第20回 日常のトレーニング
○ 花園家の庭 芝生は30cmほどの積雪で一面の銀世界に変貌している。 庭の片隅では葉が落ちつくした柘榴(ざくろ)の枝に白雪が降り積もり陽光に輝 いている。 ○ 花園家の勝手口 勝手口では花園佐保子がショベルで雪掻きをしている。 佐保子は掻き集めた雪で雪だるまを造り終えると、くるりと向きなおり勝手口 のドアを開けキッチンにはいってゆく。 ○ 花園家の応接室 花園弁護士の姿はみられない。 藤原教授がソファーから身を起こしライターで煙草に点火する。 教授はソファーに凭れ天井に向けて紫の煙を噴(ふ)きあげる。 ○ 花園家のキッチン かなり広いキッチンは天井の蛍光灯で明るくなっている。 食卓のうえには数枚の銀の皿や瀬戸の皿が並べられている。 ピンクのエプロン姿で佐保子が調理台に向かい、キャベツを刻んでいる。 緑のエプロン姿で花園弁護士がガスレンジに向かって揚げ物に余念がない。 天ぷら鍋のなかでは野菜がじりじり揚げられている。 揚げた野菜は揚げ物受けの容器に移される。 佐保子は食卓のうえの皿に刻んだ野菜を載せると野菜の天婦羅を盛り付け てゆく。 調理台に向かった花園弁護士は豚肉のヒレのタマを輪切りにする。 輪切りにしたヒレ肉を容器のなかに撒かれたパン粉に塗し、ヒレ肉に衣を着 せてゆく。 花園は天婦羅鍋でヒレカツを揚げてゆく。 揚げたヒレカツは佐保子が皿に盛りつけてゆく。 やがて揚げ物をおえた花園は調理台に向かい冷蔵庫から取り出した刺身用の 「真(ま)イワシ」をまな板に載せ、手際よく皮を剥ぎ取る。 そのイワシの肉をするっと骨から剥(は)がしてゆく。 まるでベテランのシェフのような手捌きだった。 「おい。鳥飯の釜がぴいっと鳴ったぞ」 花園が叫ぶように佐保子を振り向いた。 「はい。わかっています。あとで掻き回しますから」 佐保子はキッチンの換気扇を止めた。するとヒレカツや天婦羅それに鳥飯の 香りがないまぜに漂ってくる。 ○ 花園家の日本間 20畳ほどの畳が敷かれた和室の中央には紫檀のテーブルが配置されている。 テーブルの脇には牡丹の花模様の座布団がおかれている。 漆塗りで艶(つや)のある柱が目立つ床の間には川合玉堂の「秘湯の里」と題 する清津峡温泉卿の墨絵の掛け軸が垂れている。 すでにテーブルのうえには瀬戸焼の箸置きに竹箸、それにビールやカップが おかれていた。 襖を開けて花園弁護士に案内され藤原教授があらわれる。 「さあ。どうぞ」 花園は藤原に上座をすすめる。 「これでいいのか。恐縮しちゃう」 藤原は遠慮がちに座布団に胡坐(あぐら)をかく。 花園もテーブルに向かって安座する。 奥の襖が開き、おおきなお盆に料理を載せて佐保子がはいってくる。 「おまたせしました。これうちの先生が揚げたものです」 佐保子は天婦羅を盛りつけた皿をテーブルのうえにさしだした。 「ほう。ローヤー先生も調理をするということをこの前ご馳走になったときにはじ めて識(し)らされた。今日もご馳になります」 藤原は佐保子と視線をあわせる。 「それにこちらは揚げたてのヒレカツなんですが」 佐保子はヒレカツを盛った皿をさしだした。 「ローヤー先生はカツレツまで手掛けるんで驚きだな」 「あたしは天婦羅が苦手なんですが。うちの先生は天婦羅やヒレカツ、トンカツな どの揚げ物が得意なんです」 佐保子はにたりとして起ちあがり、襖の向こうに消えていった。 「さあ、どうぞ」 花園はビールの栓を撥(は)ねた。 花園は藤原がさしだすカップにビールを注ぐ。彼は自分のカップにも七分三分の 泡立ちで注いだ。 「それでは乾杯」 「乾杯!」 藤原はビールをひとくち啜(すす)った。 「おっ。こりゃうまい。キリンとは一味ちがう」 花園もグラスをあおる。 「そうなんだ。ボトルはキリンビールそっくりだが、じつはドイツ製の「ブラウマ イスター」っていうんだ」 「ああ、前回もご馳走になったが、日本の酒屋では手にはいらないんでしょう」 「そうなんだが。ドイツ娘と結婚した大学教授の離婚事件でドイツにいったとき、 手土産に頂戴してきたんだ」 「なるほど。ビールの本場だけのことはあるね」 花園は藤原のグラスにビールを注ぐ。 