【5】Triangle 8月某日 都内某ホテル フォース予選会場は既に多くの人だからに溢れている。 その中にブルーのTシャツとジーンズのラフな格好をした 山崎浩平と黒のノースリーブにジーンズをはいた 大柴健吾の姿があった。 『優子達遅いなぁ、何やってるんだ』 大柴健吾はあまりの参加者、ライバルの多さに苛立ちを あらわにしている。 『ごめ〜ん!』 苛立つ健吾にピンクのキャミソール姿の優子と 薄いパープルのワンピースの遥が声をかける。 『来ないのかとハラハラしたよ』と浩平が 遥に話し掛けると、 『ここまで来るのにめちゃ人多くて、 大変だったんだよ』と遥が答える。 『ライバルがこんなに多いとは…でも頑張ろうぜ』と 二人が来た安堵感から健吾はニコニコ顔だ。 先程までの苛々していた顔とは随分違う。 『とりあえず楽しんでくるか!』浩平はそう思い、 元気に会場に向かう健吾のあとを追った。
『さて、いよいよだね〜』 『まさかこんなに人が多いとはね』 この人の多さにフォースに対する関心の高さと 夏休みが重なり10代の参加の割合は半分以上だろう、 夏休みの思い出つくりと言ったところだ。 あとは同じ20代がほとんどで、あとはそれ以上の方である。 来島千夏は10代には負けられないとかなり鼻息が荒い。 香織はこの人込みに圧倒されて、今思えばこれだけの 参加者の中で決勝に残る事は容易ではないと思い、 『家でDVDでも見ておけばよかった』と後悔し始めていた。 この人込みで香織は押されて、倒れそうになった時、 一人の男性が手をとってくれた。
『大丈夫ですか?』 倒れかけた香織を咄嗟に30代前半くらいで健康的に 陽に焼けた男性が手を差し延べてくれた。 『すいません、ありがとうございます。』 香織は礼を言うと、 『参加者多いですね』とその男性は笑みをこぼし、 『お互い頑張りましょうね、では』と言うと、 奥さんと思われる人のほうへ歩いていった。
『大丈夫?』と後ろから相島洋介が駆け寄ってきた。 『うん、大丈夫です』と香織がこたえると、 『家のローンの足しでもするのかな?』と 相島洋介は先程の男性の後ろ姿を目で追っていた。 『こっちこっち』 妻の奈緒子が岸谷を手招きしている。 既に参加者登録のテーブルに着こうとしている。 手招きしている奈緒子は横にいるパープルの ワンピースを着た、若い女性に気付いてなく、 ぶつかってしまった。 『すいません』 どちらが先に言ったのかわからない、ほぼ同時だろう。 パープルのワンピースを着た女性は一目で見てわかる 10代の女性、高校生だろう。奈緒子は『恵まれているなぁ』と 素直に感じた。自分の10代の頃と比べると、手足は長く細い。 その女性はキョトンとした顔で、奈緒子の顔を見ている。 『ごめんなさいね』奈緒子は改めてお詫びすると、 『あっ、いえ、こちらこそ』と返事し、 そそくさと彼女の連れのとこに戻っていった。
先に参加申込していた、一緒にチームを組むお隣りの 永田夫妻が奈緒子と遅れて来た岸谷に席を譲る。 『まさか一緒に参加してくれるとは思いもしなかったわ』 お隣りの永田由子が岸谷と奈緒子に声をかけ、 『何か巻き込んじゃってごめんね』と 由子の旦那の永田一幸が岸谷に声をかける。 永田一幸は岸谷の2歳上の38歳、由子は一幸の 1歳上の姉さん女房だ。竹を割ったようなはっきりとした 性格の奥さんを絵に書いたような、まさにその表現が的を 得たのが由子である。 『もし優勝したら、100万は山分けよ』と由子が笑いながら 岸谷に声をかける。『えぇ、もちろん』と返事をする。 由子の後ろで、いかにも『ごめんね』と言う顔をしている 一幸の姿が瞳に写った。
