どうしたら…どうしたら…どうしたら…。
いつの間にか僕は自分を追いつめていった。 逃げ場がなくなった僕の本当の気持ちは少しずつ姿を現そうとしていた。
でも…それは僕の前に出ることを嫌がった。
かたくなに拒否されればされるほど…僕は知りたい気持ちを抑えられなかった。 逃げ場がない僕にまた睡魔が襲ってきた。いすに座りそして外を眺める。 きっとこの風景をハルも見ている。そう思った。
そして僕は夢の世界へと消えていった。夢の中は布団にくるまれているような優しい暖かさだった。
そしてあの子がいた、僕を見て笑ってくれている。 あの笑顔…今、君はどこに行ったの?涙が溢れた。
自分しか守り抜かなかった僕自身を僕は怒りで押しつぶすしかなかった。 そして夢の中の彼女さえも消えてしまった僕は孤独になる。
そして誰かがいる…暗闇の中に誰かいる。
手を差し伸べる。
でも冷たい手に僕は驚いて手を引いてしまう。 そしてその人がしゃべった…
「何も心配しないで大丈夫、私はあなたを知っている、あなただってそうでしょ?」
彼女の顔が見えそうになった瞬間、僕は夢から覚めた。 目ぼけた僕の横では携帯がなっていた。そして、その隣にはコンピューターがまだ動き続けていた。
携帯の受話器を上げる…そして聞こえてきたのは友達の声だった。 『ねぇ、あの子の彼氏ってあんたじゃなかったっけ?』
僕ののどからは冷静に声が出ていた…『別れたんだ、どうして?』
そして受話器越しに言われる、 『そうなんだ、あの子が男と歩いていたから…浮気してるのかと思ってさ。』
そう…と言って、僕はそして電話をおいた。深呼吸をする…前ほど胸は痛まなかった。
そうか…そうなのか…彼女は彼女の幸せな生活を送っている、 僕がいない方が幸せになれる生活を…。
夕焼けになっていた外の景色は僕の涙もオレンジに染めた。
僕は涙を流しながら彼女の幸せを祈った。僕よりも幸せになるようにと…。
そして僕はハルのいた部屋を覗いた。 他の人が何人かいたけれど…ハルは話にはいっていなかった。 そして僕を待っていた。静かな呼吸が僕には聞こえる。
「ハル…待たせてごめん、帰ってきたよ。」
そして彼女から返事が来た。
「もっとゆっくりしていても良かったのに…私はいつまででも待っていたのに…。」
彼女が含み笑いしているような気がした。僕より精神年齢が上の女性。
「僕にとっては何日も過ごしていたような長い時間だったよ、 大丈夫…何となく気がついたんだ。」
そしてハルは優しく言った。
「そっか…私に話す?それとも自分の胸にとどめておく? きっと認めたくないことでしょうから…。」
彼女のおかげで僕は気付けたんだ…そして彼女がいてくれたから僕は今の僕になれた気がした。 そして僕は自然にそういった。
「ハルに聞いて欲しい…ハルでないとイヤなんだ。」
本心だった…。
「ハルには僕の醜いところも聞いて欲しい、知って欲しい。だから僕はハルに聞いて欲しい。」
ハルからの返事はこうだった。
「分かったわ…じゃぁ…私達が初めて出逢った時間に待ってる。」
そしてハルはこの画面の中から消えてしまった。 その瞬間、僕はこんなにもつまらないものだったのだろうかと思ってしまった。
ここはハルがいないとこんなにも魅力のない場所だったんだ。
そして、僕も画面を閉じた。それからの時間は永遠に続くかのように長かった。
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