序章
色あせた記憶の中 女の子が泣いていた 僕はなんでこんなことしかできないのだろう これでほんとにいいのだろうか
初恋の女の子 ずっとずっと一緒に過ごせると思っていた でも・・・・・・
第1章 1 目覚ましの音が鳴り響いた その音に目を覚ます なんだか懐かしい夢をみていた気がするがどうしても思い出せなかった
ふと、携帯を見る 8月13日 今日から友達と小さな旅行に行くことになっていた メンバーはオレ、小柳魁(こやなぎかい)と同級生の男、高崎凛(たかざきりん)、女二人水瀬楓(みなせかえで)と牧野かなめ、それにあと一人、かなめの妹のつかさの5人 ちなみにつかさとはまだ面識がない オレ以外はみんな知ってるらしく今回の旅行に誘ったのも凛だった
オレは身支度を整え集合場所の駅へと向かった 駅に着くと凛と楓がいた 牧野姉妹は少し遅れてくるらしい ただ他愛もない話で盛り上がっていた しばらくすると一人の女の子がきた どうやらこの子がつかさらしい つかさはオレらより一つ下で凛と中学から同級生だったかなめ繋がりらしい 「お姉ちゃん。かなり遅れるから先に行っててって言ってたよ」とつかさが言った 「あいつ自分で誘っておいてそれはないだろ」と凛 「いつものことじゃない」と言ったのは楓だ とりあえずオレはうなずいといた
到着したのは凛の家が所有するログハウス なんとこのログハウス、凛の親が自ら作ったらしい 1Fがダイニングキッチンと洗面所、2Fに部屋が3つある これを素人が作ったとは到底思えない
荷物をおき下に下りようと思ったら女子部屋からつかさが出てきた まだ知り合いってわけでもないけど無視するのは感じ悪いと思い話しかける言葉をさがした やっと出てきた一言が「こんにちは、2日間よろしくね」というありふれたものだった
2 下におりると誰かがきたようだ おそらくかなめだろうとは思っていたが案の定だった やけに大袈裟な荷物を持ってる 「いったい何もってきたんだよ」と凛が言う 「乙女の荷物の中身を聞くなんて失礼よ」 オレは聞き流しておくことにした
夜まで遊び夕食をみんなで協力して作る 楽しい時間が終わりメインイベントの時間になった 元々このログハウスに来たのは肝試しをするためだった ログハウスのある山は電灯がなく夜になると月明かり程度の灯りしかなくなる またこのあたりは他のログハウスもあり多少は明るいが少し山を登ると灯りがまったくない さらに凛の話ではそのあたりには古い祠があるらしい
5人は山の中に入った 意外にもいつもは一番勝気なかなめがかなり怖がっているようにも見えた すると突然草むらから物音がし、それに驚いたのかかなめが叫びながら走っていってしまった 「おい、待てよ!」 凛が追いかける 後ろに続いてかなめも走っていった オレとつかさも走る
やがて後ろを振り返るとつかさがかなり遅れていた このままでははぐれてしまう そう思い叫んだが前の三人は気づかずに走っていった 仕方なく止まりつかさが来るのを待った やがてつかさが追いつく かなり息をあげていた 「みんなは?」呼吸を整えながらつかさが言った 「先に言っちゃったよ。呼んだけど気付かなかったみたい」 「ごめん、私体力なくて・・・」 「いいって、どうやら一本道になってるっぽいからそのうち追いつくだろう。ゆっくり行こう」
しばらく歩いたが一向に凛たちに追いつかなかった やがて道が険しくなってきた 携帯は県外で連絡はとれないしだんだん不安になってきた ふと時間を見ると肝試しをはじめてから30分がたっていた 片道30分くらいだと凛が言っていたので完全にどっかで道を間違えたのだろう 「とりあえず引き返そう。もしかしたらみんな戻ってて心肺してるかもしれないし」 つかさはすごく不安な顔をしていた 「大丈夫さ、なんとかなるって」 オレはそんな言葉で励ますしかなかった
戻り道の途中ふとつかさの懐中電灯が切れた 「オレの使っていいよ。オレは携帯のライト使うから」 そう言って海中電灯を渡した 「じゃあ、私が携帯のライト使うよ」 「いや、オレの携帯アンテナ入りにくいからさ。電波が入ったらメールしてほしいから」