【6】The man of a dark blue suit ざわつく会場…こんなにも人が集まるとは…。 何人位いるだろうか?ゆうに100組以上の参加者は いるだろうと思われる。紺色のスーツの男は会場の隅で、 この風景を静かに見つめている。 『本日はフォース予選大会にこんなにも多くの ご参加頂き誠にありがとうございます、これから フォース予選、決勝大会のご説明をさせていただきます』 舞台の上で鮮やかな赤に三角錐のマークがあしらわれた Tシャツを着た司会者が淡々と進行している。 『何か緊張してきたなぁ!』 大柴健吾は浩平を見ながら呟いた。 確かに周りの緊張がひしひしと伝わってくる。 4人はそれぞれ顔見て頷く。 『では今日行われる予選大会のご説明を致します、 まず予選は1次から2次まで行われます、 まさに知力、体力、運、更にフォースではチームワークが 決勝大会への最大の近道になってきます。』 司会者は一息つき、『1次予選では25組が通過とし、 2次予選で3組に絞られます。この3組のみ決勝大会進出となります』
この競争率の高さに会場内のざわつきは更に大きくなった。
『相島さん、決勝までの道程は長いっすね〜!』 大友の顔は既に諦めムードだ。 相島は『簡単に優勝出来たら、苦労しないぜ。』と言うと、 続いて『大友、あんたが誘ったんだからね! 貴重なお休み使ったんだから、優勝まで責任取りなよ。』 香織の横で千夏は笑いながらやる気の無くしつつある 大友に発破をかける。 独特の緊張感が参加者を包み込み、固唾をのんで真剣に聞いている。 『優勝賞金100万円目指して頑張って下さい、 では早速1次予選を始めたいと思います。』 『いよいよですね、岸谷さん』永田一幸は岸谷の横に立ち、 その隣では奈緒子と永田由子がおしゃべりに夢中で、 司会者の話を聞いているのかどうかもわからない。 『1次予選は、この会場全体に封筒に入った問題を 4人で探し、この隣の会場の解答席にお持ち下さい。 1次予選通過は25組までです。今回、ご参加頂いたのは、 全部で127組です。』 司会者の声を聞くと、雪崩のような勢いで数十組が、 既に会場出口に我先にと駆け出している。この通過までの 競争率が拍車をかけている。
『クソッ!しまった!』 大柴健吾は出口に向かう人波を見て、思わず口走った。 浩平達は司会者の近くに立っていたからだ。 『やばいよ、出遅れちゃう。』 優子も慌てて、出口に向かおうと踵を反す。 『待てよ、この大会は4人1組のはずだ、単独行動するなよ。』と 浩平は優子を止めようとするが、優子は焦りで足が絡み、 前にいた人にもたれ掛かるよう倒れた。遥が優子を抱えるように、 手を取り立たせる。完全に出遅れた感じだ。浩平達は一塊になり 会場出口に向かった。 スタートの合図が出る前に大勢の人の波がうねりをあげている、 しかし司会者は冷静に人気の無くなった会場で次のように注意事項を 述べた。 『問題の入った封筒は会場全体の至る場所に置いてあります。 隣の会場が解答場所となっております、解答場所以外での開封は 無効とさせていただきます。』 司会者は全て言い終わると舞台の上から姿を消した。
会場には取り残された感のある香織達とあと1組のみしか、 この注意事項を聞いていないのだ…
『早く行った人達は最後まで聞かなかったから、後悔するでしょうね』と 香織は相島に話しかける。 『どんな時にでも、冷静さを欠けて、慌てたほうが負けるよ。』 相島は自らも諭すように、香織を見つめて答える。 しばらく香織達はお互いの顔を見合った。 司会者は探し出す方法までは言ってはいない。 そして香織達は二手に分かれ問題の入った封筒を探しに 会場を出ていった。 司会者の全てのアナウンスを聞き終わると永田一幸は 岸谷に対して、『完全に出遅れましたね』と言うと、 2人を急かしている岸谷、永田両婦人を見つめた。 会場にはもう1組しか人はいない、もしかしたら主催者の 人達だけかもしれない。
