「あなたも…私と同じ…そう思ったから、 あんな明け方から相手をしたのよ、 そして…私はあなたに私の心を見つけて欲しくて、正して欲しくて、 あなたに無理矢理に自分の状況を教え込んだの…、 乱暴なことをしたって何度も思ったわ…
ごめんなさい、 でも私達ってお互いにお互いしかいないのよ… 私はあなた以上に、あなたは私以上に、お互いを分かり会える人になんて出会えないのよ、 これはもうあなたも気付いてるはずよ?そうでしょ?
でないと、私達は泣かないわ、 朝日が…世界がこんなにもクリアだったなんて気付かないはずよ? そうでしょう?私とあなたはまた、いつかこの広い世界のどこかで出逢うわ… それがきっと運命なのよ、 だから…ここでの「さようなら」を鵜呑みになんてしないで? 私を忘れててもいい…私を見つけだしたとき…私を思いだして、だから…「さようなら」。」
そして、ハルは消えてしまった。
部屋に残された僕は…何も出来なかった。これが悲しいことだと言うことは分かっていた。
でも…僕らの運命はもう…かえることはできない。
いつか…それが何秒に起こることなのか、 何時間なのか…全く分からないがそれでも、 僕らが出逢うことは確実だった。だから…僕はこの「さようなら」を鵜呑みになんてしなかった。
そして、僕の体は軽くなった。細胞は全て生まれ変わり。
日差しは僕の体をつけ抜けていくように感じられた。
僕にとって何もない日々が始まった…。でも…本当に何もない日々ではなかった。
ハルと出逢って僕は僕になることが出来た。
僕は僕として生き始めた。街の雑踏も、人が溢れる街も僕を受け入れ、そして優しかった。 月日だけは僕をさげずむように足早に過ぎていく。
ハルの言葉も記憶は忘れ始めている。 でも、理屈じゃなく心がハルを覚えていた。ハルだけを探し求め、ハルだけを必要としていた。
何ヶ月もして、心の何処かで寂しさが滲み出て… 消えてしまいたいと思うようになった。でも、心にハルがいてくれる。
人から見れば僕とハルの出逢いは、異常かもしれない。 でも、ボクにもハルにも何よりも必要で、 どんなことよりも必然的な出逢いだったんだ。きっとハルは、何処かで出逢うための僕の運命の人。
この広い世界の中で僕とハルの世界は共鳴し合ったんだ。 ハル以外僕にはいない。ハルがいるなら…世界を受け入れられる。
そして、世界は狭い。人ごみが溢れる雑踏で、光り輝く姿を見つけた。
あの夢の中で見た、人。白い服を着た、女性。出逢えた…運命の人。
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