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作品名:サンタ・クロウス 作者:みあきす

第6回   炎の女神とジェフ
この日もまたクロスが現れた。

『警告!!ミルゲン区においてクロス発生。
 ミルゲン区の住民は外出しないように。
 現在外にいる住民については一番近くの避難所に向かうように
 繰り返す・・・』

ファルはその警告を聞いてもテレビをゆっくりと見ていた。
「ファル、駆除しに行かないの?」
ファルの妹のような口調で喋るので無視することができないファル。
「あのなぁセリス。俺はまだ普通の学生だからおとなしくしてればいいの!!」
「わかった。一人で行ってくるよ」
ちょっと残念そうにファルの腕を引っ張って外に出ようとするスレイコール。
「だぁぁぁ!!それは一人で行くっていわねぇ!!」
少し泣きそうな顔でファルを見つめるスレイコール。
「そんな目で見るなよ・・・しかも俺の妹のような顔で!!」
「じゃあ一緒にいこ!!」
スレイコールはファルに抱きついた。
「ここまできたらもう行くしかないのか」
早速準備をしてファルとスレイコールは出発した。
クロスが出現した場所は学校の近く。
コモンズ達がよく遊んでる公園だった。
その公園に向かって歩いていると、女の人が前から歩いてきた。
「ファル様、家にいると思ってました」
ヘレンだった。
「セリスにクロスを駆除しに行くぞって言われて」
隣にいるスレイコールは満足そうにしていた。
「ヘレンも行こう、俺一人だとまだ不安なんだ」
「もちろんそのつもりです。ファル様に断る権利はありません」
部下とはいえ先生だから、とファルはあきらめた。
「とりあえず公園に向かいましょうか」
三人で公園に向かった。
「たしかここら辺だったよな」
公園に着くとライオンが寝ていた。
いやライオンによく似たクロスだった。
「ファル、今回の敵は強いよ」
ファルの喉がなる。
「けどやるしかないんだろ!!やってやる!!」
「あらあら、やっぱり私が気に入っただけはある」
ライオンに向かいながら名を叫ぶ。
「スレイコール!!」
ファルの両手に槍が出現する。
槍を回転させ下から上に切りつける。
だが、クロスがバリアのようなものを発生させた。
ファルはそのバリアに弾かれ吹き飛ぶ。
ヘレン達がいる場所まで戻ってきた。
「だから強いって言ったでしょ」
「ヘレン・・・あれなんですか?」
「あれは、天蘇(てんそ)という基礎でも高等なほうの修行をしていなければ使えん基礎だ。上級生の一部はできる基礎だな。まだお前には無理だ」
「じゃあどうやって倒せって言うんだよ。これじゃ倒せないじゃないか」
ファルには倒せないことがわかったが、この状況をどうするかだった。
「ヘレンはたおせるんじゃないのか?」
「私はまだ先生として生徒の前では力は使ってはいけないのよ」
ファルはそんなの初めて聞いた。
先生は前回も力を貸してくれなかったのはこのためだったのだ。
「ちくしょう、俺はなにもできないのかよ」
「ファル様、明日から特別な授業をファル様にしましょう。もちろんリースも一緒です」
「ありがとうヘレン」
「ちょっといいかな、あのクロスどうするの?」
そうだった。今使えなければ意味ないのだ。
「あいつに頼るしかないな」
ファルはつぶやいた。ヘレンは首を傾げる。
ファルはポケットから携帯電話を取り出し電話をかけ始めた。
「もしもし、早く公園に来い!!」
それだけ言うとファルは携帯電話を切りポケットにしまう。
「ファル様、今の人は?」
「今のは上級生のジェフだよ」
「ジェフって学校史上成績最悪のジェフ!?」
「ヘレンは知らなくて当然か。まぁすぐにわかるよ」
遠くから叫び声が聞こえてくる。
「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
勢いのあるもの急には止まれない。少し通り過ぎる。
そして戻ってきた。
「ファル、いきなり呼び出してなにさ。今は警告だよ。成績最悪な僕としては家にいなきゃ駄目だろ?」
「お前にしか頼める相手がいなかった」
「ファルがそういうなんて・・・僕は幸せだ!!今僕は幸せを感じている!!!」
いきなり叫び出した。
「なぁジェフ、あいつを駆除してくれ」
「ファルの頼みなら仕方ないな、いくよ、ファーダム」
ジェフの指が赤く輝く。
するとジェフの手には剣が握られていた。
「久しぶりだのう、スレイコール」
