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作品名:あぁ少年時代 作者:きたけん

第2回   それは何にも頼らず自らの足で立つこと・・

みなさんは幼少の頃乳歯が抜けると、
次の歯がはえますよーにと
天になげるおまじないをした記憶がないかな?

ある!

そいつぁなんとも微笑ましい限りではないか!
成長を祝うめでたいことである。

しかしながらその記憶には
何故か苦い鉄の味と硬い冷たいレンガの感触。。。


それは小学生に上がる直前の幼稚園生の頃。
幼少の頃より自立心旺盛な少年にとって
自転車の補助輪がなぜか許せなかった。



「補助輪なんて子供の証。
なんとしてもこいつをクリアしなければおれは小学生にはなれねぇ!」

子供の考える理由なんてイツだって意味不明。
しかしそう少年の心を突き動かしたのは
まさしく自立の芽生えではないだろうか。


思い立ったが吉日、少年は嬉々として父親の工具箱を漁り
スパナを持って子供用自転車の車輪を外すのであった。

よせばいいのに身の丈に合わないその自転車は
補助輪を外したことによりつま先がつくのがやっとの状態。

ぐらつく自転車にまたがりながら少年は思った
「俺は今まで補助輪によってこの自転車に乗れていただけなんだ。
いや、乗らされていたにすぎねぇ。。」

初めて感じる転倒への恐怖とこれからの試練に立ち震えていた。
「よしっ!いくぞ」

ガシャン! カラカラー  ・・・ うぅ・・
ガシャン! カラカラー  ・・・ ぁあぁ”

幾度となく試みたものの何度も転倒しちっとも前にはすすめない。
その場で横転しているうちにひざも肘も擦り傷だらけだ。

「小学生に上がりたてて補助輪無しで自転車乗れたら
ヒーローに間違いねぇ」

その心が少年を突き動かしていたのかは定かではないが
すでに半泣き状態にありながらも
成功を夢見て幾度も挑戦を続けるのであった。


そして30分位たった頃であろうか
コツをつかんだのか自転車がゆるい坂を滑降し始める。
鳥肌を立つほどに感動した少年は

「おれは自由の翼を手に入れた・・・」

ジャイロ効果により補助輪無しで自然と動く自転車に
空をも飛ぶ気持ちと感触に包まれた。

少年を載せた自転車は隣のU田さん宅を越え
更に隣のK山さん宅まで進んだ。

距離にして15メートル位だろうか。
そこまで進んだところで悲劇は訪れる・・・

K山さん宅は当時の我が家と同じ時期くらいに
建てられた築2年くらいのモダンな一戸建てだ。

洋風の門の階段から玄関までは真っ赤なレンガタイルがはられていて。
塀もレンガに覆われ庭には美しく緑の芝が生え揃う。
休日には娘の弾くピアノが近所にこだまする
そんな絵に描いたような幸せそうな家庭そのものだ。

少し話を戻すと初めて補助輪を外した自転車に乗った少年は
興奮に包まれつつまさにその家の直前までやってきた。

その時であった。。。
少年の顔から勝ち誇ったような笑みは消え失せ
突如とパニックに陥り出した。

つづく・・


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