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作品名:ラーコイズブルー。 作者:刹音 玖虎

第3回   3
幼いころから我慢ができない子供だった俺。
小学校4年生のとき、勝手に学校を飛び出して家に帰ったこともあります。
理由は知りません。きっと、家に帰りたかったからだと思います。
授業中、ポケモンを持っていきピコピコ授業中にしたりして。
母は悩んでいたようです。
小学校5年生、6年生になっても途中で学校を抜け出す癖は変わらず。
奇行を繰り返せば、母は呼び出されていました。
「異端児」きっと、危ない子やら変な子やらと言われていたんだと思います。
そんな他人と歩調を合わせることが出来ない俺には友達なんていませんでした。
小学校の時は少年サッカークラブに所属していたのでその仲間はいますが、普段学校で遊んだり喋ったりする友達は少なかったんです。
「お前となんか遊ばへんわ。…あ、万引きしたら遊んだる。」
たまたま近所に住んでいた友達から言われた言葉です。
その時は、「遊んで欲しい」ってだけで万引きをすることになりました。
お金に困っているわけでもなく、一緒に遊びたいがために近くのスーパーで万引きをすることになりました。
「俺らはいっつもやってるしなー。」
聞けば、その友達は数回繰り返しているというのです。
夏、だったと思います。
店内に入り、お菓子コーナーを目指し小さなスナック菓子を数個服の中に入れ、アイスを一つ盗みました。
すごくドキドキしていました。
自分はいけないことをしている、けど変な気分。
いけないと分かっていても、その万引きは繰り返されました。
万引きをしている間は友達が一緒にいてくれて、一緒に遊んでくれる。
友達と遊ぶ=万引きになっていました。
悪いことは矢張りすぐにバレました。
放課後、先生に呼び出されたのです。その万引きをしていたメンバーと一緒に。
「呼び出された理由がわかるな?」
男の先生は言いました。全員頷いて、一人ずつ話しました。
「友達に遊んで、と言ったら万引きをしたら遊んでやると言われてやりました。悪いと分かってました。」
母が学校にやってきました。
けれど、母は何も言いませんでした。
ほかの保護者のお母さんは泣いたり、怒ったり、叩かれている子もいました。
俺も、ほかの事同じように叩かれて怒られると思っていたのに。
母は、何も言わずに先を歩いていました。
「そんなにほしかったん?」
まぶしい夕日が母の向こうに浮かんでいて、眼を細めながら母を見ました。
「お金払わな買えへんって知ってるやろ?」
頷きました。母はこちらを向きました。
凄く悲しそうな顔で「お金払わへんとアイス食べたらどうなるか知ってるか?」
頷きました。もう、黙って頷くしか出来なかった。
「悪いことやで?」
俺はただ頷くだけしか出来なくて、母はそういうとまた歩き出しました。
家に帰り、そんなことを忘れてゲームをしているとチャイムが鳴りました。
扉を開けると、その向こうに立っていたのは俺を万引きに誘った友達でした。
友達のお母さんは扉を開けるなり頭をぺこぺこさせ、俺に向かって「ごめんなぁ。」と何度も謝っていました。
友達は泣いていました。お母さんと一緒に頭を下げて。
「先生から事情は聞きました。まさか、この子がそそのかしたやなんて…。この子、そのスーパーにつれていって警察にいってきます。」
と凄い勢いで言う友達のお母さんを母は宥め、落ち着くように促しました。
「誰の責任でもないですよ。この子も誘われたからってやってたんやし。責任を一人が背負うことはせんでいいと思います。」
泣き崩れながら、友達のお母さんは「ごめんなさい。」を繰り返しました。
それから、そのスーパーに万引きのメンバーと保護者のお母さんの付き添いで謝罪をし許してはもらえました。
が、俺の心の中には「なぜ母は怒らなかったのか、叩かなかったのか。」と疑問が芽生えました。
いつもなら、正座させられて叩いて泣きながら怒る母なのに。
母の気持ちがその時はわかりませんでした。


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