その目覚めはあまりにも突然で・・・。
今はまだ、真夜中。
幸恵はぼんやりと天井に眼をやる。
いつもと変わらない自分の部屋。
時計の秒針がやけに大きく耳を打つ。
隣で恋人の信也の規則正しい寝息が聞こえる。
閉じられた瞼に睫がかかる。
昼間見るいつものそれではなくて、
目を閉じ隣で眠る信也は、幾分幼く見えた。
不意に幸恵はある衝動に駆られる。
幸恵の顔に戸惑いの色が走る。
わかってるよ わたし わかってるから・・・
こんなことしちゃったら、きっとあなたに嫌われちゃう。
だって、こんなこと・・・
いけないことだ。
しかしそれは抗いがたく、幸恵の心を締め付ける。
禁忌・・・とでもいうべきか。
こんなこと―――
人は―――
その行いを、若さゆえの過ちと笑ってくれるだろうか。 しかし、幸恵はすでに30歳を超えていた。
この行いが笑って済ませられようはずが、ない。
いや、
だけど
でも
誘惑とはなんと甘美なものなのか。
いや、あるいは
―――塩っぽいのか?
幸恵は思う。
―――あなたの 鼻の穴 かっぱえびせん 何本はいるの?―――
―――やってみたい―――
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