佑美は、授業が終わると、雅之にもらった携帯電話の番号に電話してみた。四回目のコールで雅之が電話に出た。 「今、授業が終わったの。じゃあ、図書館の建物の前にいるから待っていてくれる」 そう言い、電話が切れた。 言われた場所に向かい暫く待っていると、雅之が駆けてきた。 「ごめんね。食堂に行こうか。あそこならゆっくり話せるから」 雅之は、すたすた歩き始めた。佑美は、その後ろをついて行った。何だか叱られた生徒みたいだなと思いながら。 食堂は、空いており、雅之は、冷たい飲み物を二つ買って席についた。 「はい」 佑美の前にカップを置き、雅之は、自分の分のドリンクを半分ほど飲んだ。 「ありがとうございます」 佑美も一口飲み、テーブルに戻した。 「どうやって話そうかな。うーん、そうだな。僕のマンションは、佑美ちゃんの家に行く坂の途中にあるんだ。多分、知ってると思うけど、海の見える公園の・・・前なんだ」 佑美は、初め意味が解らなかったが、みるみる頬が赤くなった。俯いた佑美に、 「昨日、横川がうちに来ていて、あ、僕の部屋は二階なんだけど公園がよく見えて」 そこまで話すと、雅之は残りのドリンクを飲み干した。 「見ていたんですね」 佑美は、消え入りそうな声で呟いた。自分が消えてしまいたいくらいの恥ずかしさがあった。 「上からだとよく見えるんだよ。下なら、茂みで見えないんだけど。実は、横川が最初に見つけて、カーテンしめたよ。僕に見せたくなかったんだろうね。まあ、あいつもパニックになっているから行動は遅かったけど。あいつは、かなりショックだったみたいだ。早く紹介してしまったらどうかな?」 「今は、兄が親代わりだから怖いの。でも、話さなきゃとは思っているの。やっぱり解ってほしいから」 雅之は、少し笑ったが、すぐ真面目な顔になり、 「大丈夫だよ、横川は、反対なんかしないと思うよ。僕は、良い青年だと思ったよ。だから自信を持ってね」 「はい」 佑美は、笑顔で頷いた。そろそろ限界だろうか。何を怖がっているんだろう、と佑美は思った。
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