「本当に久しぶりね、ファーダムさん。まさかあなたも契約者を見つけていたなんて」
「私はお前のほうが心配であったぞよ」
「ふんっ」
「昔からかわらんのう」
「行きますよファーダム」
「あいあい」
ジェフはクロスに向かって走り出す。
剣から炎が噴出す。
「喰らえ、古代の灼熱の炎!!デビルフレイム!!」
ジェフの剣はクロスの上から下に振りぬかれた。
ファルがやられた天蘇も無意味だった。
クロスが激しく燃え上がる。
「あれが成績最悪のジェフなの!?」
「ジェフはやる気がないだけさ」
炎がおさまるとそこにはクロスの姿はもうなかった。
「完璧っしょ、ファーダム」
「まだまだです。ちゃんと授業を受けなさい」
「はいはい」
「ファーダムさん、いい契約者みたいね」
「スレイコールがそう言ってくれるなんて、珍しいこともあるのね」
「ふんっ!!私だって変わるのよ」
「あらあら」
「ジェフ、ありがとう」
「いつでも呼んでくれよ!ファルの頼みならなんでも聞いてやる」
「ジェフ君、なんで君は学校で実力を隠してるの?」
ジェフがヘレンに気づいたらしく、驚いている。
ファルに助けを求めてファルに目線を送るが気づかない。
「先生、それは僕なんか目立っても駄目なんですよ。僕は影で主役を支えるのが適しているんですよ。目立っても主役にされてしまうだけ。主役はファルのようなやつがなったほうがずっといいんですよ」
「ヘレン!!それ以上こいつに何も言わないでくれ」
ようやくファルはジェフを助けた。
「ヘレンが聞きたいのはわかるが、こいつの気持ちもわかってやってくれ。あんたならわかってくれると信じている」
ヘレンは諦めたのか、頷いた。
「ファル、お前が僕を頼りにしてくれたのはすごい嬉しかったよ」
ファーダムと呼ばれる指輪が割り込んできた。
「ところでスレイコール、何故人間界なんかにいるのです?」
「ファーダムさん、私はファルと約束したんです」
ヘレンは笑いそうな顔をしていた。
事情を知らない二人は真剣にスレイコールの話を聞いている。
「その約束とはなんですか?」
「肩たたきをするっていう約束があるのです」
ヘレンが笑い出した。ファルは恥ずかしそうにしている。
「お主そんな約束で人間界に滞在しておるのか!!?」
ファーダムはあきれていた。
「悪い?私はファルが気に入ったし、直にこの人間界がどうなるか見たいのよ」
「うぬぬ、お主の言いたいことはわかるが、女神が人間界にいるというのは問題じゃ」
「それもそうね。けど私は帰るきなんかないわ」
「しかたないのう。私も人間界に行くとしよう」
はぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!???????
笑い続けていたヘレンまでも驚いていた。
「まさか・・・」
ファルは嫌な予感がしていた。
赤い光がまぶしいくらいに輝く。
輝きがおさまるとそこにはヘレンぐらいの女性が立っていた。
「ふう久しぶりね人間の姿って。みんなよろしくね」
「ファーダムさん、いいんですか?」
「いいのよいいのよ。一人二人人間界きても心配ないわ」
「セリス、説明してくれ」
「ファル、いい?ファーダムさんも女神の一人なの。火の女神ファーダム」
「やっぱりそうなのか、また厄介なのが増えたんだな」
ファルはジェフの家が気になっていた。
ジェフの家は一人でしか暮らせないよな場所だ。
「ジェフ、家どうするんだ?」
「僕の家は一人しか入れないよ」
この女神が行き着く先は決まっていた。
ファルも予想がついていたため、諦めていた。
「スレイコール、あなたはどこで泊まってるの?」
「ファルの家よ」
「セリス、諦めるしかないんだな」
「そうね」
軽く答えられてしまった。
「じゃあ私もそこにするわ」
ファルは軽く泣きそうな顔をしていた。
「セリス」
「スレイコール、あなたセリスって呼ばれてるの?」
「えぇそうよ」
「私はどうしようかな」
呼んでもらう名前を楽しそうに考え始めた。
「ジェフ、何がいいかしら?」
「シェイ」
「シェイね・・・それでいいわ。改めてよろしく!!」
ファルは絶望しか感じていなかった。
静かだった家がスレイコールがきてうるさくなって。
ファーダムまできたらどうなってしまうのだろう。
ファルは先のことを考え立ちくらみしてしまうのだった。


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