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作品名:定子 92歳☆ 作者:抹茶小豆

第4回   4
気にならないといえば嘘になるが、気にする余裕もなかったというのが現状だった。(ごめん。ばあちゃん)その日は朝から仕事に追われ必死のぱっちだった。夜には組合の会議があるというので、手術の付き添いは父がした。
「父で大丈夫なんやろか?」と少し不安だったが、そこは父に意外な才能(子守と介護は得意)に賭け、母と私は仕事に専念した。

ふとスケジュール帳に目をやる。私は自分の死を予感した。組合の会議が週3回、その他の日はおばあちゃんの病院、休日は副業を始めていて、お客もちらほら予約で埋まる状態だった。体がもたない。

よく一般的に「介護は揉める」というが、「そりゃそうだ」と実感した瞬間だった。これだけの経済的負担、と肉体的精神的負担を一人の人に押し付けては絶対に駄目だ。
うちのケースは兄も私も実家のすぐ近所に住んでいるから、なんとかなったけど、介護する人が一人だったら、本当に追い詰められてしまうと思う。

仕事を辞めるか。
結婚して3年目。そろそろ子供もほしいし、潮時かなという気もする。状況がこうなった以上それはそうするように神様が道を開いてくださったようにも思えた。

私の退職はすんなりと認められ、7月末で退職することが決定した。


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