『しかし何かひっかかる事がある』岸谷はそう思っていた。 だからこそ動かなかったのである。 岸谷は司会者の話した事を改めて言い返した。 『本日はフォース予選大会にこんなにも多くのご参加頂き 誠にありがとうございます、これからフォース予選、 決勝大会のご説明をさせていただきます』 『何も感じない』単なる挨拶だ。 『では今日行われる予選大会のご説明を致します、 まず予選は1次から2次まで行われます、まさに知力、 体力、運、更にフォースではチームワークが決勝大会への 最大の近道になってきます。』 これも違和感を感じない。 『問題の入った封筒は会場全体の至る場所に置いてあります。 隣の会場が解答場所となっております、解答場所以外での開封は 無効とさせていただきます。』 『ここだ!この話がひっかかる』 岸谷はそれを奈緒子と永田夫妻に話す。
『どこがおかしいって言うの?』奈緒子は岸谷に問いただす。 『何もおかしいとこはないと思うわ、それより早くしないと 会場内にある封筒を全部取られちゃうわ!』永田由子が更に急かす。 『あっ、それだ!』永田一幸は岸谷を見て、思わず叫んだ。 『えっ?』奈緒子と由子はそう言うと、一幸を見つめる。 『わかりましたよ、岸谷さん。岸谷さんがひっかかってるところがね。』 そう一幸が言うと同時に岸谷の中にある違和感も深い森に発生した 霧がすっかり晴れ、木々の1本1本の息吹すら感じられるくらい全てオールクリアな気持ちになった。
『司会者は問題の入った封筒は会場全体にあると言ったんだよ、 ここも会場の一部には間違いないはずだ。みんなで探してみよう。』と 岸谷が言うともう既に一幸は、この会場には必要とされていないテーブルの下を 探していた。 『と言う事はここも会場なんだからここにもある可能性あるんだ』と 奈緒子は言う。 『その通りですよ』と一幸はテーブルの下から問題が入った封筒を 3人に見せつけるように掲げた。 さっきまで参加者でごった返していた会場は 今は岸谷達の声しかしない。 『本当にここにあったんだ』岸谷と一幸を尊敬の眼差しで 見つめる奈緒子と由子。 あとは隣の会場で開封し、中の問題を解くだけだ。 周りには紺色のスーツの主催者が一人いるだけで、 他には誰もいない。 『よく見つけたね』と言いたそうな眼でこちらを見ている 紺色のスーツの男性。年齢は20代後半くらいのスラリと スーツの似合ういい男である。岸谷は部下ならかなり仕事が 出来るだろうな感じた。 岸谷が話かけようとしたが、その男はすぅーと 会場内控室に消えていった。
『どうしたの?』と岸谷に奈緒子が話かける。 『いや、別に』と気の抜けた返事をする岸谷は 紺色のスーツの男が消えた控室から視線を戻し、 『では、隣の会場に行きましょう』と言う一幸に頷き、 4人は一番乗りで隣の解答会場に向かった。
『お見事ですよ、年の功とでも言うべき事かな?』 紺色のスーツを着た男は岸谷達を遠くで見ながら呟いた。 封筒の半分は実は司会者が趣旨説明した、ここにあるのだ。 『灯台もと暗し』 慌てて出て行った者達は、確かに封筒は見つけるだろう。 但し問題は大学入試問題相当の難易度の高い問題に 悩ませられるだろう。 しかもルールを最後まで聞かなかった者達ばかりだ。 まだ始まったばかりだ。紺色のスーツの男は会場をざっと見渡し、 控室に消えていった。
その頃、浩平達は群がる人の波を摺り抜けて必死に問題の 入った封筒を探している。 非常階段灯の上でやっと見つけた封筒も中身を見たら、 世界史の問題であった。 ラッキーな事は2つ続いた。早く見つかった事、 そして問題が1学期の期末テストの範囲だった事。 しかしこのラッキーは長くは続かなかった。
香織達は相島と香織、大友と千夏の2組に分かれて封筒を 探して会場内の隅々まで仕切りに探している。 その時に会場全体にアナウンスが流れる。 『最初の1次予選通過者が出ました。残り49組です。』 会場内がざわめく、まだ10分くらいしか経っていない。 『こんなにも早い予選通過者がいるなんて』 香織達は驚きを隠せない。香織達だけじゃない、 今、必死に会場全体で封筒を探している参加者全てが、 更に焦りの色が顔に出ている。 『どこにあるの?』 香織達は会場のホテル内にある飲食店の中を探している。 会場のホテルはフォース参加者以外いない。
