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作品名:Force 作者:本願寺 裕真

第1回   【プロローグ】
【プロローグ】

これを読む時には、読んでいるあなたも参加してください。
参加者はあなたを含め、男女4人1組参加(男女各2名)です。


【1】『はじまり…』

フォースへのご参加誠にありがとうございます!
勇気ある参加者諸君の健闘をお祈りしています。
フォース関係者一同…

ビシッと紺色のスーツを着た男はフォースへの参加申込を
見ながらため息をついている。

『最強4人組です!優勝目指します!』
『和気あいあいの職場の4人組』
『4人一心同体です』

煙草を吸い終わり、灰皿に押し付けて消したあとに

『本物なのか楽しみに見せてもらうよ』

【2】参加者、山崎浩平(17歳)の場合。

『夏休みの思い出に…4人1組、男女2名が
参加条件だったので…何だか空しさで胸がいっぱいになった…』


『優勝賞金100万円、決勝大会参加者全員にも賞品があります。
男女4人1組参加(男女各2名)』

フォースの参加を浩平に持ち掛けたのは、同じクラスメートで友人でもある
大柴健吾であった。
健吾は付き合って9ヶ月になる同級生の彼女、佐々木優子とデート中に駅前で
配られたチラシを握りしめて、浩平の家にやってきた。

『これ面白半分に出てみない?この前のキャンプも大雨で不完全燃焼だったし』

確かに夏休みに入ってすぐにキャンプをしたが、突然の雷雨でまともな
キャンプなんて出来なかった。

『参加条件見ても、高校生参加OKだし、しかも賞金100万だぜ!決勝に残れただけで
参加賞も貰えるし、男女2人ずつ参加の合計4人1組だし、俺と優子お前とお前の彼女の4人で出ようぜ!』

申込はインターネットで行うようになってるようで、ネットで確認する前に既に健吾が応募していたようで、

『わりぃ、実はもう申し込んだんだよねぇ〜』

『やれやれ』

既に申し込んだならば参加するしかないのか浩平はそう思い、フォースのホームページを確認する。
応募条件は見る限り問題ない。年齢もクリアー、健吾が言ってたように4人1組で男女2名ずつ、
ただし決勝大会は3泊4日の大会である為、あとは浩平の彼女の石田遥の許可を取るだけだが、
付き合ってまだ2ヶ月の浩平はもし決勝に勝ち残れば初のお泊りになる。健吾は帰り際に、

『付き合って2ヶ月ならば、そろそろいいんじゃない?多分待ってるぜぇ〜』と

ニヤニヤしながら話した事を思い出した。

遥はこの誘いにのるだろうか?学年でも優秀なほうにはいる遥だから、断るんじゃないだろうか?

浩平には一抹の不安がよぎるが、その不安はいとも簡単に消え去った。
既に健吾の彼女の佐々木優子が遥にメールで誘っていたのだ。
二人揃って抜目ない。
遥は決勝まで残る事はないだろうと決めつけているから、簡単に誘いを受けたのだろうと思った。

フォースのホームページの応募条件の最後の部分に大きく書かれてあった。

『信頼ある4人で宝を手に入れましょう』


【3】参加者、山本香織(26歳)の場合。

『フォースが終わった後、何だか無性に涙が出た。涙が止まらなかった…』


『なんか面白い事ないかなぁ?先週の合コンもたいした事なかったしなぁ!』
『先輩ってハードル高いんじゃないんですか?この前、誘われていたじゃないですかぁ?』

1歳下の後輩の来島千夏が香織に声をかける。香織も千夏も某住宅機器メーカーの
営業事務をしている。

最近の住宅業界を取り巻く状況がボーナスにも反映しており、香織の財布の中も既に
秋風が吹いている。お小遣い程度のボーナスで旅行も行けず、この業界もそろそろ終焉かとも思い始めている。

『山本さん、これ発注お願いしますね!』

香織と千夏の会話を遮る様に声をかけ、営業の大友裕二が発注伝票を香織の机に置いていく。
香織が発注伝票を見て、ため息をつくと

『元気ないっすねぇ!何かあったんですか?』

香織の替わりに、千夏が大友に声をかける。

『大友〜、香織さんは今、心も財布も秋風が吹いてるのよ!あんたは相変わらず能天気ねぇ!』

『何だよ、来島。お前こそ能天気じゃねぇ〜か。そうそう山本さん、心の中の秋風は止められないけど、
財布の中の秋風は吹きおさまるかも?』というと大友は香織に1枚のチラシを渡した。

