「二郎の奴、遅いなぁ」 アンナにトイレへ行くと言ってあれからもう随分時間が経っている。 「次の試合私の番なのに…」 もつれにもつれた第一試合、最後はカウンターを決めたタンド・カルーゼが勝者となった。続いて第二試合目はモース・モース対ガウル・ダートンの試合。 第一試合とは違いモースが開始早々からガウルに拳の雨あられ。 『いいですよ。これで決まるかもしれませんよ』と実況者。 アンナから見ても両者の実力差は歴然ですぐにでも試合が止められてもおかしくはなかった。 「もう、大にしたって長すぎ!!」 アンナは二郎に己の戦いぶりを見て欲しかった。だから二郎がいない事に焦燥を感じていた。 その時、観客から『ワー!!』っと歓声が上がる。 リング上ではモース・モースが両腕を上げて満面の笑みを浮かべていた。 『いやぁ、良い試合でしたね。モース選手の右のハイキック凄いですねぇ』 「…ああ、終わっちゃった」 歓声をかき消すアイスの声が響く。 『第三試合〜、アンナ・ルーズ選手とゲン・コーラス選手前へ!!』 アンナは会場を見渡しながら渋々リングに上がった。 「二郎…」 観客の男性陣からは野太く低い声援が聞こえてくる。 『いいぞー!! 姉ちゃん、脱げ脱げ〜!!』 『姉ちゃん、おっきいなー!!』等々である。 バトル会場はセクハラ会場となりつつあった。アンナの対戦相手であるゲンもリングに上がる。今度は観客からヤジが飛んだ。 『お前なんて見たくねぇんだよ、帰れー!!』 『もっとゆっくり上がってこいよ。もっと姉ちゃん見てーんだよ!』 ゲンは顔を歪め、ぐぬぬと歯を食いしばった。そしてアンナを睨み付ける。 「貴様、絶対にゆるさんぞ!!」 「何? 私のせい? 私だって嫌なんだからあんな声援!」 そう言ってアンナは鼻をフンと鳴らした。 『みなさん。出来れば静粛に…では第三試合アンナ・ルーズ選手対ゲン・コーラス選手の試合を始めたいと思います。ジャッジいいですか? ではレディ・ファイ!!』 リングの鐘が鳴った。 『さぁ、女性のファイターですがどんな戦いを見せてくれるのでしょうか? ぐふふ』 実況者も揺れるアンナのを見て興奮しているようだ。 ゲンはアンナを指をさしながら言った。 「俺は相手が女だろうと容赦はしない。この大会で優勝して世界の人気者になる!!」 「はぁ…で?」 ゲンは腰を低くして構えるとゆっくりと両腕を回し出す。 「悪いがこのファイナルパンチで終わりだ。これを喰らうと三日三晩熱と腹痛にうなされさらに明太子が嫌いになるとかならないとか。最初に食らった奴は三日三晩熱と腹痛にうなされた後、銀鮭が嫌いになってから明太子が嫌いになったという話を聞いた。お前はどうなんだろうな? もしかするとショートケーキを嫌いになってから明太子を嫌いになるかもしれん。女の子だから苦痛だよな、苦痛の何者でもないよな? 恐ろしいか? 恐ろしいだろう? しかし俺を怒らせた罪は深い。これからの人生でぇぇぶっきゃられらっ!!」 ゲンの体は空高く舞い上がった。 『決まったー!! アンナ選手の渾身の右ストレート!!』 2回転を決めたゲンの体がリングに突き刺さる。 「あなたずっと隙だらけだったんで殴ちゃった」 「ぐうう」 『おーっと、ここで審判試合を止めたー!! ゲン選手失神KO。アンナ選手の勝利です』 『うおおおおおおおおおー!!』 観客も今日一番の盛り上がりを見せた。 『私も驚きの一言、では第四試合を始めたいと思います』
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