「これからは手酌にしよう」 花園はボトルを藤原のまえにさしだした。 もう一本のボトルの栓を花園は勢いよく撥ねる。 「男の家庭料理なんだが。塩漬けにしていた筍の天婦羅どうぞ」 「ほう。筍の天婦羅は珍しい」 藤原は天婦羅に箸をつける。 「おう。これはまた絶妙の味だ」 「その脇のヒレカツにも箸をつけてみてくれませんか」 花園は自分でもヒレカツをほおばる。 「それでは」 藤原はヒレカツにソースを塗してくちにする。 「この味はカツレツの専門店なみだね」 藤原は自分のグラスにビールを注ぐ。 奥の襖が開いて料理を載せたお盆を支えた佐保子があらわれる。 「これうちの先生が捌(さば)いた[真イワシ]のお刺身です」 佐保子は刺身を盛りつけた皿をテーブルのうえにならべる。 「なるほど。魚も捌けるんですか。刺身もつくれるなんて、まるだ板前さんだ」 「こちらは鶏肉の炊き込みご飯にお吸い物です」 佐保子は飯を盛りつけたお茶碗と鶴の模様の吸い物椀をテーブルにさしだした。 「筍は春に佐保子が庭先の竹林から採取してきたものなんだ」 花園はビールのグラスを傾ける。 「どうぞ。ごゆっくりなさいませ」 佐保子はにこりとして襖の奥へ消えていった。 「それではそろそろ鳥飯をいただくとするか。それにしても自宅で筍狩りができる とは最高の贅沢(ぜいたく)だな」 藤原は鳥肉ご飯に箸をつける。 〇 花園家の庭 瓦屋根の樋から屋根の雪解け水が溢れ垂れ流しになっている。 花崗岩で白光がする門柱も白雪を被っている。 〇 花園家の応接室 ソファーに藤原教授と花園弁護士が対座している。 藤原はライターでタバコをつけ、天井に向けて紫煙を噴きあげる。 奥のドアが開いて佐保子がお盆を手にしてはいってくる。 「コーヒーがはいりました。どうぞ」 佐保子はにこりとしてコーヒーのひとつを藤原のまえにさしだし、もうひとつを 花園のまえにさしだした。 「どうぞ、ごゆっくりなさいませ」 佐保子は軽く会釈して奥のドアに向かい立ち去る。 「熱いうちにどうぞ」 花園弁護士はコーヒーカップを引き寄せる。 「それではいただくとするか」 藤原もコーヒーを啜(すす)りあげる。 「ええと。このあいだ温泉卿で語りあったはなしのつづきなんですが」 花園は藤原の顔を覗きこむ。 「ああ。たしかフェラチオのはなしだったね」 藤原は花園と視線をあわせる。 「そう。フェラチオの具体例をコメントしてくれませんか」 「フェラチオには好感がもてなかったんじゃなかったか」 「まあね。佐保子にフェラチオを強制するつもりはないが。参考までにもう少し 弄(まさぐ)ってみたいんだ」 「それではコメントするか。まず舌や唇でペニスを愛撫するテクニックがあります」 「ほう。どんな手法ですかな」 「ペニスに唇をあてたり、舌で舐めたりします。ペニスの裏側の筋のある部位や亀頭 のカリ部など性感度が鋭敏な部位を中心に愛撫しゆくわけです」 「ふん。わかります」 「ペニスを口に含み愛撫する手法もあります。これは典型的な手法ですが、亀頭の天辺 とか[カリ部]を中心に刺激するのです」 「ほう。そうですか」 「ペニスを口の奥まで含んで愛撫する手法もあります。そのときに歯をあてないような 工夫が大切です」 「どんな工夫がありますか」 「ええ。舌をペニスに添えるように丸くして突出して下の歯をカバーし、上唇で上の前歯 をカバーするのです」 「なるほど。そのポーズならペニスを噛むことなく安全でしょう」 「つぎに精嚢を愛撫するテクニックですが。ペニスの下部に位置するこの部位を口に含む ことはかなり難しい。そこで舌の一部だけでなく、舌全体を手の平に代え、舌全体で精嚢 を持ち上げるようにして愛撫してゆくのがよい」 「それでも、かなりやりにくそうだね」 「まあね。実は舌ではなく、手によって愛撫するテクニックもあるんだ」 「そりゃ、そうでしょう」 「手によってペニスをソフトに愛撫するテクニックなのです。力をいれてきゅっと握り締め てはなりません。」 「そりゃ、そうでしょう。強すぎるとかえって不快感が増大してしまうから」 「ペニスが勃起して亀頭部が蠕動(ぜんどう)してくると、尿道口から透明な[カウバー腺]が 分泌されます。