『優勝賞金100万円、決勝大会参加者全員にも賞品があります。男女4人1組参加(男女各2名)』

『何これ?大友あんたこれに参加するわけ?』と来島千春は

チラシを覗き込んで言うと、

『相島先輩から貰ったんだよ、相島先輩と俺と一緒に
参加してくれる人探してるんだよ。山本さんどうですか?』

相島洋介…彼は香織が新入社員で入社した時からよく面倒みてくれた先輩である。
今でも頼りにしている社内で一番信頼できる先輩。

『何か面白そうだね、参加しちゃおうかな?千夏も一緒にどう?』
香織は千夏に声をかける。

『じゃ、参加OKっすね!来島はどうする?』大友は嬉しそうに来島千夏を
見て話しかける。

『香織さんも参加するなら、私も出るよ!大友、申し込んでおいて!』

『つっ〜か、来島、人使い荒いなぁ!わぁ〜たよ!相島先輩にも報告しておくよ。』と言うと、
大友は営業部のデスクのほうに駆け出した。

『信頼ある4人で宝を手に入れましょう』


【4】参加者、岸谷大輔(36歳)の場合。

『今までの自分が信じていたものは本物だったのか?』


毎日酷暑の続く中、岸谷は今日もいつものように得意先まわりをしている。
営業成績もこの景気の悪さが影響し、伸び悩んでるのが現実である。
こんな世間を怨んでも、自分一人では世間は何も変わらない事も充分理解している、
しかしこのところの異常な暑さも岸谷の心の闇を増大させていく。

『変わらなくては…』

前向きな心は全て失った訳ではない。でもその前向きな心よりも更に大きな不満が包み込んでしまう。
世間の悪循環に流されている自分がそこにいるのである。

『こんなに嫌な思いをする為に生まれてきた訳ではないはず』

そう思うと岸谷は深い溜息をついた。そんな岸谷の前にチラシ配布のアルバイトを
している女性が一枚のチラシを岸谷の手元に突き出した。

『ご参加お待ち致しております。』

そのアルバイトの女性は岸谷にチラシを渡すとまた別の人に同じように手渡している。
普段なら受け取らないのだが、今日はタイミングを逸したのか不覚にも受け取ってしまった。

チラシには『優勝賞金100万円、決勝大会参加者全員にも
賞品があります。男女4人1組参加(男女各2名)』

岸谷は内容はあまり見ずスーツの内ポケットにチラシを押し込んだ。
今日も一日が終わり岸谷は妻と一人娘の菜月が待ってる月7万の賃貸マンションに戻り、
スーツを脱ぎ部屋着に着替える時に、内ポケットからくしゃくしゃになった紙が落ちた。

『あぁ、昼間のチラシか…』

これから夕飯なので、その後にでもこのチラシを捨てようと岸谷は居間に向かう。
いつもきちんと夕飯に最低3品はテーブルに並べる、岸谷の妻の奈緒子は岸谷が無造作に
テーブルに置いたチラシを手に取った。

『あら、あなたもこのチラシもらったの?』

奈緒子は岸谷の顔を見て、話しかけてきた。

『お前もこのチラシもらったのか?』

『えぇ、買い物途中にお隣りの永田さんから頂いたのよ、一緒に出ないって誘われたわ、
参加は無料だし、4人1組だからご夫婦一緒にどうって?』
『うちには菜月がいるだろ?』
『決勝なんて残れないわよ、ただたまには夫婦二人でどうって?仮に決勝に残っても
菜月は夏休みだからおばあちゃんの家に預かってもらうしね』

妻の奈緒子はまくし立てる。

『それに賞金100万円は魅力的じゃない?お隣さんと分けても50万よ、ボーナスも
パッとしなかったから、もう一つのボーナスになるんじゃない?』

奈緒子は痛いところを突いてくる。確かに不景気の煽りを受けボーナスはすずめの涙。
50万も入ればボーナスを2度貰った感じだ。悪くない。

『よし、お隣さんと一緒に参加してみるか?』

奈緒子は笑顔を見せ、

『明日にでも永田さんに話しておくわ。』

そう言うとそそくさと夕飯の終わったお皿を片付け始めた。

『これで何かが変わるなら…』

岸谷は心の中で小さく呟いた。

『信頼ある4人で宝を手に入れましょう』


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