「僕は…ハルに言われるまで大切だった彼女を守りたかったんだ、 そうしないと僕は…何も出来ないような男にしか思えなくて… そして僕自身も彼女を守り続けていきたかったんだ、 僕がどんなにひどいことをしていても許してくれた彼女を僕は守りたかったんだ…、
でも、それは違ったんだんだよね、 僕が守りたかったのは彼女なんかじゃないんだ…
僕は僕を守りたかったんだ… そうしないと僕が可哀想じゃないか!僕は彼女を傷つけて… そして彼女と別れたんだから…僕が可哀想じゃないか!
本当はこんな事を巻がえていたんだよね…、 表面だけいい人ぶって人の痛みなんて理解しようとはしなかったんだ、 だって僕はこの世界の誰よりもかわいそうなんだから… このまま生きていったら僕は同じ事を繰り返して、 そして相手を守る振りをしてみんなを傷つけてそして、自分を守ろうとしていたと思うんだ… それをハルが気付かせてくれた、僕は初めハルはおかしい人なんだって想ったよ… だって僕が心の奥底で信じ込んでいた一番可哀想な僕を責めるんだから… それにも気付いてはいなかったんだ…そしてハルからそういわれたとき、 僕の心はもう隠せないと感じたんだ‥ だってハルよりも誰よりも僕がその深層心理に興味を持ってしまったんだから… だから心は僕に隠したメッセージを投げかけたんだ… それが僕が見てきた夢と、心の奥で感じる違和感だと思う…
ねぇ、ハル、キミはどうして僕に会った瞬間僕の汚い部分が分かってしまったの? 僕の汚さは…誰にでも分かってしまう程色濃いものなのかい? 結局僕は、僕の事しか気にできないように感じるかも知れない… でもね… 僕はこの僕じゃない僕になりたいんだ… 僕は…人の痛みが分かる僕になりたいんだ… だから…ハルの手を借りたい…それを許してはくれないだろうか? こんな事を聞く、浅はかな僕を許して…そして教えて欲しい。」
そして僕はキーボードを打つ手を止めた…。
普段人と話すよりもずっと素直でいることができた気がした。 画面の奥のハルは…静かに呼吸しているのがわかった。
何かを悩むように…ガラスに息の水滴がつかないようなひっそりとした呼吸の仕方だった。 そしてためらいがちにハルは返事を返してくれる。
「そう…あなたが気付いたことは、私が考えていたことと同じよ、 そして私があなたの闇に気付いた理由を言うべきなのも道理に叶っているわ… だから…あなたは私に許しを請う必要なんてないのよ…
あなたが考えているほど…私は強くないわ… だってこういう手だてでないと私はあなたに何も言えないんだから、 私がどれほど臆病なのか理解できたでしょう? そして、あなたが理解できたと言うことは… 私があなたの闇に気付いたのと同じ理由だと思って欲しい… 私のいっている意味を…あなたなら理解できるはずよ。」
そうしてハルは悲しい涙を流すようにそこへ留まってしまった。だから僕は言ったんだ。
「うん…ハルが言いたいことは何となく理解できたよ…、 僕とハルは同じだったんだね、そしてハルは僕より気付く時期が遅かった… だから何人もの人を傷つけてしまった、、、 そうだろう?だからなんだって言うんだ?! ハルは…ハルのような人をださないように僕に気付かせてくれたんだろう? この世の中で僕らが傷つけて来たような人が増えないように… キミは僕に言ってくれたんだろう?それだけで…十分じゃないか… 何故キミはそんなにも苦しむんだ…どうしてキミは… 悲しみにうちに生きてしまおうと思うんだ!! ハルは幸せになって良いんだよ…いや…僕がハルに幸せになって欲しいんだ …僕の声なんてハルには届かないんだろうか?…。」
そして僕は泣いてしまった。
画面の向こうでハルが泣いているから…僕も悲しくなってしまった。
世界中の人々がこんなちっぽけな悩みを抱いて泣いている僕らをバカにするかも知れない。 でも…僕はそれでも良かった。
傷のなめあいだとバカにされたって… お互いの気持ちが嫌だと思うほど理解できる相手に… 出逢えることが出来るのだろうか…。僕らは日が昇っても泣き続けていた。
そして、今まで感じたことがないくらい太陽を眩しく思った。
世界はこんなにもクリアだったんだ。
そして、ハルが話し始める… 今までハルがしてきたことにはほとんど触れずに、折り紙を折るように慎重に。
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