この分泌腺はぬるぬるしていて潤滑だから指のハラで亀頭部全体に広げ延ば してゆきます」 「その要領はわしも経験してる」 「男ならだれもね。とりわけ[カリ部]には丁寧に擦り付けるのがよい。すると膨張したその 部位はカウバー腺で光ってくるはずです」 「ああ。それはわしも経験済みだ」 「そうなれば亀頭部は滑らかになり愛撫しやすくなります」 「そうでしょうな」 「さらにセックス用のローションを亀頭部に塗(まぶ)し、このゼリー状の潤滑液をペニス全体 に延ばしてゆけばいっそう効果的になります」 「そりゃ、そうでしょうな」 「これで準備はできたから、ペニスを握りソフトに扱(しご)いてゆく。ここで[される側]が腰 を使ってピストン運動をすれば快感度はアップされるはずです」 「まあね。本番なみだね」 「もし扱いているうちにペニスが乾いてきたら霧を噴くとよい」 「スプレーは夜の行動のときの必需品ですから、わしは枕元に用意しておきます」 「おっしゃるとおりです。霧吹きの容器はいつも清潔にしておき、新鮮な水を入れておくこと が望ましい」 「かなり本番並みになってきたようですが。まだその先もありますか」 「ええ。亀頭部および陰茎体を含めてペニス全体を愛撫してゆきます。そのとき大切なことは、 ペニスの握り方によってそれぞれ異なる快感を与えることができるという性的知識です」 「ほう。そこまでのデリケートさは識らなかった」 「たとえば[坪型]のテクニックではソフトな刺激により、本番のセックスの[正常位]でペニスを 浅く挿入したときの性感を与えることができます。これはモニターによる実験で実証されています。 しかもフェラチオをされる側の男性に腰を使ったピストン運動をさせれば快感度はアップされます。 これらの性技術を上達させれば、セックス本番のときに匹敵する性感を与えることができます。 これもモニターによる実験例で実証されています」 「そこまで研究がすすんでるんですか。驚きだな」 「陰茎体の下部に位置する陰茎根の愛撫方法もありますか」 「ええ。この部位は通常、陰毛に覆われています。ですから陰毛に触ること自体が愛撫ともなります が。ペニスの付け根の部位を指でとんとんと軽く圧迫する。すると快感がはしりペニスは勃起して きます」 「実はわしもそれを経験してるんだ」 「男なら誰でもね。これはペニスを急速に勃起させるテクニックのひとつなんだ」 「そのほかにも急速にペニスを勃起させる技術はありますか」 花園は藤原教授と視線をあわせる。 「さきほどの陰茎根を圧迫する直接法のほか触覚とか視覚という感覚を活用する技術があります。 視覚による手法は美人、露出した陰部、全裸の女、アイドルの写真、アダルトビデオなどなどを視覚に よって見たり、想像したりするだけでペニスは勃起してきます」 「それは男性の場合、女性に比べ視覚による性的興奮が強いからでしょう」 「おっしゃるとおり。これに対し触覚ですが、脇腹、乳首、その他の性感帯に手を触れることによって 性的に興奮しペニスも勃起してきます」 「ああ。それはわしも経験している。個人差はあるかもしれないが、実はわしの場合、乳首の刺激が 効果的なんだ。両方の手首の柔らかい部位を乳首にあて、おなかを突出しながら前後左右に擦りあげて ゆくんだ」 「弁護士先生も隅におけないね。そのとき乳首の部位により性感の質が異なることが重要です」 「ほう。どう異なるんですか」 「まず左右の乳首の外側を前後に擦ってゆく。かなり性感が昂進してきたら、左右の手首の柔らかい部位 を乳首の上位にあて擦りあげてゆく。乳首の外側と上部では性感の質が違うはずです」 「ほう。そうなんだ」 「そして左右の乳首の真下に手首をあてて左右に八の字に擦ってゆく。そのときの性感の質は前二者とは 異なるはずです」 「なるほどね」 花園は、おもわず左右の手首を自分の胸にあててしまう。 「このように乳首もその部位ごとに性感の質が異なることも性生活をより芳醇にするための知識として大切 ですな。いまコメントしたことは、モニターによる実験により実証されています」 「素晴らしい実験例ですな。感服!!」 