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作品名:海の見える公園にて 作者:さらら

第11回   11
佑美と圭一は、図書館で過ごすことがおおかった。静かな時間を二人で暖めるかのように。時々、小声で話し、くすくすって笑って辺りをうかがいながらまた、勉強をする。佑美は、この時間がとても好きだった。
 一時間ほど図書館で過ごすと、帰り支度をした。いつものように、
「自転車を取ってくるね」
 と言い、圭一が行こうとすると、
「佑美ちゃん」
 誰かが声を掛けてきた。佑美は、びくっとし、振り返ると雅之が立っていた。
「こんにちは」
 佑美は、出来るだけ明るく答えた。
「今帰り?遅いね」
「ちょっと、図書館で調べ物をしていたので」
 佑美は、まだ側に圭一が立っているのに気付いた。雅之は、圭一を見て、一瞬、驚いた表情をしたがすぐに何事もなかったように、
「お友達?」
「ええ、まあ」
 雅之は、ぴんと来た。
「彼氏?」
 佑美は、表情が強ばった。
「そうか、和宏は知ってるの?」
 雅之は、にやにやしながら聞いた。
「知りません。あの、中井さん、兄には内緒にしていて下さい。ちゃんと、そのうち話しますから」
「解ったよ。そっか、和宏が泣くだろうな。君、何て名前?」
「東圭一です。佑美さんのお兄さんの友達の方ですか?」
「うん、そうなんだ。そっか、じゃあ、僕も佑美ちゃんに振られたのかな」
「中井さん、人聞きの悪いこと言わないで下さい」
「あ、ごめんごめん。でも、良かったね」
 雅之は優しく佑美に笑いかけた。
「佑美ちゃん、僕自転車を取ってくるね」
「うん、待ってるね」
 雅之に軽く会釈して駆けていった。雅之は、駆けていく圭一を見ながら、
「和宏にそっくりだね。びっくりしたよ。顔も似ているし仕草とかちょっとした雰囲気とか」
「ええ、私も初めてあったときびっくりしました。つい、見とれてしまって」
 雅之は、くすっと笑い、
「それで彼と付き合ってるわけじゃないよね」 佑美は、笑いながら、
「半々かも。でも、今は、圭君と、兄は全く違います。もちろん初めからそうです。最初会ったとき、あまりに似ていて目が離せなくて、それに、話しかけられたとき、違和感なくて話せたのは兄に似ていたからだと思うので。似てるけど全然違います。考え方とか、うーん、後は何かな、でも違うんです」
 佑美が嬉しそうに話すので、雅之は、ついつられて笑った。
「おかしいですか」
「ううん、幸せそうだなと思って。和宏が見たら泣きそうだな」
 佑美は、はにかんだ。
「佑美ちゃん」
 圭一が、自転車を取って来たらしく呼びながら手を振った。
「じゃあ、またね。僕は、佑美ちゃんの味方だよ。良い奴そうだし。でも、何かあったら言っておいで。僕がぶっ飛ばしに行くから」
「大丈夫です。そんなことには絶対ありません」
 そんな佑美をみて、
「そうだろうね」
 と雅之は、笑った。
「さっきの人は、佑美ちゃんのこと大事に思ってるんだろうね」
「どうして?」
「うん、佑美ちゃんをみる目が何だか凄く優しかったから」
 圭一は、優しく佑美を見つめてそう答えた。
「兄のお友達はみんな優しいわ。あの人もそうだから」
「そうか」
 まだ何か言いたげな雰囲気だったが、それ以上何も言わなかった。
「あのね圭君、私もう兄に見つかっても良いと思っているの。圭君のこと聞かれても胸を張って紹介できると思うの。だから、ずっと、一緒にいたいね」
 圭一は、びっくりしていたが、嬉しくて、
「やった、僕、佑美ちゃんのこと幸せにするよ。僕も、ずっと一緒にいたい」
 圭一の言葉は、佑美には、一番ほしい言葉だった。佑美にとって、今までは兄が一番の存在だった。それが、今は圭一のことしか考えられなくなった。私は、兄を卒業したんだ、佑美は、清々しい気分だった。
 


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