俺は世界のスーパーヒーローになる男だ。
これは遊びや冗談で言ってるんじゃない。確実になる。有言実行ってやつだ。
俺みたいな才能に満ちあふれた男は一歩外にでれば七人どころではない。数え切れないほどの敵に狙われる。
これも過言ではない。
実際、昨日も野球の軟式ボールが俺を襲った。むろん俺はすばらしい反射神経でボールを避けて反撃、ボールを木っ端みじんにしてやった。 もし、あのままボールを受け止めていたら中の小型爆弾が作動してこちらが灰になっていただろう。 犯人はすでに消えていたが、平穏な日常に溶け込んだ手口は卑劣極まりない。何より許せないのが子供を利用したことだ。 おそらく俺を見つけるや否やボールをすり替え、子供が投げる瞬間に勢いよく背中を押し大暴投にさせた。しかも俺に当たるように調整して…想像しただけでも腹が立ってくる。 煙が立ちこめる、粉々になったボールを唖然と見ていた少年の姿が今でも目に焼き付いている。
許すまじ謎の悪玉!
そして、計算されたこの暴投が誤って他の子供に当たらず本当によかったと思う。爆弾らしき破片が見つけられなかったのが残念だ。
まぁ、そんなこんなで草薙二郎はスーパーヒーローになる第一歩として様々な格闘家が集まる政府公認の格闘技バトル試験会場の門にいた。
この大きい門の前に立つだけで興奮してくる。この俺の血が心底たぎって高ぶる感情を抑えられない。男なら一度は夢見るバトルがこの先に待っているのだ、冷静になれるはずがない!
両腕に力を込めて門を開けた――――――
「ふぐっ」
開かない、なぜだ! 鉄製の門とはいえ、少しも動かない。俺は腕力にも自信がある成人男性の二倍は力があると自負しているが一向に開く気配はない。
俺は心の中で静かに笑った。
「そうか、この門を開けられないようでは話にならんという事か」 いいだろう。まさかこんな所でフルパワーを出すはめになるとはな… 目を閉じ、大きく深呼吸をして精神力を高めながら意識を全身に集中する。何も聞こえない、あるのは己の存在と込み上げる力のみ!
いける!!
目をカッと見開くと全身全霊の力を両腕に送った。
「うがああああああ!!」
叫びと共に門が悲鳴を上げる。しかし門は開かない。
「くそっ、フルパワーでもダメなのか!しかし、この俺に不可能の文字はない。絶対に…!!」
「あのう…」
不意に聞こえた声。
血走った目アンド死に物狂いで門を押す草薙二郎の横にメガネを掛けた細身の男が立っていた。
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