 に近いポーズになった。
「この体勢が[シングル型性行為]の基本姿勢なんだわ」
 佐保子は、左右の手首を左右の乳首の[斜め下]に宛がった。。
「この体位[A型]は左右の乳首の「斜め下」の部位を中核として刺激してゆく性行動なんだ。
 これにより、[乳首の斜め下]に固有の性感をエンジョイすることができるというんだわ」
  佐保子は、左右の手首で左右の乳首の[斜め下]から左右の乳首の[真正面]ないし[上部]
 に向けて擦りあげながら[お湯]にぐいとへばりつき、[疑似ウォータペニス]を自分の[真
 正ヴァギナ]に挿入した。
  佐保子は、ピストン運動にすすむことになった。左右の手首で左右の乳首の「斜め下」
 から左右の乳首の[真正面」ないし左右の乳首の[上部]に向けてソフトに擦りあげながら、 
 腰を使ってぐいと[疑似ウォーターペニス]にへばりついた。
「あ! 反射的にあたしのヴァギナ]に快感がはしったわ」
  佐保子は、この快感を感じたところで腰をひき、左右の手首は左右の乳首の[斜め下]の
 元の位置にもどした。
「だんだんわかってきたわ。これから[B型]にすすみ、さらに[C型]・[D型]にすすんでみ
よう。刺激の部位による性感の相違が愉しめるだろうか」
  佐保子は基本姿勢をとりなおした。

○ 花園家の門前
  白光がする生地に黒砂を散りばめた花崗岩の門柱に[弁護士 花園]と金文字で
 刻まれた表札が浮かびあがる。
  門柱の奥には広い芝生の庭が垣間(かいま)見られる。   
○ 羽村堰
  玉川上水に沿って展開される桜並木の桜は満開になっている。
  桜の古木の枝が垂れ下がり地面すれすれでそよ風に揺れている。


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