全部貸し切っているみたいだ、冷静に考えたらホテルを まるごと1棟貸し切るなんてこの大会って凄いと思った、 その時、香織の携帯に千夏からメールが届く。 千夏達は1階フロント内で2通の封筒を見つけたらしい。 その事を相島に伝えると、相島は『負けられないな!』と 言うと飲食店内の厨房に入っていった。 香織は飲食店の店内をぐるりと見渡す。 人ひとりいない飲食店は不気味だ。 誰もいない飲食店がこんなにも不気味とは思わなかったが 体験する事のない新鮮な感覚も香織は感じていた。 そしてその静寂を打ち破るように相島の大きな声が響く。 『やっと、あったよ』 その声に香織はびっくりしてフリーズ状態だ。 『わりぃ、声大きかったか?』と笑いながら相島は 香織に封筒を見せている。香織もフリーズから解除され、 笑顔で親指を立てた。
岸谷達は運のいい事に、問題の入った封筒も岸谷の機転から素早く見つけ、隣の会場に向かう。 『間違いなく1番乗りであろう』岸谷の予想は見事に当たる。 隣の解答会場に向かうとし10セットの長テーブルが セットされて、それらは全て簡易的な壁で仕切られている。 そしてその会場の中心に先程の紺色のスーツを着た男性が 立っており、『記念すべき最初の挑戦者の皆様、 お待ち致しておりました、1番のテーブルへご案内致します。』と 丁寧な口調で案内した。 岸谷が何か言いたそうな感じを察したのか、 紺色のスーツの男は岸谷に対して、『ご健闘お祈りします』と 言うと、すぐにまた会場中央に向かった。
その頃、問題の入った封筒を見つけた浩平達は会場に急ぎ戻る。すれ違う人達は一様に肩を落とし、 また新しい封筒を探しに行く。 『まだ間に合う、正解者は少ないはず』 会場の中央に立つ紺色のスーツの男性に案内され 浩平達は封筒を主催関係者に手渡し、解答した。 『間違いない、間違いなく正解だ!』 『無効です』 主催関係者は冷たく浩平達をあしらった。 浩平は唖然とした。
『間違いではなく無効?』 意味がわからない? 優子も遥も呆然と突っ立っている。 現状を理解出来ないらしい。 『何だよ、無効って!』 すぐに健吾が主催関係者に食ってかかる。 『皆さん、司会者の話を最後まで聞かれましたか? ここに来るまでは未開封で無ければ無効なんです。』 浩平達は愕然とした。 既に1組目の1次予選通過者も出ていると言うのに… 『また最初からやり直しだ…』 ここに来るまでにすれ違った人達と同じように、 浩平達は皆、肩を落とし部屋を出て行った。
その約10分前…
岸谷達4人がテーブルに座ると、主催関係者が向かい側に座り 『では封筒の提出をお願いします』と岸谷達に促す。 由子は手にした封筒を大事そうに手渡した。 主催関係者は開封し、『制限時間は5分です、このタイマーが 鳴った段階でお答えをお伺いにきます。正解ですと1次予選通過です、 では始めます。』そう言うと問題を手渡し、タイマーにスイッチを 入れる。100万円までの道程のスタート。
タイマーが押された瞬間から、岸谷達4人は問題を 食い入るように見る。問題はこう書かれてあった。 『静寂に包まれた部屋の中、この静寂を壊す一人の人間がいます。 この人は何歳ですか?』 4人全員が問題を見た途端に固まった。 問題の内容を理解出来ない。時間は刻一刻と過ぎていく。 この問題の中にヒントが隠されているに違いない。 もう一度ゆっくり読んでみる。年齢はいくつなのか? 答えは問題文の中にあるのだろう。 時間は忍び足で岸谷達を追い込んでいく。 『もうわからないわ』と奈緒子がまず白旗をあげた、 次に由子が。一幸は問題文を唸りながら、何度も何度も 読み返している。
静寂を壊す人…
その人は何歳?
