「バカな、ジャンケンだと!」 二郎だけではない、一斉にブーイングが起こる。
「ふざんけんな!」 「ジャンケンなんて戦いと関係ねえじゃねえか」 「お前の母ちゃんデベソ!」
などなど様々な罵倒が飛び交う。 そしてまたしても草薙二郎にピンチである。なぜなら彼はめっぽうジャンケンが弱かった。こればかりは実力ではない、運否天賦だ。 「何を考えてるんだ。あいつらは」
暴動と化す一歩手前まで騒ぎは大きくなっていた。 すると、スーツの男が声を張り上げた。
「シャラーップ!!!」
拡声器の音が耳をつんざく。
「これは決定事項です。変更はありません。不満がおありならこの隣のジョンが聞きますが…」
すると左側にいた大男が上半身に力を入れると筋肉だけで服を破いて見せた。
この草薙二郎、あの男に負けるはずはないが…勝ったところで…
「そう、例え彼に勝っても失格です。まぁジョンに勝てる人はいないでしょうけど」
「では、いきますよ!!」
くそ、破れかぶれだ。奴はチョキを出す、そんな顔をしている。いやまて、あれはフェイクともとれる顔だ。グーだ、グーに間違いない。だが、もし手を開かれたらパーになる。どれだ、チョキかグーかパーかどれなんだ!わからん!人生最大のピンチだ。この手にすべてが懸かっている。この右手に。
「最初はグー。じゃんけん、ポン!!」
俺はグーを出した。そして目を閉じている、奴はなんだ?負けたのか?目を開けるのが恐ろしい。しかし嫌でも拡声器の音が耳に入ってきた。
「はい、チョキでしたー。あいこもダメですよ。私に勝った者だけ残ってください」
「ふう」 胸をなで下ろす二郎。 勝った、なんとか勝った。この一回のジャンケンで大半の人間がこの部屋から出ていった。
「はい、次いきますよー!!」
「次は、次はいったいどれなんだぁ!!」
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