長い夜はきらめく星を連れてやってきた。何億光年も向こうにある世界。…。 僕は今までそんな遠い世界に消えていたんだ。僕は外の街を歩きながら微かにきらめく星を見ていた。
眠らない街…それが今僕がいる街。
ハルも今点あの星を見ているような気がしていた。 少しだけ赤く輝くマーズ。 いくら歩いても僕とハルが出逢った時間にはたどり着くことが出来なかった。
時間がとまり…この騒がしい闇は永遠にこの世界を支配し続けるのだと感じた…。 僕の心はいつでも一人だった…でも、今は違う。
見ず知らずの僕を理解してくれるハルがいる。 どこかで生き続けているハルがいる。例えどんな人でも…僕はハルを大切に思う。
自分の部屋に帰り、部屋の明かりを消す。 そして僕は浅くてひろい眠りの中に落ちていった。
夢の中で僕は走り続けていた。
走っても走っても僕は満足することができない。
これ以上進んでも…何もないことを知りながら僕は走ることしか知らなかった。 この胸の痛みが、心の傷だと気付くこともしないで、僕はただ生き急ぐように走り続けていた。
息が出来ないほど走ってもそれでも、走ることをやめなかった。 いや。 走ることしか僕は知らなかったんだ。そして僕の目の前に綿毛が飛んでいく。
綿毛を追い抜いてしまそうと走るの速度を速めても綿毛を抜くことは出来ない。
そして、綿毛から僕に近づいてきてくれた。 っと頬を撫で…優しく囁かれたような気分になる。
立ち止まっても闇はもう追いかけては来ない。
僕の足が少しずつ速度をゆるめる。そして立ち止まって上を見てみる。 息をのむような真っ青な空が広がっていた。
そして僕は悟ったんだ。
これが僕なんだ、と。
目が覚めると僕が今まで見ていた夢の事を忘れてしまった。 でも…何か心から欲しかった何かを僕はつかめた気がした。
そして僕とハルはまた出逢う時間になっていた。
昨日よりも世界が生きている気がした。
そして僕を取り残して先に進んでしまいそうな…そんな焦燥感もなかった。
僕はハルに呼びかける。
「ハル…?もう来ているかい?」
少しの時間がたった。でもそれは木の葉が地面に落ちていくような…そんなゆっくりだけど早い時間だった。
「おかえりなさい、あなたの場所に…。」
そして僕は涙を流してしまった。 そうだ…僕はこの場所に戻ってきたかったんだ。そこがどこなのか分からない…
でも心がそうだ!ここに戻ってきたかったんだ! そう叫び声をあげているように感じた。
「ハル…僕はここに戻ってきたかったんだ…自分の事を何も分からないで、 さまよっている世界ではなくて…僕が僕であるこの世界に…。」
ハルが画面の向こうで笑顔を向けているような気がした。そして僕は話を続けた。
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