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作品名:スーパーヒーローへの道 作者:ケンロウ

第13回   二郎の次の日
 俺は光りを感じ取っていた。
 つぶっていても明るく、俺を覚醒させるにいたるほどの光量が降り注いでいるはずだと思い、うっすらと目を開ける。ぼやけた視界からは記憶にある景色が飛び込んできた。
「ここは…」
 そこは本戦に出場できた者達が借りたホテルの一室に似ていた。いや、多分ホテルの部屋に間違いなかった。間取りとベッドの形がまったく一緒だし、しょぼさを隠しきれない雰囲気も同じだ。
 ただ、俺の部屋ではないとすぐに分かった。部屋は実に綺麗で窓ガラスが割れていなければ争った形跡もない。さっきまで掃除をしていたかのような風情であった。俺は小首を捻る。寝起きで頭の回転が悪いなりに昨日の夜の出来事を思い出していた。
 確か…自分の部屋でヒゲを倒し、アンナを見つけワンと出会いジェン、いやジョンを倒した。と、ここまでは記憶しているのだがこの先はまったく思いだせない。飲んだくれて気がつけば知らない道路に倒れていた、そんな気分だがベッドの上なので目覚めは悪くはない。 右に設えてある窓からは陽光がさんさんと――――――さんさんと……さんさんと?
「………!!」
 俺はもっと大事なことを思い出した。
「そうだ、大会は!?」
 急いでベッドから体を起こそうとすると激痛が走った。
「っ!」
 昨日の戦いで体は全身重度のむちうち状態だった。手足を少し動かすたびに痛みが走る。まるでベッドに体が根をはっているようだった。
 
 
 時間が経つにつれ俺はイライラしていた。ワンやアンナどうなったのかとか何日眠っていたのか大会はやっているのかと考え込んでいた。太陽さんもやや傾いてきている。スーパーヒーローたる俺でも大きなため息をつく他なかった。

「ギギギ…」

 ギギギ? 何の音だ? 左から聞こえたが…俺も自分の顔をギギギとロボット的な動作で音がした方向へと向けた。
「?」
 部屋の扉が開いてた。約5、6センチほど…その奥には人影が見える。また刺客か何かか…それともワンとか…まあいい。
「出てこい。まる見えだぞ」俺は力の限り叫んだ。
 扉がスローモーションのようにゆっくり開かれる。
 俺が目にした人物は俺が想像していたむっさいワンとは姿形がかけ離れていた。ワンをごつごつの陶器だとするとこいつは滑らかで一切無駄のない繊細なワイングラスだ。まぁ例えはいいとして、顔はここからではよくわからないが良いほうだろう。服装は白いホットパンツに黒いTシャツとラフな格好で真っ直ぐ伸びた朱色の髪が背中まで伸びているよで毛先が腰ぐらいで揺れている。身長は160センチ前後で歳は17、18ぐらいだろうか。俺はこいつの名前を知っている。多分当たっていると思う。
「…お前…アンナか…?」
 俺が問うとそいつは駆け足で近づいて来た。
「二郎〜!! 気がついたんだ!」
「ぐわっ!」
 軽いタックルをお見舞いされる。
「よかった。私心配してたんだよ!」
 イタイ! 体が動くたびに体中に電流が流れているようだ。
「ぐう、分かったから。とりあえず離れてくれ」
「わかった!」
 ぴょんっと俺から離れるとほほ笑みを俺に投げかける。
「む、むう…」
 改めて近くで見るとかなりかわいい女だった。艶のいいサラッとした髪、健康的な桃色の唇にこの上なく整った鼻、コバルトブルーように青みがかった大きい瞳を均等がとれた長いまつげが縁取っている。そして何より――――――
 ソレを凝視することは出来ず、俺はついうつむいてしまった。
「ねぇ、二郎大丈夫!?」
「うおっ」
 アンナらしき女の、そして俺が目を反らしてしまった原因が今目の前で踊っている。それも二つもだ。そうだ、この女は巨乳なのだ。ピチピチのTシャツなので肉体的な艶めかしい魅力も隠すどころか倍増している。
「ねぇ、どうしたの?」
 女は屈んでぷるぷると谷間を見せている。(チラッと見てしまった)、これは俺を挑発しているのか、悪意か、はたまた天然か…しかしなかなか強敵だ。何しろ俺は動けないんだからないろんな意味で拷問だと思う。なんとかせなば。
「そ、そうだワンは?」
 この場面を切り抜けるに十分な質問をした。
「ワン?」
 巨乳女は姿勢を正すと額に人差し指を当てて眉間にシワを寄せている。
「坊主頭の男だ。知らないか?」
「ボウズ頭…あっ! 知ってる。その人が二郎をここに連れて行けって私に教えてくれたんだ」
「そうか…で、そのワンは?」
「知らない。それから会ってないから…」
「では、大会は? 俺はどれぐらい眠っていた?」
「二郎は半日ぐらい眠っていたんじゃないかな…あと大会は明日に変更だって、なんかトラブルがあったらしくてアイスって人がみんなに説明してくれたよ」
「そうなのか…」
 昨晩の事といい、この大会には何かとてつもない陰謀が渦巻いているようだ。やはり草薙二郎あるところに悪あり、悪あるところに二郎ありだな。
「もう一つ質問だ。お前は本当にアンナなんだな?」
 胸をぷるんと揺らしてから、
「うん、私アンナ・ルーズ。以後よろしくね二郎!」
「…あ、ああ…」
 しょうじき胸が大きいのは嫌いではないが、アンナって名前だからもっと年上の落ち着いたお姉さんを想像していただけに落胆の色を隠せなかった。
 


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