「うし!でけた〜」 そのつぶらな瞳の少年は幼い頃から工作が得意で この日も自慢の腕前で思いつくまま楽しげな玩具を作っていた。
「そうだな〜名前を悪魔君にしよう」 「でもさぁこれおっかなくない?」 「まぁ黒板けしの悪戯みないなもんだろ」
出来栄えに狂喜して実験を繰り返す傍らに彼の弟が 興味をしめしている。
悪魔君・・それはその少年が小学校の図工の時に作った 手がすっぽり入るようなかわいらしい指人形で。 おかっぱ頭に案山子の様な顔をした黒尽くめの人形である。
それを今回少年はドアの上に紐で取り付け、 ドアをあけると落下する仕組みを考えて作ったのである。 ただそのチャーミングなアイデアとネーミングとは裏腹に かなりえぐい代物となっていた。
そう・・その落下するかわいらしい人形は 抱きかかえるようにテープで鋭利な「錐」が 固定されているのである。
ヒュー----------ドスッ
ドアを開けると目の前に絶妙なタイミングで落下し 部屋の絨毯にささるその愛らしい仕草に少年は目を細めて 喜んでいた。
しばらくして飽きっぽい少年はこの玩具にも飽き始めて そのまま取り付けて放置していた。
がしかし、悲劇は突如おとずれる・・
ガチャ
「おーいけんじ〜ごはんだぞ〜」 っとおもむろに少年の父親が部屋に入って来たではないか。
ヒュー-----------ドスッ
「はははっほーお父さんも昔こんな悪戯した・・」 少年の父親はそう言い掛けると突然凍りつき。 なにか自分の悪戯とは掛け離れた違和感を感じたのか 腑に落ちない顔おして人形を手に取った・・
ビシッ!バシッ!バシッ!!
「イタッ!ガッ!アウ!」
突然少年の太もも辺りに電撃のような激痛が走る! 先ほどまで春のやさしい日差しのような 心で接していた少年の父親はまるで オーメンのダミアンに遭遇したかのような 面持ちなってるではないか!! 彼は怒りと焦りを交えながら近くにあった グラスファイバー製の釣り竿を急いで手に取り、 すぐさま少年に激しい殴打を繰り返す。
「おまえ!!人を殺すきか〜!!!」
ビシッ!バシッ!バシッ!!
「イタッ!ガッ!アウ!」
小刻みに震えた彼の父親はそうまくし立てながら なおも激しく殴打を繰り返すのであった・・
しかも叩かれながら少年は頭が悪いのか あんまり事態が飲み込めていない。 それどころか絶妙なタイミングで人を傷つける事のない この罠のような人形に笑いのセンスすら感じていたからである。 ふてぶてしい少年の心は叩かれながらも 「なんて冗談の通じない親父だ」 と逆切れ状態だ。
そして叩かれながらふと少年は傍らにいた少年の弟を見た。 弟は一部始終をまの当たりしてすでに半泣き状態だ。
ただその弟の涙目がこっちを見つめながらこう訴えていた
「こいつ本当に馬鹿だ・・・」
それ以来少年は父親に厳しくマークされるのであった。
|
|