「モニターによる実験例をもうひとつ紹介しておきましょう」 「どんな実験例ですか」 「まずバギナにペニスを挿入するつもりで膝を曲げ、腰を据え、股間を開き、両腕の肘(ひじ)と手首の間の 柔らかい部位を両方の脇腹にあてペニスをバギナに挿入した姿勢でピストン運動をしながら、ソフトに脇腹 から左右の乳首まで撫で上げてゆく。個人差はありますが、このアクションを30回ほど反復すればペニス は勃起してきます。このアクションを50回から100回くらい繰り返せばペニスの尖端から透明な[カウ バー腺]が分泌されることも実証されています。これはソフトな性感を享受しながらペニスを勃起させる テクニックです」 「よくわかりました。それで直接法としてはどんな手法がありますか」 「ペニスの付け根を指のハラでとんとんと軽く圧迫すると短時間でペニスは勃起してきます。このほか、 左手の手の平でペニスの亀頭部を鷲掴みにし、右手の手首の柔らかい部位を右の乳首の外側にあてソフトに 前後に擦りながらピストン運動を展開します。するとペニスは勃起してきます」 「ほう。こんど佐保子を抱くまえにやってみます」 「乳首を愛撫する手法ですが。唇や舌でソフトに乳首を舐めてゆくとか、乳首をきゅうっと吸うとか、舌で 乳首をソフトに転がしてゆきます。また手や指、歯などによる手法もあります。乳首をソフトに指で掴む。 乳首をソフトに抓ったり引っ張ったり、歯でソフトに乳首を噛むなど。さらには手の平で乳首をソフトに擦る とか、乳首の上部、下部、乳首全体、乳首の脇を[八の字]に軽く擦る手法のほか乳首の天辺に手の平を90度 の直角のあてソフトに弧(円)を描いてゆきます。最後に体部を愛撫する手法もあります。脇腹、膝裏、足の 付け根なども性感帯になるので、これらの部位をソフトに撫でまわしてゆきます。これは体のすべての部位に キスをしたり、舐めたりして全身を隈なく愛撫してゆくテクニックなんです」 「なるほどね」 「おしまいに性器」の愛撫ですが。まず[手マン]という技術があります」 「初耳だなあ。手マンとは」 「性俗語としての手マンは、女性に対してなされるセックスアクションです。これには男性が女性に対してする ときのほか、女性自身が自分の手や指により性器に触ったり指を挿入したりして刺激することも含まれます。 女性が単独でする場合を性俗語としては[一人エッチ]といいます。指をペニスの代用として用いることを[指マン] といいます」 「ほう。単独性行為なんですね。男性のオナニーに類似してますな」 「このほか[手扱き]というタイプもあります。これは女性がペニスを手で掴み、上下に扱きながらピストン運動を つづけて男性に射精させることです」 「なるほど」 「いずれにしても性器を愛撫する手法は、セックス本番の準備としてペニスを勃起させるためになされることも あります。しかしその多くは避妊のためとか、妊娠中とか、月経中に用いられます」 「そうなんだ。わかります」 「通常のセックスは男性が能動的にすすめるのに対し、この手扱きのときは男性が受動的になるので女性が男性を 征服したような気分で一味ちがった性感がえられるともいわれます。より具体的にいえば女性サイドとしては至近 の距離でペニスを視覚におさめながら触ることもできるし、射精の瞬間を現実に観察し、手のなかに精液が射精さ れる感触を満喫することができるメリットがあります」 「そうかもね」 「この手扱きの場合、亀頭の先端の尿道口から分泌されるカウバー腺を指のハラで亀頭部からペニス全体に延ばし 広げてゆくか、セックス用の潤滑剤を塗せばピストン運動をを滑らかにすることができます。しかも男性が自分の 腰を使ってピストン運動ををすればペニスをバギナに挿入したときのような性感がえられ射精することもできます」 「そうなれば通常のセックス本番とあまりかわらないな」 「まあね。しかも日常のトレーニング次第では、手扱きによる射精は[膣内射精]のとき以上の快感がえられることが モニターによる実験例で実証されています」 「なるほど。そこまでくればもはや前戯的性行動というよりはセックス本番そのものというべきかもしれませんな。 これは手を使って性器を刺激し性的快感をえるアクションだから、まさに[手淫]」という概念がぴったりする性行動 ですな」 「まあね。