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作品名:赤いランプ 作者:riri

第4回  
いつもは毎日やってくる。自らが何もしない限り、なにも起きない。しかし、神は、そのきっかけを実は一つずつ空から落としている。気付くか気付かないかはその人次第だが、、、、


 


 雨の音が聞こえる。窓辺から寒さが漂ってくる。目が覚めると始めに白が来る。そして見渡すと赤が来る。鈴音は背が低い。壁は赤く塗れても天井は塗れなかった。しかし、それでいいと思った。



 ドアを開けると朝食が置いてあり、小さな紙にはおはようという文字が書いてある。この字は母の字だろう。鈴音はそれを部屋の中に引きずると、もぐもぐと食べた。牛乳を一口。またもぐもぐと食べた。


 メープルパン
 鶏肉とブロッコリーのバター炒め
 ウィンナーとスクランブルエッグ
 ハムチーズサンド
 トマトとチーズのリゾット
 野菜のクリームチャウダー
 甘い蜜の林檎
 赤い薔薇



 今日はみんなくるのかしら。


 そういえば、昨日もおとといも1人か2人くらいの声しか聞こえなかった。きっとそれは雨のせいだろう。ここのところ雨が降り続いている。一週間前までは、沢山の男性の声がしたわ。大丈夫。


 鈴音は自分に言い聞かし、皿にある物を残さず食べると食器をドアの前に置いた。そして、小さい紙に足らないと書いた。大きく膨れた腹を摩りながら、ベットに横たわった。食器の音が廊下に響き渡ると母のスリッパの音がした。その音を聞くと鈴音は、人差し指を噛み、息を潜める。それが、目の前のドアで止まり、食器の音とともに、また小さくなっていくと、鈴音は深いため息をつく。



















 鈴音の家から100メートルもしない所に私立の男子校があった。そこに通う男子生徒の中にも鈴音の家に通う者もいた。しかし、その者達の間で、ある噂が立っていた。

「なぁ、鈴音さんっているの?」

「当たり前だろっ今更なにいってるの」

「だって全然姿みせねぇーし」

「お前見た事あるのかよ」

「俺?俺はないけど、、、隣のクラスの奴が見たって」

「そうそう!!しかも、行ったら薔薇投げてくれるし」

「でもその薔薇投げてるのって鈴音さんなの?」

「じゃなきゃ、誰なんだよ」

「、、俺さ、この前、薔薇投げてる所見たんだよ、、みんなその薔薇取りたくて必死でさ、俺、、、、」








 見ちゃったんだよ。








 その日、体育の時間、足ひねっちゃって、保健室に行ってみてもらってから、鈴音さんの家に行ったんだ。そしたら、もう沢山みんないたし、足痛いから遠くで見ていたんだ。そしたら、知らない人が俺に話しかけて来て、自分が鈴音さんの薔薇取るから、一眼レフカメラで鈴音さんの指先だけでもいいから撮ってくれって。
そいつ、俺の首にカメラかけて、行っちゃって、、今のカメラってすごいんだぜ?遠くの物でも目の前みたく撮れるんだ、まるで望遠鏡みたいで、、、俺、逆にラッキーって、、、。


「それで撮れた写真がこれだ」

 写真には、薔薇を落とす手が映っていただけだが、その手首は丸々していて、傷だらけ。所々に赤い色があり、爪は黒く、まるで魔女のような手だった。




「ひぃっ!!」

「なにこれ!?」

「こわっ!!」

「撮ったはいいけど、これ、、、どうなの?」


 そこに、映る鈴音の手を見ても誰も鈴音ではなく、まったく別人だと思い、もしかしたら、鈴音はもう死んでいて変わりに他の誰かが薔薇を投げているのではないかと考えた。しかし、屋敷も不気味だし、撮れた写真も気味が悪い。この写真は無論、鈴音に想いを寄せる男性全員が見ただろう。転送されていき、鈴音の手は一人歩きを始める。それでも、想いを寄せる者達は、鈴音の家に行き、カメラを構えた。そして撮られた写真はみな同じで、不気味な手だった。鈴音は顔を見られたくない一心で、体を窓より低く屈め、その代わり、手を大きく伸ばし薔薇を投げていた。それが仇となってしまったなんて、鈴音自身気付いていない。






 鈴音はベットに横たわり、天井を眺めていた。すべてを赤にしているのに、肝心な所が白い。それでもいいと思う、めんどくさがり屋の姫は、まだ自分の弱さを知らないでいた。

 


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