時間は迫る…
既にこの問題を解くのを諦めたのか奈緒子と由子は 考えてる岸谷と一幸の横でずっとおしゃべりをしている。
真剣に考えている一幸は我慢出来なくなったのか、 『由子、うるさいよ。少しは考えなよ』とおしゃべり 続ける二人に言い放った。
確実に険悪なムードが漂う。 その光景を声が大きかったせいか、紺色のスーツの男が見つめている。 『奈緒子、うるさかったみたいだぞ、係りの人見てるぞ』と 岸谷は奈緒子に言った時、頭の中のエンジンが点火した。 『あっ!なるほど』岸谷は思わず大きな声を叫んだ。 その岸谷の大きな声を聞いた紺色のスーツの男は、 笑顔で岸谷を見つめている。 『わかったの?ほんとに?』奈緒子はびっくりして 岸谷を見つめている。もちろん永田夫妻も岸谷に注目している。 『では、解答をご記入ください。』と主催関係者は 岸谷の前に解答用紙を出す。岸谷は解答用紙に答えを記入した。
しばしの沈黙… 『多分、正解だろう、いや正解であってほしい』 岸谷達は祈るような思いで待っている。 『おめでとうございます。では2次予選が始まるまでしばらくの間、 控室でゆっくりされて下さい』主催関係者はそう言うと、 1次通過を意味する赤いバッジを4人に手渡した。 岸谷の書いた答えは正解だった。
『この正解を導くきっかけとなった奈緒子と由子には控室で 礼でも言おう』と岸谷は思った。
香織達はさっきまでごった返していた 会場のドアの前で合流した。 この会場に戻って来る前に どれだけ多くの人とすれ違っただろう。 すれ違った人達は一様に がっくり肩を落としていた。フライングをして問題の入った封筒を探しに 行った人達だろうとすぐにわかる。 『最後まで話を聞いてたら、こんな事にはならなかっただろうにね』 相島が香織に話しかける。香織が返事をする前に 『やっぱり先輩は冷静っすね』と大友が返事をする。 『焦っても良い事ないしな。それより大友、問題はどれだけ手にした?』と 相島は言うと、 『3問ですよ、もちろんどんな問題かは開けてからのお楽しみですがね。 先輩達はどうでした?』と大友は3通の封筒を出した。 『私達は2問よ』と香織は封筒を出す。 『全部で5問かぁ、この内1問でも正解すれば、1次通過ですね!』と 千夏は香織に笑顔で話しかける。あとは開けてからのお楽しみ… 4人は隣の解答会場へ向かう。扉を開けると部屋の中心に 紺色のスーツを着た関係者らしい男性が迎えてくれた。
そして香織達に『お疲れ様でした、いよいよ解答ですね。 ご健闘をお祈りしております』と笑顔で声をかけ、3番目の席に案内した。 3番目の席に着く前に香織は紺色のスーツの男にある事を 確認したかった。 それは5通の未開封の封筒を事前に持ち、仮に間違えても 5問目までに1問でも解答出来れば1次予選通過になるのか、 この会場に1組につき1問しか持って入らなければならないと 言う事ならば失格となる可能性もあるからだ。恐る恐る香織は 紺色のスーツの男に聞いてみた。 最初はスーツの男もびっくりしていたようだが、 『問題ありません、そのような事はルールにはありませんから』と 笑顔で返す。香織達はホッと胸を撫で下ろし、3番目の席に座る。
紺色のスーツの男性は案内を香織達を案内すると、 また部屋の中央へ向かった。
『なるほどね、そういう手もあった訳だ』と紺色のスーツの男は 含み笑いをしながら部屋の中央へ歩いていった。
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