また30分がたったがまだ帰ってこれなかった 一本道だったはずの道が複数にわかれていた 泣き出しそうなつかさを励ましながら道を模索しながら探した そんな時携帯の着信音がなった どうやらつかさの携帯らしい 見るとよほど心配だったのか3人から合計14通のメールに不在着信が87件きていた つかさは電話にでる 『つかさ!よかった、やっと繋がった!ごめん・・・私が勝手に走っていったせいで』 かなめの珍しい声が聞こえてきた 「ううん、大丈夫。魁君がいるから」 『ちょっと、代わってくれ』凛の声が聞こえた『何か目印になるようなものはないか?』 つかさは辺りを見回す 「水の音がする・・・川が近くにあるのかな?」 『川?もうちょっと進んでみてくれ。古いつり橋がないか?』 言われたとおり進んでみると古いつり橋があった 『了解、すぐに迎えに行くからそこで待っててくれ』
しばらくして凛が迎えにきてくれた 家に着いた途端つかさにかなめが鳴きつき何度も謝っていた 無事に帰れたし、かなめの珍しい姿も見れたのだからよかったと思っておこう ようやく落ち着いたかなめが言った 「今日のこと誰かに言ったら殴るからね」 当然凛やオレに向けられた言葉だ
3 短い旅行も終わり一行は帰ってきた 駅に着けばいつもの見慣れた景色が眼下に広がる
「じゃあ、買い物して帰るからつかさは先に帰ってなさい」 かなめが言った かなめの家は親の仕事の都合上夕食は二人になることが多く、食事もかなめがほとんど作っていた かなめはそのまま町の人ごみの中に消えていった
オレらも帰ることになる 途中で楓が別れた 楓は駅からみて東側、他は西側に住んでいるからだ
またしばらくして凛の家の前で凛と別れた つかさの家はかなめと一緒なんでもうちょい先だ 自然にまた二人だけになってしまった まだそれなりにしか親しくないため話ことがみつからない 今後またこんな感じのことがあるかも知れないから今のうちに親しくなっておくべきなのだけど
「そうだ、よかったら携帯のアドとか教えてくれ/ない?」 ふと思いついたことをいってみたがよく考えるとすごく失礼というかいやらしいように見えたかもしれない しかしつかさは嬉しそうに携帯を取り出した しばらく携帯をいじっていたがやがて動きが止まる そういえばやばいほどの機械オンチだとかなめがいっていたような気がする 携帯の機能で使えるものは電話する、メールを打つ、メールを見るだけだそうだ まるで高性能な機械を突然渡された老人のように固まってるつかさに助け舟を出した 都合よくオレの使ってる携帯とほぼ同じ操作でいけたので迷うこともなかった
それから携帯の機能をわかりやすく教えてあげる よほど不器用ならしくあたふたしながらも確実に使えるようになっていった やがてつかさの家の前に着きつかさとも別れた オレのそのまま家に帰り疲れが溜まっていたのかぐっすり眠った
4 ふと空腹に目覚めるとつかさからメールが来ていた 内容は今日のお礼と昨日からずっと聞かされている昨日の夜のお礼 つかさの性格からして言わずにはいられないんだと思うけどそう何度も言われると無性にこそばゆく思える
それからつかさとのメールは続いた かなめも言っていたがつかさは誰かとメールするのが無性に楽しいらしく姉妹間でも同じ家の中でメールが交わされるほどだそうだ
それからは朝起きてからから寝るまでずっとメールをしてるような気もする そんな日々が過ぎていった 夏休みの間は何度もいつもの5人で遊びに行き自然と顔をあわせる機会も多くなってくる しだいに仲良くなっていきいまでは凛やかなめや楓といるときのように話ができるようになった
やがて日が過ぎ夏休みの終わりごろ久々に一人で出かけていると親から電話がかかってきた 先ほど美夏という女性から電話があったらしい それを何故伝えてくるのかわからなかったが名前が妙に懐かしい気がした 記憶を辿ってみる やがて脳裏に一人の少女がよぎった 雨の中泣いている少女が やがて記憶が鮮明に蘇る そうその子は初恋の子
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