「大丈夫、何もあせらなくていいのよ、もちろん怖がらなくてもいいの… 自分に素直になって欲しいだけ、あなたは私に気付いてくれた、 だから私はわかったの…同じ傷を持っている人だ、って…。」
僕は言葉を失った。
どうしてそこまでわかるのだろう?僕はただハルを見つけただけだ。
ハルが怖いと思った。
でもハルへの何かが動き出していることも感じ取っていた。 僕と同じハル。僕はハルと同じ…。 画面の向こうにも…僕が作ったものより巨大なものに押しつぶされそうだったハル。 だけど…もう立場が逆転していた。
ハルの優しい言葉は続く…。
「私のことは考えなくてもいいのよ、つい言ってしまっただけ、 ねぇ…空が綺麗よ、 きっとあなたは同じ空を見ているはず…そんな気がするの… 私達は今出逢った同士じゃないみたいね…、 …ゆっくり、考えて、私が答えを言ってしまったら意味がないの、 でも私はあなたに気がついて欲しい…だから…お願い。」
ハルの言葉が優しく響いた気がした。
空を見上げる。本当に綺麗な空だった。
何にも例えようがないくらいの色をした空が僕の上にあった。 僕もきっと彼女がこの空の下にいるのだとわかった気がした。 彼女が言った「お願い」は儚くて…。 文字から伝わって彼女まで消してしまいそうな力も持っているように見えた。
僕は時間をかけて何かに気付くことにした。ハルに返信をする。
「わかった、時間をかけてでも僕は気付いてみせるよ、 だから待っていて、わかったら僕はまたここに戻ってくる…ハルがいるこの場所に…。」
画面の向こうでうなずいているハルの姿が見えた気がした。
それから僕は昼食を作り始めた。それ程時間がたっていたのだ。 さすがにお腹がすいた僕は自分で作り始めた。その間も僕は考えていた。
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