「あんたは、ガンド!!」 ヘレンのサンタ・クロウス時代の知り合いだった。 二人はクラスが別々になるまでは仲のいい友達だった。 「ヘレンはずいぶん綺麗になったんだな。それに比べて俺ときたら」 「そんな事はどうでもいいのよ!!なんであなたがこんな事を?」 「クラス分けが俺達の運命を大きく変えたんだよ。あれから俺はクロウスの教育場所へと移動した。そこは絶望しかなかったんだ」 ガンドが恐怖におびえたように語りだす。 「あれは地獄のような日々だった。教育場所に着いた瞬間に教育は始まった。休む暇は全然なかった。毎日毎日勉強や訓練に費やされた。けどそこまではまだましだったんだ。勉強と訓練が一通り終わったら、一人に一匹クロスが与えられた。クロスを教育して、卒業試験でリーグ戦を行う。そこで勝ち残れば卒業生として認められるんだ。もし勝ち残れなかったら・・・・・・その場で処分される。俺は必死に頑張った。そして、俺は勝ち残った!!クロウスとして素質はあったということだ。それに知ってるか?ヘレン。サンタに残されたのは素質がなかったやつなんだよ!!!だから卒業後にまだ実力がないのにこの世界に送り込まれクロス退治ということにして強いクロスを育てる糧にされてるのさ!!」 ヘレン、リースの表情が硬くなった。 今なら簡単に倒せるだろう程に気が抜けていた。 「あんなの気にすんなよ!!嘘に決まってるさ!!」 ファルは二人を励ます。 ヘレンは突然話し始めた。 「だからサンタ組の生存者がこんなに少ないのね。納得いくわね。けど、ガンド何か勘違いしてなくて?素質がないからサンタ組?素質があるからクロウス組?確かにそうかも知れないわね。私なんか全然力が弱いもの。けど、その生存者が少ない中で生き残っている私達の力は見くびらないほうが身のためよ!!」 へレンがガンドに向かって突進する。 ヘレンは指輪から短剣を二本出した。 二刀流である。 右手の剣がガンドを襲う。 ガンドはよける動作に入ろうとしない。 もうすぐ剣が当たるという時、ガンドの姿が消えた。 「危ないなぁ、もう少しで当たるところだったよ。当たってたらどうしてくれるんだい?」 ヘレンは辺りを見回す。 「当たれば良かったのよ!!」 「心外だなぁ・・・あんなに仲が良かったのに」 ファル達も遅れながらも戦闘態勢に入った。 「ヘレン!!みんな!!気をつけて!一応気配は感じるから」 ファルの声でみんなの緊張感は高まる。 「そこまで気を張らなくてもいいじゃないか。今回はここで失礼させてもらいます。それでは皆さん、また明日」 ファルは気配を探して何もいないのを確認した。 「もう近くにはいない」 みんなは一斉に緊張を解く。 「ファル、それにしてもどうやって気配を読んでたんだ?」 セリスが意外そうな顔をしてファルに聞いた。 「どうっていっても、水分って色んなところにあるだろ?その水分の場所を感知してただけだよ。そんなにすごい事じゃないさ」 それを聞いたヘレン、シェイ、セリスは驚きを隠せなかった。 「ちょっと!!あんたそれって一応上級技の一つよ!!」 「やっぱりこの子は普通じゃないわよね・・・運命か・・・」 シェイがよくわからない事をいう。 「シェイ、運命ってどういう事?」 「それは・・・」 シェイが話そうとした時にあいつは現れた。 「ファ〜〜〜〜〜ル〜〜〜〜〜〜!!」 「忘れてた・・・そういえば呼んだんだった」 ジェフがやってきた。 「呼んでくれてありがとう!!けど問題は解決した後だったみたいだね。じゃあ帰ります!!」 「まてぇぇぇぇい!!ジェフ!!あんたもこの話を聞いていきな。あんたにも関係のある話だからね」 そういってシェイは話し始めた。 「そうだね。どっから話そうか。まぁ最初に言っときたいのは、この世界の運命はお前達にかかってるって事だね」
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