ただ乾いた状態でペニスを掴みピストン運動を継続すると、ペニスを痛めるおそれがあるからカウバー腺、 潤滑用のローション、霧吹きなどの手法を有効に活用し、滑らかな状態でやらなければなりません」 「そりゃそうですな」 「この手扱きを停止するタイミングは、射精が完了し、ペニスの勃起が弛緩しかけたときです。射精したらその精液 を亀頭に擦りつけるようにして刺激を与えると男性により強い性感を持続させることができるでしょう」 「なるほど。わかります」 「しかも男性が射精する寸前にピストン運動を停止して射精させないこともできます」 「ほう。せっかくセックス登山の山頂にさしかかったというのに」 「これを[寸止め]といいます」 「なぜそんな手法をもちいるのですか」 花園は首を傾げる。 「それは男性に長時間にわたり性的快感を与える基本的な手法なんです」 「ほう。そうなんだ」 「性感が昂進しきて射精が近くなれば男性自身が性感の度合が高潮してくるので自分で感知できます」 「それはわしも経験済みだが」 「そのときパートナーとしての女性が射精寸前を感知するテクニックとしては、片手でペニスを扱きながら、他方の 片手で精嚢に触ってみてその硬さで確認できます。射精が接近すると精嚢が蠕動しながら硬く引き締まってくるから です。こうして一時停止をしたピストン運動を再開するタイミングはペニスの勃起が緩みはじめたときです。 この手法は性生活をより芳醇にするために重要です」 「あるほどな。いわれてみれば性生活も奥が深いんだ」 「もこれでコメントはお終いですか」 「いやまだあります。[足扱き]という手法もあります」 「さっきは手をもちいたが、今度は足までもちいるんですか。足扱きとはどんな性的技術なんですか」 「この性行動は、セックスアクションにおける性的興奮を得るために女性が男性のペニスを足で挟み刺激を与えて 射精させるアクションなんです」 「なるほど。足で扱く行為だから足扱きという概念が誕生したわけか。このアクションには具体的にどんな効用が あるんですか」 「この女性が男性のペニスを足で挟むというアクションは、女性サイドとしては男性を隷属(れいぞく)させた気分に なる反面、男性は一種の屈辱感を味わうので[ソフトSM]効果を発揮できます」 「ほう。そうですか」 花園弁護士は怪訝(けげん)な表情になる。 「足だけで刺激して射精させることはかなりのテックニックが必要です。そこでこのアクションの前段階において 手扱きとか舌による愛撫などでペニスに十分な刺激を与えておき、射精しやすいレベルに達してから足を使うのが 適切です。この足扱きでペニスを挟む足は、素足でもパンスト着用の足でもよい。パンスト着用の場合はパンスト フェラといいます。この場合の男性はパンスト着用の足に射精するのを好むといわれています」 「もう、そろそろ終わりですか」 「いや、パイズリという手法もあります」 「ほう。その概念はどうなんですか」 「ええ。このパイズリ(Mammary intercours)というのは女性の乳首をもちいて男性のペニスを刺激するセックス アクションなんです」 「ほう。そういうアクションもあるんですか」 「まあね。これは女性の両方の乳房の間にペニスを挟み、乳房を上下に動かして刺激を与えるのが基本的な手法です。 性器とは異なり乳房は愛液を分泌」しないから、潤滑用のローションをペニスに塗す必要があります。この手法も 乳首だけで刺激するケースを[乳首ズリ]といい、乳頭の間にペニスを挟んで刺激するケースを[乳頭ズリ]といいます。 ペニスをパートナーとしての女性の胸の谷間に挟んだまま射精させることを[挟射]といいます。尤も女性の胸によって 男性のペニスが刺激され、そのまま両乳首の谷間から顔に向けて射精することをパイズリと呼ぶこともあります」 射精してしまうことをパイズリと呼ぶこともあります」 「なるほどな。ひとくちに性器の刺激といってもいろいろあって、奥がふかいんだ」 「まあね。そういうことなんだ藤原教授は冷めたコーヒーを啜る。」 ○ 花園家の庭 芝生は30cmほどの積雪で一面の銀世界に変貌している。 庭の片隅では葉が落ちつくした柘榴(ざくろ)の枝に白雪が降り積もっている。
|
|